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ライフスタイルと生活設計
〜【新しい「家庭経済」授業プラン】を活用して〜
  web.11
(2009.2)
兵庫県立加古川南高等学校 藤川 綾香 先生

生命保険文化センターでは、高等学校家庭科向けパワーポイント教材【新しい「家庭経済」授業プラン】を2008年9月に作成しました。
今回の「教育の現場から」では、このパワーポイント教材を活用した授業実践をご紹介します。
※パワーポイント教材は、メイン教材の【基本編】と、参考データとしての【資料編】、【クイズ】で構成されています。また、授業展開のガイドとして【教師用手引書】、授業用【ワークシート】もセットされています。
この教材は当センターにお申込みいただければ無料で提供いたしますが、当サイトからも自由にダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
⇒ パワーポイント教材 【新しい「家庭経済」授業プラン】 はこちらから
⇒ 教師用手引書、ワークシートはこちらから

実践教科:家庭科(家庭基礎)
使用教科書:大修館「明日を拓く高校家庭基礎」
日時:2009年2月5日(木)
時間数:1時間
対象学年:1年
対象人数:一クラス40名

実践の目的

高校生は自立への志向が強くなる時期であり、親に依存していた生活から、経済面も含めて自立を視野に入れた生活へ移行していく。

家庭経済の学習は、特に時代の影響を多く受ける分野であり、また、生徒の周囲には豊富な情報があふれている。様々な手段でテレビや雑誌、インターネット、携帯電話などから情報を選択することができるが、一方、情報に振り回される恐れもある。

科学的な知識のもとに選択することや、自己の経済活動を合理的に見つめ、考えて行動するということはなかなか難しいことである。

そこでこの「1年家庭基礎」の家庭経済分野では、現代の消費生活と意思決定、「契約」「消費者信用」、消費者の権利と責任、将来を考えた経済計画と家計管理という流れで学習してきた。

この教材を活用するにあたり、家庭経済分野で使用することが望ましいが、今回はすでに家庭経済分野は学習済みであったため、1年のまとめとして活用することとした。これまで1年間家庭科で学習したことを活かし、「ライフスタイルと生活設計」を考える授業の中で使用した。

授業の構成

  学習内容 生徒の活動 指導と支援 評価の観点等



将来設計
パワーポイント
「(1)将来の自分の姿を想像してみよう」
・人生で大切にしたいものを順位をつける。
・将来の自分の姿を想像し、自分のライフコースを長期的な視点で捉える。
・人生で大切にしたいものについて考えさせ、発表させる。
・ライフコースの選択を見せ、生徒に30年後を想像させた後、意見を交換させる。
・高校生が考える未来についてデータを基に自分と比較させ特徴をまとめる。
【関心・意欲・態度】
生活設計の必要性を理解して、人生の目標を具体的に考えようとしている。


40
ライフステージと経済計画
パワーポイント
「(3)ライフステージと経済計画」
・ 年齢ごとに自分自身の生活設計を考える。
・ 自分自身の教育費を算出する。
・ 各ライフステージに必要な経済課題を推測し、実額を知る。
・ 不測の事態や不慮の事故、リスクへの備えについて考える。
・ 公的保障と私的保障について想起する。
・ リスクに備える手段としての保険について知る。
・ 預貯金と保険の違いについて知る。
・ 自分自身の生活設計、将来の家族の生活設計を記入させる。
・ 家計に占める教育費の重さを考えさせる。
・ 独立、結婚、出産、住宅購入にかかる費用のデータを提示する。
・ 経済的リスクにはどんなものがあるか考えさせ、日々の生活に潜む偶発的な出来事について考えさせる。
・ リスクへの対処方法を考えさせ、公私の保障を知らせる。
・ 自転車の盗難を例に手段の一つとしての保険について知らせる。
・ 預貯金と保険の違いを説明し、私的保障の有無は自分で決めることを理解させる。
【技能・表現】
これまでの学習内容から、将来の目標や職業・家庭に対する考え方が的確に表現できる。
【思考・判断】
ライフステージについて思考を深め、経済計画に関連づけ自分の将来を考えることができる。
【知識・理解】
これまでの学習内容をふまえ、社会保障について説明することができる。




まとめ
パワーポイント
「家庭経済クイズ」
・ まとめのクイズをする。
・ 感想の記入をする。
・ クイズをだし、挙手させる。
・ 学習を通して感じたことを記入させる。
【知識・理解】
生涯発達の考え方にたち、充実した人生を送るための方法を積極的に考えることができる。

