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高等学校家庭科教材キットを活用した「住生活」への授業
  web.02
(2011.5)
東京都立足立新田高等学校 三野 直子先生

はじめに 

情報機器は、家庭に浸透しているにも関わらず、学校という教育現場では、今なおすべての教科で活用されていない現実があると思われる。

東京都は数年前から都立高校1校につき、全学年全クラスにE−BOXを配置した。いわゆる電子黒板での授業に使用する機器である。スクリーン、DVD再生、パソコン、プロジャクター、スピーカー、電子ペンなどが1つのBOXにあり、移動可能の情報機器である。

本校ではどの教室にも設置されているものの、限られた授業時間の中でこの機器を使うとなると、PCの立ち上げからスクリーンを黒板に貼るなど作業を授業前の10分で行わなければならない。
家庭科ではクラス用とは別に1台を被服室に置いてある(全クラス分の他3台追加有)。本校では、このE−BOXを東京都が配置する前に5台自立経営予算で購入しており、多くの先生が活用していた経緯がある。

一度この機器を使用してみれば、長所・短所も分かり、黒板中心の授業に変化が出て、生徒の授業に対する関心・期待が見て取れる。そこで、新しい「家庭経済」授業プランパワーポイントの活用での授業展開例を紹介したいと思う。

※ 【新しい「家庭経済」授業プラン】は生命保険文化センターが作成したパワーポイント教材です。
当サイトから自由にダウンロードできますので、ぜひご活用ください(生命保険文化センター)。
⇒パワーポイント教材【新しい「家庭経済」授業プラン】はこちらから
⇒教師用手引書、ワークシートはこちらから

1.どの領域で活用できるか。

このパワーポイント教材キットは、家庭経済での活用を紹介しているが、今後の新教育課程で家庭科は「家庭基礎」を今以上に多くの学校が履修すると思われる。4単位の内容を2単位でとなると「食生活」領域はかなりの時間を割くと考えられるが、「住生活」領域はどうであろうか。4単位でもこの「住生活」領域は後回しになっているのではないか。

そこで、このパワーポイント教材キットを活用して、「住生活」領域に導く指導案を紹介したい。

本校では、1学期に家族・家庭を学び、2学期に衣生活(エプロン制作を含む)、3学期に家庭経済・住生活を学んでいる。3学期という少ない授業時間の中で住生活領域を生徒にとって身近な事象として捉えさせることを念頭に授業展開をした。

2.授業の進め方

まず、自立をキーワードにライフサイクルから30年後、今、身近な将来としての進路・進学から家庭経済、家計費(身の回りの費用、さらに進学のための費用)を理解さて、家賃(住居費)から住生活領域へと導く。

家計費の学びは、その内容自体が生徒の生活体験からかけ離れているため面白みがなく、退屈なものとなりがちである。しかし、自分が大学進学や就職による一人住まいを始めたとたんに必要になり、生活費のやりくりをしなければならない。そこにはお金を使うことはだれでもできても、リスク管理は誰かが教えないと出来ないことが含まれている。限られた収入で支出を考えることは、家賃設定(月収の3分の1)にも繋がる。

パワーポイントの長所である、スピード感あふれる授業内容の展開が生徒には新鮮であり、集中に繋がる。但し、スクリーンで投影しても、文字は後ろの生徒には見づらいので画面に即したワークシートは必要不可欠である。(*授業展開例のワークシートは省略)

また、グラフなどの文字はワークシートに同じ内容をのせて、生徒に読ませることで立ち止まり、内容を深めることが可能になる。

【実際の授業展開例(50分)】
30年後の自分 「30年後の自分?」
まず、30年後の自分を想像させる。
すでに家族については学習しているので、自分の家族も同時に想像させることでいろんなことが見えてくる。
高校生が考える”未来” 「高校生が考える“未来”」
30年後はどんな生活かという問はワークシートに同じものを記載し、自分に当てはまる内容に○をつけさせるようにした。
問を生徒に読み上げさせながら、進める。
家計と国民経済 「家計と国民経済」
家計を中心に説明する。その場合、企業を生徒に分かりやすくするためお菓子の会社とし、「コアラのマーチ」など商品名をあげて、企業の必要とする小麦粉・チョコ・バターなどの原材料を購入する資金は銀行から借りるなど具体的に流れを示すことで関心・理解を深める。工場で働けば、賃金を受け取る流れはアルバイトにも繋がる。
家族の構成 「家計の構成」
教科書にもこの構成は記載されているので、見えづらいようなら、教科書を併用して、穴埋めで内容を学習するのも良い。
消費支出の中の生活費には高校生の自分に関わる費用の支出があることを示し、『ワークシート1』の学習へと繋げる。
『ワークシート1』 『ワークシート1』
制服の費用は事前に調べておき、生徒に知らせる。その他には定期代、部活や塾など予め計上されそうな費目をあげておくと記入しやすいと思われる。
記入時間を示し、最後にまとめをする。

3.まとめ

このパワーポイントの授業の最後に書画カメラがついていれば、生徒の『ワークシート1』をスクリーンに数枚写し、どのくらいかかっているかを見せるのも良いと思う。個人のプライバシーに触れる場合は平均を示すのでも良い。書画カメラがなくても、デジタルカメラをパソコンにつないで写し、パソコン画面をプロジェクターでスクリーンに映すことも可能である。

この授業展開例は上記の授業のまとめのあとに教育図書のVTR「マイホーム・マイルーム」を視聴し、住まいに関する基礎知識を学び、住宅賃貸雑誌での部屋さがしへと繋げ、「住生活」領域の学習に入る。

パワーポイントは、先に述べたようにスピードがあり、生徒の顔を見ながらどんどん授業を進めることができる。自分(教師側)が板書する時間がない分、先に進む速度も速くなる。生徒がワークシートを記入している時間を見計らいながら、しゃべらないとついて来れない生徒が出るので注意したい。

東京都は、パワーポイントの授業をしやすい環境にあるが、パソコンは自分で持っている先生方も多いとおもわれるので、プロジュエクター(最近は5万円以下)を教科、もしくは視聴覚設備で購入することでこのような授業の取り組みは可能になると思う。

パワーポイントに慣れると、今回紹介した教材を自分で加工することも出来るので、身の回りのお金からすぐに教育費、特に卒業後の進学に関わる費用の場面へと飛ぶことも出来るし、自分が必要とする内容を記載した場面を導入することも出来る。

紙面の都合上、教材のパワーポイントの画面は全部紹介していないが、この授業案は「30年後の自分」から『ワークシート1』まですべて使用して授業を構成した。実際にこの授業を本校でしているが、生徒からは概ね楽しいという感想をもらっている。毎回、毎回この形態の授業では、飽きがくるのでどのような授業ですると良いかなどは今後の課題である。

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