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高等学校家庭科教材キットを活用した公民科「現代社会」授業計画案
【新しい「家庭経済」授業プラン】を用いた経済分野の授業
  web.03
(2009.6)
東京都立浅草高等学校 目崎 昭年 先生

1. はじめに

平成21年2月、文部科学省から新学習指導要領が告示された。公民科の基本構造はさほど変化はなかったが、幸福・正義・公正などを用いた課題追求学習や裁判員制度をみすえた法教育の位置づけなどが新たに加わっている。

そして、経済教育では経済活動における私法の考え方、金融についての学習が明確に位置づけられるとともに、市場経済や消費者問題も踏み込んで取り扱う、となっている。

このことをどう具現化するか。公民科としてどのような教材を開発し、研究していくかが思案のしどころであったが、ある研究会で「家庭科教材キット」なるものを紹介された。中身を調べてみると家庭科の内容ではあるが、公民科の経済分野でも活用できるのではないか、ということに気づいた。

今回は、高等学校家庭科教材キット「新しい家庭経済」を使って、公民科現代社会の経済分野(1年次生)における授業計画案について述べてみたい。

※【新しい「家庭経済」授業プラン】は生命保険文化センターが作成したパワーポイント教材です。
当サイトから自由にダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
パワーポイント教材【新しい「家庭経済」授業プラン】はこちらから
教師用手引書、ワークシートはこちらから

2.活用にあたって

まずは、この教材が高等学校家庭科の教材であることに鑑み、このキット内容の精査から始めなければならない。公民科において「使える部分を再構成する」ところから着手するのである。

また、本校は学力面や興味・関心面で実に幅広い生徒が入学してきている実態がある。座学でも十分に対応できる生徒がいる反面、45分(本校は定時制課程である)の1単位時間の授業についていくのがやっと、という生徒もいる。

つまり、教科書を用いた学習プラスαの部分が必要になるのである。 まして、経済分野の学習では既定事項の学習をいかに生活実態に合わせるかを考え、教材の工夫をしなければ効果的な学習に結びつかない。

その点で、この教材キットはプレゼンテーションソフトを活用し、視聴覚教材の利点と学習内容の焦点化が融合した、有効な教材である。

そう考えると、【基本編】項目2「家庭経済のしくみ」のスライド7〜10、項目3「ライフステージと経済計画」のスライド18〜30、項目4「家計の現在」のスライド34〜36などが活用できそうである。
また、発展課題として【資料編】のスライド5〜7も活用できる。

以下に授業計画案を示す(実際の授業は10月ころからはじめていく)

3.授業計画案

対象学年 …高等学校1年生3学級101名
対象科目 …「現代社会」(年間 2単位)
使用教科書 …清水書院「新現代社会 改訂版」
授業計画
授業単元名 授業のねらいと留意点 対応スライド
資本主義経済のしくみと市場
(2時間)
ねらい)資本主義経済と価格機構の基本的な理解
留意点)家計・企業・政府の経済主体の流れと市場経済の長短に気づかせる。
基本編2 「家庭経済のしくみ」 7〜10
資料編 
社会保障制度の意義
(1時間)
ねらい)社会保障制度の基本的な理解
留意点)基本的人権の生存権保障を支える重要なしくみであることに気づかせる。
基本編3 「ライフステージと経済計画」 18〜21
社会保障制度と課題
(1時間)
ねらい)個々の社会保障制度の基本的な理解
留意点)個々の社会保障制度の長短および課題が増大していることに気づかせる。
資料編 5、7
消費者問題
(2時間)
ねらい)生活にある消費者問題の基本的な理解
留意点)消費者としてよりよい生活とは何か、について気づかせる。
基本編3 「ライフステージと経済計画」 23〜30
基本編4 「家計の現在」 34〜36

4.終わりに

今回は、授業計画案としてまとめてみた。実際の指導はこれから、ということになるが、他教科の教材キットも活用法によっては、公民科における指導の貴重な教材になることが授業計画を立案して気づいたことである。

この教材キットはプレゼンテーションソフトを活用しているが、ただ、ソフトを使っているだけでは教材とは言えない。そのソフトを使って、何をねらいとしているか、メッセージは何か、ということが重要なのである。

昨今の視聴覚教材はねらいが曖昧なものや、操作が難しいものなどがやや多い傾向にあるが、この教材キットのスライドの完成度は非常に高く、授業を組み立てていく上で、実に使い勝手が良いように感じた。というのも、一連の流れがきちんと整理されているだけではなく、スライド1枚あたりの完成度(一話完結度とでも言おうか)がとても高いのである。

よって、流れを重視しつつも、1枚を抜き出して教材化することができるのである。ついばみ的な使い方は正しいとは言えないかも知れないが、それができることが、ソフトの高い完成度の証左であると考える。

たとえば、「家庭経済のしくみ」スライドの8は、経済3主体の相関関係がわかりやすく示されているのみならず、国際経済との関係まで視野を広げているもので、一目で理解できるように工夫されている。

また、「ライフステージと経済計画」スライドの19〜21は社会保障制度のねらいから諸制度まで、系統立てて図解されており、これも諸制度の歴史から紹介という、オーソドックスな授業の流れを変え、異なった視点から単元にアプローチできる。

このように、これから実践していく授業として、貴重な教材を提供していただいた財団法人生命保険文化センターに心から感謝の意を示したい。この授業の成果も検証し、よりよい経済教育のあり方を考えていきたい。

 <参考文献> ・文部科学省 高等学校学習指導要領(平成21年2月 告示)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/kou/kou.pdf

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