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生命保険文化センター実学講座の活用について
−点から線へ・広がりへと−
〜一連の授業とロールプレイ〜
web.11
(2013.2)
京都府立洛北高等学校 竝川 幸子(なみかわ さちこ) 先生
生命保険実学講座を動画でご覧いただけます≪平成25年9月実施 授業風景≫

同授業では、生徒の関心を高めるため、生徒代表によるロールプレイングを導入していますが、通常の実学講座では、当センター職員が「高等学校家庭科教材キット(当センター作成)」などを使用して、わかりやすく説明します。

 

1. はじめに

生命保険文化センターの実学講座を利用して3年目になる。きっかけは、学校に送付されたリーフレット。
それを私が目にしたのは、現在の学校に赴任した1年目の7月のことである。

夏休み明けの授業は、「人生設計」から展開する。その内容には「リスクに備える保険」も含めていた。

2年生で履習するクラスもあるため、深みのある授業展開を目指したいと考え、各クラス単独による講義を条件に、8月に生命保険文化センターに依頼したところ、快諾いただいた。本校は7クラス(5クラスが1年生、2クラスが2年生)が「家庭基礎」を履習している。

授業展開案やワークシート作成など担当の方と何度もやりとりしながら、9月中旬に本校で講義を実施。
それから毎年、本校で講義いただいている。特に、昨年・今年は大阪で実施された生命保険文化センターと日本損害保険協会共催の教師対象の「セミナー」に参加するとともに、本校での講義内容等についてもそこで直接相談させてもらい、ロールプレイについても、十分話し合うことができた。

ここでは、平成24年9月に講義いただいた内容を中心に報告したいと思う。

 

2. 生命保険文化センター講義に係る「依頼内容」

(1)ねらい
ライフプランのなかで、「リスクに備える」ことについて考えさせる。
公的保障(社会保障)と私的保障(貯蓄・保険)の観点を主にアプローチする。

(2)依頼条件
家庭科必修科目「家庭基礎」において、1クラスずつの講演を実施する。
講演内容やワークシート等は協議・検討し決定する。
ロールプレイングを授業に含める(台詞は予め、竝川又は生命文化センターが考え、協議する)。
非常勤講師のクラスは、ワークシートの流れに沿って講話中心とする(ロールプレイはなし)。

(3)実施後
生徒のアンケートは、生命保険文化センターへ渡す(アンケート内容は竝川が考える)。
特に質問があれば、後日回答をメール送信。授業で配付・説明する。

 

3. 生命保険文化センター講義に係る「学習内容」

(1)講義までの学習内容
【ア:人の一生と発達】
・ライフステージと自分の一生(人生設計)を考える。
・出生から現在に至るまで、心に残る出来事などを書き記す。
・これからの人生どのように歩んでいきたいか、死亡までをライフイベントとともに書き記す。
・20歳になれば国民年金の保険料を支払うことや、親の介護、自分の病気・老後などについても考える。

【イ:家庭の経済と消費−命を育んだ費用を考える】
・出生から高校卒業時まで、自分の命を育んだ費用を概算する。
・高校入学後、これまで教育費として使った費用を概算する。
(1年生は夏休みまで、2年生は1年間と2年生夏休みまでとする。)

【ウ:収入・支出の分類を確認する】
・本校に届いた求人票から福利厚生、特に社会保険について知る。 <具体的内容は講義で説明>
・収入について、ある社会人1年生の給料明細をもとに、社会保険について知る。<具体的内容は講義で説明> ・収入・支出の分類について理解する。<時間の関係上、講義後の学習となる。>

(2)講義後の学習内容
損害賠償保険について理解する。

 

4. 生命保険文化センター講義内容「リスクに対する社会保障と私的保障」

協議・検討を重ね、以下に示す内容で講義いただいた。
授業時間50分のなかで、ロールプレイングを2回含め、発問と合わせて講義を進行する。 

評価規準:将来にわたるリスクを想定して、不測の事態に備えた経済計画の重要性を認識するとともに、
自分の生活に生かすための検討ができる。【関心・意欲・態度】
 
(1)展開案(講義者は生命保険文化センター 斉藤 数弘 氏)

  時間 内容
導入 2分 ・挨拶・講師紹介・本時の内容について説明(竝川)
2分 ・求人票から考える(斉藤氏)
発問(1) 職種は似ているが、具体的に何が違うのだろう・・
展開 14分 1.求人票から考える−社会保険制度について
求人票(パート・アルバイトと正社員)から給与や社会保険の違いに気付かせる。(斉藤氏)
※雇用形態の違いや条件・自分の生活環境と併せて考える。

(1)「社会保険制度」について説明する。(斉藤氏)
(2)「国民年金制度の概要」について説明する。(斉藤氏)
(3)「その他の公的年金制度」について説明する。(斉藤氏)
※それぞれの内容はワークシートに記入
8分 2.リスクに対する公的保障と私的保障
(1)「医療保障」について(竝川指示)
ロールプレイングから場面を想定し、その対処方法・備えについて考える。
ロールプレイ(1)  登場人物【友人(社会人)3名 救助隊1名】
みんなで楽しいスキー旅行。 転んで怪我をしてしまったらどうなるの・・
「医療保険」について説明する。(斉藤氏)
8分 (2)「死亡保障」について(竝川指示)
ロールプレイ(2)  登場人【母親 父親 長女 長男】
一家の大黒柱である父親が突然他界。 遺された家族はどうなるの・・
「死亡保険」について説明する。(斉藤氏) ・・ワークシートに記入
5分 (3)「老後保障」について
発問(2) あなたのおじいさん・おばあさんは何歳?生活費はどうされている?
人生設計の中で、老後の生活費についてどのように考えた?
「老後保障」について説明する。(斉藤氏) ・・ワークシートに記入
3分 3.「貯蓄と保険との違いについて(斉藤氏)
3分 4.質疑応答(竝川・斉藤氏)  ※時間をみて、質疑応答の時間を調整。
まとめ 5分 講義のまとめ(斉藤氏) ※生徒の様子や時間を見て「まとめ」を調整。
アンケート記入・回収を指示(竝川)
挨拶

