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〜クレジットカード・ポイントカードの上手な利用を考える〜
司法書士との連携とICT(情報通信技術)の効果的な活用
  web.03
(2010.6)
東京都立板橋高等学校 高橋 恵子 先生

1.はじめに

今回の授業は、生徒にとって身近なクレジットカード、ポイントカードを題材として、生徒が望ましい消費行動を考えることができるよう、司法書士と連携しながら学習指導案を作成し授業実践を行った。

授業を進めるにあたっては、ICTを効果的に活用し、生徒に必要な情報を視覚的に捉えさせることで、生徒の興味・関心を高め、主体的な学習活動を引き出すよう工夫した。

2.実践例

(1)本時の目標

  • さまざまな情報に目を向けることができる。
  • 自分に必要な情報を選択できる。
  • 望ましい消費行動を考えることができる。

(2)本時の展開

過程 時間 学習活動・学習内容 指導上の留意点 使用ICT 及び提示物
導入Ⅰ 15分
  • 本時の目標を確認する。
  • 買い物ゲームをする。
  • クレジットの三者間契約、クレジットの支払い方法について確認する。


  • 共通の条件について確認をする。


  • 買い物の内容は、その場でくじ引きをして決めさせる。


  • 司法書士がアドバイザーとして各班の討議に参加する。


掲示物
  • 本時の目標
  • 三者間契約
  • クレジットの支払い方法4つ
  • 共通の条件
  • 買い物リスト
<共通の条件>
20代独身
給料(手取り) 18万円
家賃 6万円
公共料金 1万円
携帯電話料金  1万円
食費  2.5万円
交際費  4万円
衣服費 0.5万円
交通費 0.5万円
残金 2.5万円
<買い物の内容>
スーツ 5万円
ダイヤモンドの指輪 50万円
中古車 100万円
テレビ・ビデオ 20万円
旅行代金 2.5万円
導入Ⅱ 10分
  • 選択した支払い方法とその理由を発表する。
  • 支払総額を提示し、支払い金額を意識させる。
    (買い物をせず、2.5万円を貯金した場合についても補足し、貯蓄の重要性について理解させる)
掲示物
買い物ごとの支払総額をまとめた表
展開Ⅰ 10分
  • VTRを視聴する。
  • VTRを視聴した感想を班で意見交換する。
  ビデオ
NHK「加熱ポイントビジネス」
TBS「がっちりマンデーSP」
15分
  • カード会社、販売店、消費者それぞれの立場でカードを利用するのか考え、発表する。
【予想される答え】
  • カード会社
    加盟店を増やし、手数料を増やしたい。消費者からも手数料が多く取れる「リボルビング払い」などを利用して欲しい。
  • 販売店
    より高額な商品を買ってもらえるので、販売店側が手数料を支払ってもカードを使って欲しい。
掲示物
  • 三者間契約の図
  • 消費者の立場は前回のプリントから用意する。
展開Ⅱ 30分
  • VTRを視聴する。
  • クレジットカード、ポイントカード(電子マネー)の上手な利用法について考え、まとめる。
  • 企業の囲い込み戦略について取り上げる。
  • ポイントカードの問題点について取り上げる。
  • 相互送客について取り上げる。
  • 司法書士がアドバイザーとして各班の討議に参加する。
ビデオ
NHK「加熱ポイントビジネス」
「出社が楽しい経済学」
TBS「がっちりマンデーSP」
10分
  • 各自、自分の行動を決めプリントに記入する。
   
まとめ 10分
  • プリントに記入した内容を発表する。
  • 司法書士から話を聞く。
  • 重要な点はプリントにメモをするように促す。
 

<掲示物>    支払い総額をまとめた表(例)

買い物内容:ダイヤモンドの指輪
購入金額:500,000 円
支払い方法 総支払額 手数料合計 支払い回数
翌月一括払い 500,000 円 なし 1 回
ボーナス一括払い 500,000 円 なし 1 回
分割払い 568,400 円 68,400 円 24 回
リボ払い
月5,000 円
814,474 円 314,474 円 100 回
買い物内容:温泉旅行
購入金額:25,000 円
支払い方法 総支払額 手数料合計 支払い回数
翌月一括払い 25,000 円 なし 1 回
ボーナス一括払い 25,000 円 なし 1 回
分割払い 25,713 円 713 円 5 回
リボ払い
月5,000 円
25,862 円 862 円 5 回


