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「家庭総合」社会保障における時代の違いから今の社会保障制度を学ぶ
  web.02
(2012.5)
東京都立足立新田高等学校 三野 直子 先生

1.はじめに 

家庭科は平成25年度より新教育課程となるにあたり、「家庭基礎」2単位を設置する学校が増えると思われる。家庭総合4単位から家庭基礎2単位になっても家庭科の内容は生活周辺の事象を科学的に自分のこととして見つめ、考える力を持ち、社会の一員としての生活者として消費者として人生を豊かに送ることを目的に構成されており、2単位になれば、学びを効率的に教える必要がある。

豊かな人生には自分の確固たる価値観を持つことが望まれており、その内容は公民と重なる内容があるが視点を変えて見つめることで自分がどのように行動するかに繋がっていく。

簡略すれば、社会の事象を広く、浅く、しかし生活の中で連続した事象として続けて、見つめ、考えることである。人の一生として生活を支える社会保障制度を分かりやすく学ぶことを目標にこの題材を選んだ。

2.授業の位置付けとねらい

◇対象学年 2年
◇対象科目 家庭総合
◇使用教科書 教育図書「新家庭総合」ともに生きる くらしをつくる
時代の違うイメージ会話を通して、時代の社会保障を比較し、過去・現在・未来の社会保障制度を考えさせる。

3.授業展開例(1時間)

  学習活動 指導上の留意点
導入 ○850年頃のドイツでの会話と1990年頃の会話を比較し、それぞれの時代の現状を知る。
ワークシート1(PDF)
ワークシートの会話を生徒に読ませ、その会話にあるキーワードを書き出させる。
展開1 ○時代の違う会話から今の社会保障制度を知り、社会保障制度整備の歩みも知る。

○18世紀後半を「フランダースの犬」のネロの人生から当時は「貧しさと死は隣り合わせにあった」ことを知る。


○人の一生から今の社会保障制度を知る。
ワークシート1の資料参照


社会保障制度があれば、ネロの人生は変わっていたことを知らせる。(祖父の死で孤児、放火犯の嫌疑から無収入・ホームレス、奨学金を貰えず進学断念など)

平成20年版「厚生労働白書」資料
展開2 ○社会の弱者である高齢者に対するイメージ(プラスとマイナス)を出し合い、高齢者を理解する。


○高齢者の肉体的老化を知り、なぜ社会が高齢者を支える必要があるのかを知り、考える。

○家族・家庭の領域で学んだ「少子化、核家族化、シングル化」など家族の変化を再確認しながら、高齢社会の問題点を考え、まとめる。
ワークシート2(PDF)
ワークシート3(PDF)
それぞれが持つイメージが固定化された高齢者像を作っていること、いずれは自分の親、50年後には自分がその中に入ることを知らせる。

ライフサイクルの変化が長期化する老後、介護期の出現をもたらしていることを知らせる。

「高齢者か老人か」その呼ばれかたもまた社会での偏見につながることを知らせる。

加齢の正しい理解が高齢者の残存能力を生かし生活してくことに繋がることを知らせる。
まとめ ○今の社会保障制度を支えるのは自分たちであり、自分が高齢者になったら、どのような社会を望むか、自分の考えをまとめる。 本時の学習をワークシートにまとめて提出させる。
参考資料:
生命保険文化センター作成報告書より抜粋「イメージ会話」
VTR「助け合いの社会」
絵本「フランダースの犬」、新潮文庫「フランダースの犬」
教育図書副教材「最新家庭科データグラフ」

4.生徒の感想

ほとんどの生徒は、自分の持っていた高齢者に対するマイナスのイメージは多くあげられるが、プラスのイメージが少ないことに気づく。

学習をとおして多くの生徒は高齢者にいつかは自分もなることを自覚でき、長生きするにしても「健康である」「元気でいたい」と考えるようになった。また、高齢者に対して座席をゆずるなど普段は知っていても行動できなかった自分を顧みて、行動してみようという感想を多く見ることができた。

そして、豊かさの指標はお金だけでなく、自分を豊かにできるもの、心の豊かさに目を向けることに気づき、実践したいと考えるようになった。

5.まとめ(おわりに)

社会保障制度を分かりやすく知るきっかけとしてイメージ会話を使い、生徒の関心を向けさせる手法として「フランダースの犬」を題材として取り上げている。社会保障制度はともすればその内容の説明に焦点を合わせるため、難しい授業内容になりがちである。

教師にとって教えたい内容が生徒にとっては関心が持てないというギャップを生み、つまらないと思われてしまうことがどの教科の内容にもあると思う。家庭科では、はじめにでも述べたように自分自身のこととして生活周辺事象を捉えることが求められる内容が多いということから、いろいろな書籍やDVDなどを活用すれば導入として使えるものが多くあると思う。

「フランダースの犬」は授業時間に余裕があれば、DVDを見せることで当時の庶民の生活や社会保障制度を教会が代わりにしていたなど、物語を見る目が光を当てる方向の違いで変わることも教えられる。様々な角度で今ある事象を見つめることができることこそ「生きる力」に繋がると考えている。

社会保障制度は「家族・家庭」の分野では少子化・高齢社会で、「高齢者のくらし」の分野では高齢者の生活など授業との関連の流れでどこでも入れることが可能であることから積極的に取り入れてもらいたい内容である。

自分たちがこれからの社会を支えていくことを見つめさせることが出来る。年金は自分たちが掛けても貰えないというマスコミの否定的な情報で未来に希望が見えない。対極的に捉えれば、国が自分の代わりに貯金をしてくれるという考えもまた1つである。

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