授業の詳細

(1) 導入

まず、人生で大切にしたいものについて考えさせ、順に発表させた。

ここでは、友人との関わり、趣味、家族との時間、健康などを上位にあげる者が多くいた。また、職業生活を充実させたい、とか経済的に安定した生活を送りたいというものもいた。

高校生が考える未来についてのデータを紹介し、生徒に考えさせたのち、特徴をまとめた。

生徒に30年後を想像させ、意見を交換させた。人生で大切にしたいことを参考にしながら、ライフコースの選択を見て、10年後、30年後、50年後の生活を予想し、プリントに記入させる。

ここでは、家族のことや経済的な視点までは言及せず、個人としてどんなライフコースを選択したいかを考えさせて、将来への夢を膨らませるきっかけにした。そして、周囲の生徒同士で意見交換させた。生徒たちは楽しそうに自分の将来について話し合っていた。

(2) 展開

家族をもたない可能性も含めつつ、自分や将来の家族について時系列の生活設計の記入により内容を具体化させた(図1)。

進学や就職、結婚、出産などの少しずつ具体的な事例を記入し、家族単位での将来設計を記入させた。ここではかなり時間がかかり、楽しそうに将来の夢を話し合う様子が見られた。

さらに充実した人生のための計画、その下の欄に経済計画(生活費以外の必要な資金)を記入させた。経済計画に関しては、やはり想像がつきにくい様子であった。
そこで、自分自身の教育費について考えさせた。これまでにかかった教育費を見た上で、それぞれ進路希望にあわせて就職までに必要な費用をだすことで、高校卒業後に必要になる金額がわかった。

生徒たちからは教育費の高さに驚きの声があがるとともに、「今まで何も考えずに学校には通っていたけど、自分にお金をたくさんかけてもらっているんだなと親への感謝でいっぱいになった。」(感想プリントより)という生徒もいた。

卒業後の進路にかかる費用を記入した後、独立、結婚、出産、住宅購入など、各ライフステージにかかる費用を推測させて提示し、実額を知らせた。この時も、生徒たちからは驚きの声があがっていた。

将来の生活には多額の費用がかかることを踏まえた上で、日々の生活に潜む偶発的な出来事について考えさせた。日常生活で起こりうるリスクにはどんなものがあるか考えさせた。そして、リスクへの対処方法を、自転車の盗難事件を例に、保険の利用について話をすすめた。

学習内容の復習として、公的保障と私的保障について触れた。また、私的保障の利用については、自分で決めることを伝えた。生徒たちは、熱心に聞いていた。

(3) まとめ

クイズをしながら学習内容をまとめた。今までの学習内容から、わかる範囲の家庭経済や、病気入院の割合のクイズを考え、挙手させた。最後に学習を通して感じたことをまとめ、記入させる。

成果と課題

今回、「新しい『家庭経済』授業プラン」を活用し授業を行ったが、生徒の感想をまとめると、授業に対して概ね好評であった。以下は抜粋したものである。

・今まで将来設計の上でお金のことを深く考えたことがなかったけど、もうあと10年後には家族に支えられる側から支える側になると思ったら、大変だと思いました。将来、病気にならないとしても、備えは必要なんだと思いました。

・この1年家庭科を勉強して、自分の将来の考え方が具体的になった。まだまだ先のことだと思ってたけど、近いんだと思った。夢はあるけど、経済面を考える必要があり、難しいのかなと思った。学んだことを活かして大人になっても頑張ってやっていきたい。

・まだ16歳だから、この先のことはよくわからないし、本当に想像だけの世界になってしまうけど、それでも将来への夢を持ち、リスクへの備えを考えておくことは大切なことなんだと思いました。実際保険のことは良く知らなかったけど、今日の授業を聞いて、自分が大人になったら入る必要があると思いました。パワーポイントが見やすく、わかりやすかった。

・今日の授業で将来について考え、今まで不安な部分があったけど、学費のことやリスクに対しての備えについてわかったので、少し安心した。また、貯金をきちんとしようと思った。生活設計どおりにいけば良いなあと思うし、それを目標にして頑張りたいと思う。

この教材は、パワーポイントで見やすく作られており、生徒の学習意欲も高まり、反応は良いものであった。ずっとパワーポイントの画面を解説するだけでは、授業が単調になるため、ワークシートに記入したり、クイズで挙手する活動もあり、生徒たちも積極的に取り組めていた。

内容については、教材が高校生の視点で家庭経済を捉えたものだったので、家計を身近なものとして学習をすすめることができた。本来、家庭経済分野で学習することが効果的であろうが、今回のように家庭基礎のまとめとして生活設計に重点をおいた使用も可能である。

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