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「消費者教育」への公民科の多様なアプローチと実践例
−環境教育、そして「総合的な学習の時間」、
   さらにサークル活動との連携を通して−
  web.08
(2010.11)
神奈川県立海老名高等学校 梶ヶ谷 穣 先生

1.はじめに

−「総合的な学習の時間」、そして特に「環境教育」と連携した「消費者教育」の実践を1つの大きな柱として−

本校は平成19年度より、神奈川県教育委員会から「環境・エネルギー教育重点推進校」の指定を受け、特に1・2年生の「総合的な学習の時間」の一部を「環境学習」の実践にあてている。また地球温暖化防止に向けた省エネの普及・啓発活動として、これまでNPO法人(ソフトエネルギープロジェクト)と県環境農政部との協働事業のもと、地域学習センターや太陽光発電設備を設置して地球温暖化防止に向けた様々な取組を行ってきた。

そしてこの8年間、本校は例年12月に東京のビッグサイトで開催される「エコプロダクツ展」(主催は(社)産業環境管理協会、日本経済新聞社、そして文部科学省等が後援)にブースを出展し、環境学習に関する「調べ学習」等の成果を発表している。

また、この「エコプロダクツ展」での学習効果をより一層高めるために、事前学習として例年11月上・中旬に1年生の「総合的な学習の時間」において、"グリーンコンシューマー(緑の消費者)"の視点からのアプローチとして、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)のご助力をいただき「環境総論」の講演会を開催、さらに下旬には1年生の各ホームルームごとにNACSの講師による「環境に配慮した商品選びの実習」を、さらに各クラスに1社ずつの環境の授業を実施してきた(22年度は東京電力や新日鉄、シャープ、そしてイオンなど9社を予定)。

これらの授業においては、「環境に配慮した商品購入のあり方」や「企業の環境対応、環境に配慮した商品開発」などのテーマのもと、環境学習のみならず「消費者教育」や「キャリア教育」の観点からアプローチする授業も実施され、生徒にとっては毎回極めて有意義な授業が展開されている。

そして、これらの11月の事前学習に続き12月には、上記の「エコプロダクツ展」で当該企業へのブース見学等が行われるのである。このように本校では、「消費者教育」を「環境教育」と連携させ、さらにまた外部の団体や企業等のご協力により専門家の方々による「環境学習」が実施されていることが大きな特色である。

●本校における 「消費者教育」展開のイメージ

本校における 「消費者教育」展開のイメージ

さて本校は、「消費者教育」について研究校等の指定を特段受けていないが、家庭科や公民科等の教科指導とともに、前述したように「消費者教育」が「総合的な学習の時間」において「環境教育(学習)」と連携しながら、そしてあらゆる学習場面を通じて実施・展開されている。

これは「消費者教育」が、主体的判断ができる"賢い消費者"の育成を目標に、財やサービスの購入を考察させることであり、また一方、「環境教育」は"持続可能な社会"を目指す教育であり、そしてこの2つはともに前述の"グリーンコンシューマー"というキーワードのもと、生徒たちの学習活動としてきわめて重要な教育であるからである。

さらにまた今後は、「シチズン・シップ教育」との連携からもこの「消費者教育」がより一層高校の学習場面で展開されることになると思われる。

2.海老名高校「消費・経済研究会」(海老高ファイナンス・クラブ)の活動

18年度から、本校では消費者問題や経済に興味や関心のある生徒(1〜3年生、今年度は約60名)が参加する、部活動や同好会でもない任意のクラブ(サークル)として「消費・経済研究会」(通称・「海老高ファイナンス・クラブ」)を結成し活動を行っている。

このサークルの結成の趣旨は、「消費」や「経済」に関して興味や関心のある生徒により研究活動をさせてみたい、また部活動の入部率が極めて高い本校において他の部活動もともに活動できるような「緩やかな?活動」を前提にクラブ活動をしてみたい、さらにこれまで「帰宅部」であった生徒のセーフティーネットとしてのクラブ(サークル)として活動したいということなど、様々な理由からであった。

本年度(平成22年度)のクラブの活動概要

(1) 夏季休業中に、「消費者問題」や「経済」に関してメンバーの生徒等による「調べ学習」(テーマや学習のスキルを個別指導した)を実施し、その成果は9月の本校の「文化祭」で展示発表を行った。
 
(2) 「消費・経済・環境」に関するアンケートを夏休み中に作成し、文化祭後の10月に主に1年生の各クラスのホームルームの時間においてアンケート調査を実施した。このアンケート調査は現在(11月)ファイナンス・クラブのメンバーによって集計中である。⇒ 【アンケート項目の一部を抜粋】
 
