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御園中キャリア教育プログラム「働くこと」
〜職場体験を通じて、職業観や勤労観を育成し、将来設計の基本的な力や態度を養う〜
  web.06
(2008.9)
全国中学校進路指導連絡協議会 会長 大塚 洋先生(大田区立御園中学校 校長)

1.はじめに

文部科学省は、キャリア教育の一環として、中学校で5日間以上の職場体験を行う「キャリア・スタート・ウィーク」を全国的に推進しています。

大田区の中学校も平成18年度から実施し、特に本校では、区の地場産業であるモノづくり町工場の体験を進めるべく、平成19年度課題推進校として、研究と実践を行いました。

2.目標

現実の社会に出て働くためには、「働くことの意義」を理解するだけでなく「働くための力」を身につける必要があります。このプログラムでは、正しい「勤労観・職業観」を身につけると同時に「働く力」を身につけることを目標としています。
本校では「働く力」を次の4つの「力」と定義し、この力を育成するプログラムを開発しました。
(1)自己理解力(自己を知り、将来を考える)
(2)自己探求力(職業・適性を考える)
(3)自己探索力(職業を知る・体験をする)
(4)自己実現(ライフプラン作成)

3.プログラムの内容

職場訪問(第一学年)
目的
・ 地域にある職場を訪問することで地域にはどんな仕事があるかを知り、働くことに興味・関心を抱かせる。
 →小学校と連携した地域理解教育にも役立てる。
・ 職場訪問を通して、自分の保護者の仕事に興味・関心をもたせる。
・ 4つの力の育成のうち、(1)自己理解力、(2)自己探求力を培う。

計画
・ 将来を考える
 自分の人生について考える。
 自分の興味・関心、適性を考える。
・ 仕事について調べる
 地域にある仕事に関する調査を行う(職場訪問事前調査)。
 実際の仕事を見学し、調査する(職場訪問)。
 マナーを学ぶ(職場訪問)。
・調べたことをまとめ・発表する
 ワークシートや模造紙・新聞など様々な形式の発表を行う。
 仲間の発表から学ぶ。

職場体験(第二学年)
目的
・ 職場体験を通して社会で必要とされる力を認識する。
・ 職場体験を通して自分の保護者の仕事を理解する。
・ 4つの力の育成のうち(3)自己探索力を培う。

計画
・ 将来を考える
 職場体験の事前指導の講演やワークシートなどから自分の興味・関心、適性を考える。
 1年生の総合的な学習や各教科の学習から自分の将来像を描く。
・ 仕事について考える
 職場訪問を基に、保護者の仕事や地域の仕事から職業についての調査をする。
 職場体験の仕事を選ぶ。
 自分の興味・関心、適性を考える。
・ 調べたことをまとめ・発表する
 ワークシートや模造紙・新聞など様々な形式の発表を行う。
 仲間の発表から学ぶ。

進路選択(第三学年)
目的
職場訪問、職場体験から得た仕事に対する理解を基に自分の進路を考える。
4つの力の育成のうち(4)自己実現(ライフプランの作成)を行わせる。

計画
・ 将来を考える
 1年生の職場訪問、2年生の職場体験を基に上級学校を具体的に考える。
 高校見学を行う。
・ 進路を選択する(ライフプランの作成)
 自分の学力、適性、興味・関心、将来の希望などから自分の進路を選択する。
 進路に関する話を聞く。

4.プログラムを実施する上での課題とその解決

実施にあたって、まず、事故・怪我の問題が課題となったため、安全指導を大田区にある工業系高校で行いました。これは単なる事前指導だけでなく、体験する子どもの課題意識を高める上でも有効でした。

また、受け入れる事業所側については、預かった子どもに何をさせればよいか分からない、体験させたい気持ちがあっても実際には難しいといったことも課題となりました。これに対しては、「職場体験ガイダンス」を活用し、事業所の方の体験プログラムづくりに役立てていただきました。
*ガイダンスは大田区教育委員会職場体験推進協議会作業部会が中心となって作成、提案しました。

5.まとめ

このプログラムを行うことによって、
生徒に関しては、
・ 正しい職業観を育てる。
・ 地域理解につながる。
・ 社会へ出る準備をさせる。
といったことが評価できました。

また、指導に関しては、
・ 職場の確保についての見通しをもつことができる。
・ 指導体制の見通しをもつことができる。
・ 指導計画を立てることができる。
・ 一連の流れの中で指導目標、指導計画が立てやすくなる。
・ 生徒、保護者の理解が深まる。
といったことが評価できました。

子どもたちに職場体験学習の前後でアンケート調査をしますと、体験後「働くことは面白い」と答えた割合は87%で、働く前に比べて8ポイント増加、「大人って、すごいと感じることがある」とした割合も82%と9ポイント増加しました。このように職場体験学習は子どもたちの意識を変容させているのです。この結果を踏まえ、大田区の各中学校においても、「地場産業〜モノづくり町工場〜体験」の推進に注目しているところです。

本年度も、大田区全28中学校2年生全員の職場体験学習を3〜5日間で計画しています。これからの大田区の人材として育っていく子どもたちに、将来の大田区を支えてもらいたいものです。

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