(2)講義におけるワークシート
ワークシート両面印刷1枚を生徒に配付し、講義終了後に提出させる。   
ワークシートの内容は、講義を聴きながら記入する部分と自分で考えて記入する箇所を織り交ぜた。
裏面右下は「考察」として欄を設け、本時間の学習のまとめと理解度が確認できるようにした。

【ワークシート:表】
【ワークシート:表】

⇒ ワークシート:表(PDF)


【ワークシート:裏】
【ワークシート:裏】

⇒ ワークシート:裏(PDF)


(3)講義後のアンケート
アンケート結果を生命保険文化センターの今後の講義に生かしていただくことを含め、次の内容とした。
代表的な感想や質問を以下に示す。

【アンケート】
【アンケート裏】

【生徒の感想】 ・パート・アルバイトも悪くないのではないかと考えていたが、やはり安心した暮らしができそうな選択肢を選びたいと思った。 ・年金や社会保険などは名前は知っていたが、どのような種類があるかは知らなかった。とてもよい話を聞けたと思う。特に年金に遺族年金などがあるということを知ることができた。 ・保険の名前はいくつか聞いたことがあるものの、複雑なイメージがあり、内容はあまり知らなかったので、この機会に聞くことができてよかった。
【生徒の質問】 ・これからの年金保障は大丈夫なのですか。 ・今、少子高齢化の時代ですが、若い頃に払った分、ちゃんと戻ってくるのですか。 ・「持病」は保険加入にどうかかわっているのですか。また、自殺などの場合、保障はどうなりますか。 ・保険会社が倒産したらどうなるのですか。

 

5. まとめにかえて

(1)今回の講義について ・これまでの経験から授業時間50分内に収まることは難しいと予測し、休憩時間までの延長を想定。
2時間連続の授業設定のため柔軟に対応することができ、アンケートは次時間に記入させた。
・ロールプレイを入れることで、生徒たちは場面設定を考えやすく、講義にもメリハリがついた。 ・授業参観に来ていた担任は、これからを生きる生徒にとって価値ある講義の内容と、ロールプレイを取り入れたことに感心していた。 ・人生のリスクを考える中で、社会保障と貯蓄や保険を上手に組み合わせて活用することが、自分たちの生活を守ることに繋がることに気付いたようで、それは生徒の感想から読み取ることができる。
(2) 学年度末のアンケートから・・平成23年度
1年間「家庭基礎」の学習・実習内容等を振り返り、特に記憶に残る内容や生活に役立つと思う内容などについて生徒からアンケートをとっている。調理実習や茶道体験・乳幼児との交流・自助具と製作に携わる高齢者ボランティアなど、実習・体験学習関係が上位を占める中、保険関連の内容が印象に残る、これからの生活に役立つと16%の生徒が記した。

【学年度末のアンケートから・・生徒の意見】 ・今後、民間保険などのことも考えていかないといけないので、講義で学んだことが役立つと思う。 ・保険関連の話は知っておかないと大変なことになるので、特に生活に役立つと思った。 ・20歳になったら保険料を払わなければならないということや介護保険など、今後自分も関わることになる保険のことを、家では教えてもらっていなかったので知ることができてよかったし、役立つと思った。 ・保険や民法など、実際に近い将来関わってくることについて、質問も含めて具体的に知ることができたのがよかった。 ・私は保険や年金、クレジットカードなど経済のことが印象に残る。今まであまり調べたり、話を詳しく聞く機会がなく、実際まだ先のことだと思っていたので、とても身近で役立つことが多く、びっくりした。

 

6. 成果と今後に向けて

生命保険文化センターの協力を得て、これまで3年間取り組んできた「公的保障と私的保障」。
生徒の感想や年度末のアンケートから知識の定着に手応えを感じている。
そして、生徒が学んだことをこれからの自分の生活に生かしてくることを期待したい。

50分の講義を担当者にすべて任せてしまうのではなく、互いに協議検討を重ね、よりよい講義を目指すことが、生徒の心の琴線に触れることになると私は考えている。

ロールプレイをするため、演じる生徒を選び、練習をさせて・・と、指導に時間を費やすことになるが、講義に厚みができるとともに、講義半ばで演じるので、見ている生徒たちにとってもよい刺激になる。(左写真:説明中の齋藤氏)
快く引き受け、練習・演技をしてくれた生徒たちに感謝したい。

本校は、私の他に1名非常勤講師が授業を受け持っている。勤務時間の関係上、放課後などにロールプレイを指導できないので、私とは異なる講義内容になっている。

しかし、それについても、できる限り身近に「保障」や「保険」を考えられるように、担当者と相談し内容を決めている。また、公民科の教師に家庭科での取組内容を紹介するなど、教科間の連携を図りつつ内容の重複などにも配慮している。 (右写真:ロールプレイ/父親の遺書を読む母親)



来年度に向け、今回の生徒の感想や今年度末の生徒のアンケートなどを参考にしながら更なる内容の向上を目指し、検討したいと思う。
当然、生命保険文化センターには講義を依頼し、そして、一緒に内容検討をお願いしたいと考える。

 

7. 追記

この講義の後に「損害賠償保険」について、日本損害保険協会のワークシートを使いながら授業を行っ ているが、生命保険と損害保険の違いなどについて、より明確に知ることができ生徒からも好評である。

 

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