生徒が選択した支払い
・高額商品は分割払い
・小額商品は翌月一括払いまたはボーナス一括払い

導入Ⅱまでのまとめ

導入でのポイントは、
(1) 「三者間契約」「クレジットカードの支払い方法」の復習を生徒同士の相互説明で行う。
(2) グループ学習を効果的に実施するために「買い物ゲーム」を取り入れる。
以上の2点である。

この2つのポイントで、生徒が主体的に授業参加出来るよう工夫した。実際、自分たちの発言やワークシートで授業が成り立っているという実感がもてたように思う。

クレジットカードで買い物をするシミュレーションでは、高額商品を購入することになってしまった班から、「この家計では無理がある」「結果的にいくら払うのだろう?」「買いたくない!」など様々な声があがった。

自分たちがシミュレーションすることで、改めて感じることも多かったようである。班ごとに支払方法を選択させたが、分割払いを選択する班が多かった。

まとめとして教師側から各商品の支払いシミュレーションを提示したところ、生徒は、分割払いやリボ払いの総支払金額の多さに驚いたようであった。

授業風景授業風景

展開Ⅰ <生徒の意見>

  • 「どんな値段のものも買える」「ポイントが付くから買う」などと都合のよい考えだけで買わないようにすべきだと思った。
  • クレジットカードを使う時は、使い過ぎないように自分の使いたい金額を決めて超えないように努力する(必要なものか不必要かを考える)。
  • 状況に応じて払い方を決めるようにする。
  • 消費者と販売者、カード会社の関係を初めて深く知った。よく考えると、カード会社はどのように利益を得ているか知らなかった。今回の授業で、手数料で得ていることを知って驚いた。商売する方は賢いと思った。

展開Ⅱ クレジットカード、ポイントカードの上手な利用法 <生徒の意見>

  • クレジットカードをもちすぎると、自分がどれくらい使ったかがわからなくなってしまうし、どんどん使ってしまうから怖いなと思った。
  • 一般の人が気楽に相談できるところが意外と身近にあってよかった。
  • 今日の授業には関係ないけれど、こういう時のためにも法律は勉強しておいたほうがいいとも思った。
  • カードはとても便利だと思った。しかし、便利な反面、注意深く使わなくては不利益があり得ることを知った。将来、クレジットカードを使う機会が必ずあると思うので、今回学習したいことを忘れずにいたい。
  • カードは色々な目的のためにあるけれど、トラブルに巻き込まれる可能性もあるので気をつけたい。これからは、カードを大切に慎重に使っていきたいと思った。
  • キャッシングをしない!クレジットカードは2枚がベスト。50万円の指輪をリボ払いで買うと手数料などで結局80万円くらいになることを知って気を付けようと思った。
  • 困ったらすぐ相談する。(5名)
  • 自分の使った金額をわかるようにするために家計簿をつけるように心がける。もし、払えなくなったらキャッシングせずに消費者センターなどに相談する。
  • 分割やリボ払い、一括払いなどのメリット、デメリットを考えて、自分の都合にあう方法を考えて支払いをしようと思った。

(3)実践の成果と課題

今回の授業では、計画段階から司法書士と連携し、本校の家庭科教員と研修会をもちながら指導案を作成した。司法書士と連携することで、実際の社会でどのようなトラブルが多いのかを知ることができた。

教員どうしの研修を行ったことで、本校の生徒の実態にあった授業を考えることができた。また、十分に準備ができたため、生徒にとって深い学びに結びつく授業になったと思う。

今後の課題として、消費者教育に関する内容は社会の状況によって変化することから、教師自身が常に問題意識をもち、場合によっては、生徒に必要な問題を専門家と連携しながら教材化していくことも必要であると考える。

3.終わりに

今回は、テレビで放映された経済番組の一部を利用し、ICT機器を活用して視覚的に捉えさせるなどの工夫をした。このような手法は、生徒には理解しやすく好評だった。学年末考査でも該当する設問に対し、自分なりに表現しようとする解答が複数みられ、ICTの活用が効果的であると実感することができた。

本時の目標を「さまざまな情報に目を向けることができる。」→「自分に必要な情報を選択できる。」→「望ましい消費行動を考えることができる。」としたが、グループ活動とICT機器の活用によってそれを達成できたと思う。

また、消費者問題に関する情報を得る場所やトラブルに遭ったとき相談出来る場所、基本的な消費者としての考えを出来る限り伝える必要があることを改めて感じた。将来、消費者として適切な意思決定に基づいて責任をもって行動できる力を、家庭科の授業を通じて身に付けさせることが重要である。

※『全国家庭科教育協会機関誌「家庭科」(平成22年度2号に掲載)』

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