vol.02 平成25年度税制改正 あらためて贈与に注目 税理士法人TOTAL代表社員 沓掛 伸幸
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今回の税制改正では教育資金の贈与の特例が創設されるなど、『贈与』の注目度が上がっています。

『贈与』関係の改正項目は以下のとおりです。

改正項目 実施時期
●教育資金の贈与の特例新設 平成25年4月
(平成27年12月まで)
●父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与の際の税率新設 平成27年1月
●税率体系の改正(税率を細分化、最高税率50%→55%) 平成27年1月

今回の目玉とされている教育資金の贈与の特例については、学校等の入学金や授業料など使いみちが制限されること、信託等を設定しなければならないことなどの制約があり、実際に利用する際は手間がかかりそうです。

しかし、「住宅取得資金贈与の特例や相続時精算課税の特例」などに続き、この制度が新設されたのは大歓迎です。何しろ政府統計の貯蓄調査によれば、平均貯蓄額は20代の285万円に対し60代以上は2,160万円。世代間の格差が非常に大きい。高齢者に偏る貯蓄を若い世代に流して、消費に回してもらおうというのが国の考えです。

高齢者の貯蓄は、後生大事に持っていても結局相続時に相続税として大半が取られてしまうかもしれません。こうした制度が呼び水になって、経済が活性化されることを熱望します。

そして、もっと利用したいのが一般の贈与です。どうしても特例に目が行きがちですが、特に少額の贈与はもっと注目されてよいと思います。

一般の贈与の基礎控除額は110万円、さらに、課税価格200万円以下なら税率は10%ですので、1人に310万円贈与した場合、基礎控除額控除後の課税価格は200万円となり、税額は20万円。

基礎控除額は、贈与を受ける人ごとなので、贈る側から見ると、たとえば子ども3人に贈与するなら1年で330万円の基礎控除枠があります。子ども3人に1年で930万円を贈与した場合の税額は60万円となり、贈与額に対する割合はわずか6.5%です。

そして、その贈与税の資金も、贈与する。贈与は、暦年(1〜12月)を基準にしていますので、上記の例では12月末に930万円、翌年1月初旬に60万円それぞれ贈与して、贈与税を負担してあげてもよいのです。990万円贈与して、子ども3人には合わせて930万円がわたります。

贈与を受けた子どもや孫は喜び、贈与してくれた父母・祖父母にとても感謝します。その後は今まで以上に大切にされることでしょう。余裕がある方は早いうちに贈与を考えたほうがよいです。

また、教育資金の取り扱いも再確認しておきたいところです。

今回、教育資金の贈与の特例が新設されましたが、これとは別に、教育費の支払があるたびに贈与する場合、贈与税は非課税です。祖父母が孫の授業料を毎月支払っているなどのケースでは、『扶養義務者が、生活費や教育費に充てられる資金を必要な都度贈与する場合は非課税』という規定に該当するためです。

もちろん、名目上教育費であっても教育費に充てられない部分がある場合や、一括して贈与した場合はこの規定に該当しないのでご注意ください。

今回の税制改正で注目が集まる贈与ですが、新しい制度だけでなく従来からの贈与の制度も改めて見直してみてもよいかもしれません。

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沓掛 伸幸(くつかけ のぶゆき)

沓掛 伸幸
(くつかけ のぶゆき)


税理士法人TOTAL代表社員(税理士・医業経営コンサルタント・CFP®) 一橋大卒、生命保険会社勤務を経て平成19年税理士法人TOTAL設立、平成24年より代表社員。税理士、司法書士、会計士、社会保険労務士等が属するTOTALにて、相続、医療機関向け、法人向けの三分野で税務、登記、労務等を融合させた総合サービスを展開。

 
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