(3) 11月1日(本校の開校記念日)には、日本銀行・東京証券取引所の見学会を実施した。これにはクラブの生徒21 名が参加、充実した見学が実施できた。この見学会実施の意義は、近年、「金融・経済教育」の充実が叫ばれ、また新学習指導要領においてもその履修の拡充が盛り込まれており、将来、「金融・経済社会」の一員として活躍する生徒にとって、これらの見学会の有意は大きなものであろう。
 
(4) 前述の「エコプロダクツ展」に向けて、「エコプロダクツ展」参加企業の『CSR報告書』や『社会・環境報告書』、そして『サスティナビリティー報告書』等により企業の社会貢献・CSRや環境対策について「ファイナンス・クラブ」を中心に調べ学習を現在実践している。そして本年12月の「エコプロダクツ展」会場において、その一部を展示・発表させていただく。
 
(5) 本年12月には、クラブの生徒複数名が、『エコノミクス甲子園』への出場(金融知力普及協会主催・会場:横浜銀行本店、神奈川県県教育委員会等後援)を予定している。
 
(6) 中間テスト終了後の12月中旬には「ファイナンス・クラブ」の重要な課外活動の一つとして第一回目の「経済セミナー」を開催する予定である。このセミナーについては、セミナーの講師を日本FP協会に依頼し、高校生にも興味・関心が高い「金融商品の基礎知識」を主テーマに授業(セミナー)を実施できたらと考えている(なお、同協会では9月に「高校生用」の最新テキストを刊行済みで、今後本校の「現代社会」の授業でも活用させていただく予定である)。

さらにまた今後の活動として、年が明けたら前年度に実施した刑事裁判の傍聴(横浜地方裁判所)や、神奈川県の「消費生活センター」等の見学会を実施したいと計画中である。昨年度は8月の夏季休業中に、クラブのメンバーが横浜弁護士会の「サマースクール2009」に参加、さらに同会のご協力のもとに約40名の生徒が2日(2グループ)に分かれて実際の刑事裁判を傍聴、それぞれ午後には県の消費生活センターなどを見学させていただいた。

このような「ファイナンス・クラブ」の活動概要については、年度末に以下の「環境学習」の報告とともに「活動報告書」の作成を予定している(活動報告書については、神奈川県の平成22年度『消費者力アップ!県民提案事業』の一環として作成予定である)。

3.「エコプロダクツ展」へのブース出展、そして「エコ弁当」の展示

本年度の「2010 エコプロダクツ展」[12月9日(木)〜11日(土)]においても、「海老名高校」はブースを出展し、環境に関する「調べ学習」や「企業」のCSR(社会的責任)に関する「調べ学習」、さらにまた上記のアンケートの集計結果の一部を活動成果として展示発表させていただく予定である。

また、「ファイナンス・クラブ」の近年の新しい活動の一つとして、平成21年度から家庭科との連携のもとに始めた、海老高生が考えた海老高版『エコ弁当』を、NACSの方々そしてお弁当の業者である((株)日東ベスト・爽健亭)のご協力のもと共同開発させていただき会場の本校のブースで発表させていただくため準備中である。

昨年度は約10名の「ファイナンス・クラブ」の生徒が中心となり、「フードマイレージ」や「エコクッキング」、さらに「地産地消」などの観点から商品開発を行い、昨年の「エコプロダクツ展」開催期間中に2種類の「エコ弁当」(「オレの作ったエコ弁当」など)を上記の業者さんに試作していただき発表した。期間中、この試作品について多くのブース来場者の方々から多くの好意的なご意見やご感想を伺うことができ、「食」の消費者としての観点から、そして新しい取り組みとして大きな成果をあげることができた。

そして本年度も、1年生の「ファイナンス・クラブ」の生徒を中心に約40名が「エコ弁当・プロジェクトチーム」を結成し、本年9月から企画会議や学習会を開催し準備をしてきた。学習会ではKJ法による「エコ弁当」のコンセプトの決定にはじまり、最終的には5種類の海老高生による海老高版『エコ弁当』を「エコプロダクツ展」の3日間の期間中ブースに展示させていただく予定である。

さらにまた、12月の「エコプロダクツ展」終了後には、「エコプロ展」の出展企業であり、また11月の企業による事前授業を担当していただいた丸井(マルイファミリー海老名店)の店舗見学と環境学習会を「ファイナンス・クラブ」の活動として予定している。

4.最後に

−生徒に様々な経験を、そして感動を与えたい!との願いから−

今回は、本校の「消費者教育」の展開の概要を、特に「ファイナンス・クラブ」の活動を通じて報告させていただいた。クラブの活動内容は「消費者教育」と「経済教育」、さらに「法教育」や「シチズン・シップ教育」にもアプローチするものである。「経済」や「消費生活」などについて、実は多くの高校生が関心や興味をもっていることも事実である。可能な限り、それに応えてあげたい!という強い思いから活動を実践している。

また機会が与えられれば、次回には高校生と「パーソナルファイナンス」に関する「現代社会」の授業報告等をさせていただければ幸いである。

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