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『消費行動を考える』 〜消費者として自立する〜
  web.10
(2011.1)
柏市立柏高等学校 細谷 淑子 先生

1.単元について

(1)設定の理由

消費者センターには、「お金を借りて返せない。どうしたらよいか」など、借金に関する相談が多く寄せられており、多重債務が社会問題になっている。

このような現代社会の消費者は、消費生活に関する必要な知識を習得する機会や情報収集後の取捨選択など、自主的かつ合理的に行動することが求められている。生徒達には消費者として責任ある行動ができ、経済的に自立した生活を目指す能力を身につけさせたいと感じ、設定した。

(2)目標

消費行動において、意思決定のプロセスとその重要性について理解する。契約、多様な販売方法や支払い方法、問題商法について認識できるようにする。また、被害のあった場合の解決方法を認識し、対処できるようにする。

消費者の権利と責任について理解し、消費において主体的に判断し責任をもって行動できるようにする。また、家庭の収入や支出、予算生活の重要性について認識する。最終的には生活設計と関わらせて、長期の経済設計の必要性について理解する。

2 指導計画(7時間)

対象学年 1年生(家庭総合)
  • 毎日が消費行動・・・・・・・・・・・1時間
  • 契約社会と消費者+VTR・・・・・・3時間 (本時2/3)
  • 消費者の権利とこれからの消費者・・・1時間
  • 経済的に自立する・・・・・・・・・・2時間

3 本時

(1)目標

  • 問題商法の特徴とトラブルにあったときの対処方法を理解する。
  • 消費者信用の仕組みを知り、利用する際の留意点を知る。
  • 金利の計算ができる。

(2)消費者教育の視点

  • 現金払いとカード払いの違いを確認し、理解することができる。
  • 借りたなら返す方法を考えて返済計画と計算を学ぶ。
  • 生活設計を考え、多重債務に陥らない自立した生活を目指す。

(3)展開

時配
(分)
指導内容・学習活動 指導上の留意点
(■消費者教育の視点・◎評価)
備考
20 2.契約社会と消費者
【3】支払い方法の多様化と消費者信用
   
(1)消費者信用と仕組みについて確認する。 ■消費者信用を確認し、販売信用(クレジット)と消費者金融(ローン)の違いを理解する。
(2)クレジットの仕組みをまとめる。 ■三者間契約の仕組みを確認し、クレジットカードの入会申込書を記入しながら信用売買であることを理解する。
◎二者間契約の場合で確認
クレジットカードのパンフレットを利用
*前払い
*後払い
*即時払い
(3)カードの特徴と用途を知り、自分の家族が持っているカードの分類をする。 ■カードの利用方法を確認する。プリペイド、キャッシュ、ローン(キャッシング)、クレジット、デビット。
◎自分の持っているカードもしくは、知っているカード名で分類の確認
10 (4)クレジットカードを利用して支払いする場合の返済方法を学ぶ。 ■アドオン方式と残債方式を紹介し、計算方法を学ぶ。
◎年利率の計算方法
■借金の総額、毎月の支払額を把握する必要性を理解する。
◎お金に流されない消費を生活に生かせる
 
(5)クレジットカードを利用する際のメリットとデメリットについて学ぶ。 ■クレジットカードを持ったときの注意点を理解する。 リボルビング払い
20 (6)多重債務急増の背景は何か設問する。 ■カード使用時の注意点や返済金額と利息の関係など原因を理解する。
◎消費者の自立を求められていることを行動に移せる
出資法
利息制限法
(7)多重債務に陥った場合を紹介する。 ■多重債務に陥った場合の解決法と自己破産による影響を理解する。
◎収入支出のバランスから家計を管理できる力
新聞記事等
(8)まとめ
本時のまとめ、次回の予告
   

4 実践報告

(1)児童生徒の様子・変容

  • 身近なプリペイドカードやポイントカードに対する利用方法は十分に把握できているが、キャッシュカードやクレジットカードについては利用していないため想像の世界になっている生徒が多数おり、認知度は低かった。
  • 現代社会においては、生徒自身が数種類のカードを所有し利用しているが、支払方法の異なるカードの違いやセキュリティー面での安全性など認識不足にもかかわらず日常生活に溶け込むように使われている点が不安に感じた。
  • クレジットカードを所有している生徒はおらず、カード発行の話からはじめたが、個人情報満載の信用調査が行われてから発行されるカードと理解できた。
  • クレジットカード1枚だけでも支払方法が多数あることを確認できた。

(2)成果

  • クレジットカードの支払は手数料によってクレジット会社が利益をあげているため、分割やリボ払いで購入すると商品の代金よりもより多くの金額を支払わなければならないことが理解できた。
  • リボ払いの支払方法は家計管理が重要であり、特に毎月の支払金額や残金確認は必要である。生活設計するためにも収入と支出のバランスを考えた利用方法が重要と理解できた。
  • リボ払いの場合、計算や確認表作成は手間がかかり、難しいと感じた生徒が多いので、利用は検討すべきと慎重になれたようだ。

(3)課題

  • 支払方法の異なるカードの違いやセキュリティー面での安全性など、認識不足でも日常生活に使われているだけにカードについてはさらに認識・理解を深める必要性を感じた。
  • 授業展開としては多重債務に陥りやすい場合の1つとして、家計のバランスを崩したクレジットカードの使用方法、支払方法が原因と伝えたく、盛りだくさんの計画になってしまった。また、現金以外の支払を利用する機会が増えるので、その利用方法を確実に把握し、認識を深めさせたかったので、予定時間外ではあるが金融庁HPを紹介することにした。授業時間がほしいところではあるが、限られているので、来年度は授業展開の選別を検討したい。

(4)使用教材・資料等

  • 教科書:「新家庭総合」実教出版
  • VTR:「油断大敵!悪質商法」日本消費者金融協会
  • ワークシート:「ライフスタディ家庭総合」実教出版

(5)教育委員会から

本授業では、クレジットカードの仕組みについて具体的に説明がされ、わかりやすい授業内容になっていました。また、各返済方法について実際に計算してみるという活動を取り入れたことは、支払額が多くなることを実感できる大変効果的な方法となっていました。

さらに、近年、問題が急増している多重債務の状況やその解決方法と自己破産の影響等、現代の消費生活の課題や対処方法について具体的に取り上げ、消費者として主体的に判断し、責任を持って行動ができるよう、実践的な態度の育成を目指した学習展開がなされています。

まさしく、消費生活に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、家庭生活の充実と向上を図る能力と実践的な態度を育てるという学習内容になっています。

(6)消費生活センターから

本実践は、消費者教育体系シートによると「契約・取引」領域にあたります。

本時の展開は消費者教育の視点を、「支払方法の違いを理解する」、「借りたお金の返済方法と返済計画と利子の計算を知ること」、「生活設計を考え、自立した生活を目指すこと」としています。クレジットカードを利用した場合、返済する時の利子について計算してみることで具体的に理解できたと思います。計算して数字を見て実感することは、必要なことだと思います。

カード社会が進む現在、高校生の段階では、契約学習として、カードの仕組みやカードを巡るトラブルなどの教育は重要です。

*なお、この実践は、柏市消費者教育推進連絡会発行の『消費者教育授業実践事例集』(平成20年3月発行)から抜粋したものをまとめたものである。

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