vol.03 相続税申告とセットで考えたい税務調査の基礎知識 税理士法人TOTAL代表社員 沓掛 伸幸
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税制改正よる相続税申告の増加にもとない、相続税について税務署の確認、いわゆる『税務調査』を受ける方も増えるでしょう。

税務調査といえば、突然、税務署の調査官が自宅に来訪し、有無を言わさず自宅の内部を細かく調べ上げるイメージが強いですが、こうした調査はほんの一握りです。大半は、事前連絡で訪問日時が決められ、現場でも、納税者の承認のもとに調査官が資料を確認していく流れになりますので、あまり心配しなくても大丈夫です。

相続税の税務調査は平成23年度で約13,000件、相続税の申告は約52,000件ですので、4分の1が調査を受けている計算になります。法人が対象となる法人税の場合は、税務調査を受ける割合が2〜3%ですので、相続税の税務調査の割合はかなり高いと言えます。

このうち、誤りを指摘されるのが約8割、追徴税額の平均は約500万円となっており、税務調査を受けた方の多くが追徴を受けていることになります。それゆえ、相続税の申告は、きちんとやっておかないと危ないのです。

誤りを指摘される項目の上位は、1位 現金預金、 2位 有価証券、 3位 土地となっています。

金額の大きな土地などが重点チェックされるようなイメージがありますが、意外にも1位は「現金預金」です。

「現金預金」は、うっかり申告を忘れてしまうケースやきちんとやっているつもりでも誤りを指摘されるケースなどが多いので気を付けなければなりません。

例えば、亡くなる直前の預金の引き出しは注意が必要です。入院費や葬儀費用を支払うために家族が預金を引き出して手元に現金で置いておいた。これらの費用は「債務控除」という制度で相続財産から差し引いていながら、手元にあった現金の申告は漏れてしまうなどのうっかりミス。わかりやすいので、税務調査では簡単に見つかります。

もちろん、こうしたうっかりミスの場合でも、罰金が科せられます。罰金は、追徴される税金の額×10〜15%+年利14.6%の利息ですので、かなりの金額になります。

一方、きちんとやっているつもりでも誤りを指摘される例では「名義預金」があります。

例えば、ある方が、毎年100万円を10年間、贈与したつもりで子ども名義の預金口座に積み立てていたとします。この方が亡くなったときに、子ども名義の預金を相続財産には含めないで申告するケース。これが、税務調査では、「贈与」があったと認められず、亡くなった方の財産とされ相続財産の申告モレとされてしまう、これが「名義預金」です。

贈与は、贈与する側・贈与を受ける側双方の合意が必要です。贈与を受けた子どもが、自分名義の預金口座の存在を知らない、または印鑑・通帳は親が管理していて自分の自由にできない。

こんなケースでは、大半が、贈与があったと認められず、「名義預金」とされ、相続税が追徴されることとなります。

このように、相続税の税務調査は、一般的なイメージと実際の調査内容とのギャップが非常に大きくなっています。事あるごとに専門家に相談するなど、十分な準備が必要ですのでご注意ください。

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沓掛 伸幸(くつかけ のぶゆき)

沓掛 伸幸
(くつかけ のぶゆき)


税理士法人TOTAL代表社員(税理士・医業経営コンサルタント・CFP®) 一橋大卒、生命保険会社勤務を経て平成19年税理士法人TOTAL設立、平成24年より代表社員。税理士、司法書士、会計士、社会保険労務士等が属するTOTALにて、相続、医療機関向け、法人向けの三分野で税務、登記、労務等を融合させた総合サービスを展開。

 
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