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「消費者(金融・経済)教育」へのアプローチ
―「総合的な学習の時間」「環境教育」・「キャリア学習」と連携したサークル活動の実践を主に―
  web.02
(2013.5)
神奈川県立海老名高等学校 梶ヶ谷 穣 先生

1.本校の消費・経済研究会(海老高「ファイナンス・クラブ」)とは…

経済や「消費者問題」などに興味や関心があるものの部活動に加入しているため他の活動は無理!という生徒や、もう少し現実の経済にアプローチしたい、できれば金融についてもっと勉強してみたいという“海老高生”のための学習活動のサークル(クラブ)として、部活動でもなくまた同好会でもない“緩やかなサークル”として、平成18年度に有志生徒を中心に『消費・経済研究会(海老高「ファイナンス・クラブ」)』を発足させました。

当初は高校生の消費・金融・経済知識の“ボトムアップ”を目標に、少数メンバー(数十名程度)によって発足したこのサークルも、平成24年度は、1年生〜3年生まで約190名の海老高生が入会しています。「ファイナンス・クラブ」の活動は1年生が中心になりますが(2年生は部活動や修学旅行等で、また3年生は受験準備等で)、2・3年生のメンバーの主たる活動としては文化祭や例年12月に開催される『エコノミクス甲子園』への出場などになります。

このサークル活動の指導に際しては、あくまでも全日制普通科の教育活動として、また「公民科」の学習内容を踏まえた活動であること、さらに「総合的な学習の時間」とも連携した活動であることです。

また今日、「シチズンシップ」教育の重要性が指摘されていることも重視し、「経済教育」や「消費者教育」はもちろんのこと、「環境教育」や「キャリア教育」、そして「道徳教育」、さらに「政治参加」や「法教育(司法参加)」の視点・側面からもアプローチすることも指導のスタンスとし、生徒が興味・関心をもって実践できる身近なサークル活動を心がけています。

そして、24年度の活動内容や理念は以下のように考えました。全日制普通科における、「サークル活動」の、ある意味での「限界」であるようにも思います。

2.平成24年度のファイナンス・クラブの活動概要

3.「ファイナンス・クラブ」の各種活動について(抜粋)

※以下の(1)〜(5)は、上記の(1)〜(5)の網掛け部分についての概要です。

(1)「県」等の行政資料を読む(高校生の「政治参加」の一つとして)

ここ数年、1年生の公民科・『現代社会』の授業において、県・消費生活課発行の『くらしのジャーナル』を活用し、掲載内容を読みその内容を把握するとともに、もし自分が編集の担当者ならどのように編集するかなどを考察させ、さらに発表させています。

例えば、24年の5月には、同誌のNo.142号(2012年2・3月号)の特集、・・・「未成年者のインターネットトラブル」、「多重債務について」を題材に学習させました。さらに、新学期には、神奈川県消費生活課発行(25年3月)の『消費者市民社会をつくろう!・・キミの行動が社会を変える』を活用し、「消費者教育」を展開させていこうと思います。日常の身近な各種行政資料の積極的な活用も、高校生の「政治参加」の一つだと考えています。

(2)「消費・経済」アンケートの作成・実施・集計

ファイナンス・クラブでは「消費・経済アンケート」をここ5年ほど実施しています。アンケートの質問事項は基本的に同じものですが、毎年ファイナス・クラブの生徒と夏期休業前に質問事項を検討して、少しずつですがその質問事項を入れ替えています。そして、24年度は11月、1年生のロングホームルームで実施(回答数は約350名)し、ファイナンス・クラブのメンバー約25名で集計作業を実施しました。なお、質問事項と集計結果(ともに抜粋)は次をご覧ください。
⇒消費生活、金銭観などに関するアンケート(PDF)
⇒経済に関するアンケート(PDF)

(3)A生命保険会社 職場見学会の実施(日本銀行本店・東京証券取引所の見学とともに同日実施)

本校ファイナンス・クラブは、例年、11月1日の開校記念日に日本銀行本店と、東京証券取引所の見学会を実施しています。そして今年度は、3か所目の見学としてA生命保険会社も訪問させていただきました。参加者はクラブのメンバー約30名です。A生命保険会社では職員の方から、「保険」あるいは「業務」についての説明を短い時間でしたが実施していただき、「キャリア教育」の観点からも生徒にとっては有意義な「職場見学」になりました。新年度も同様の見学活動を実施したいと思います。

(4)「社会保障」のミニ・アンケートの実施

近年、「社会保障」に関する教育の推進が重要になっています。そこで、本校のファイナンス・クラブも昨年度から「社会保障プロジェクトチーム」を結成し、メンバーと作成した「社会保障」ミニ・アンケートを1年生の「現代社会」の授業で実施、ファイナンス・クラブの同チームがアンケートを集計しています。なお、集計結果の概要(抜粋・数値集計部分)は次をご覧ください。
⇒社会保障に関するアンケート(PDF)

(5)エコ弁当の展示発表
『エコプロダクツ2012』での「CSR報告書」のレポートの展示と「エコ弁当」の展示発表

公民科・現代社会で出題した「CSR報告書」の読後感想レポート、「総合的学習の時間」で作成した「環境調べ学習」の展示、そしてファイナンス・クラブのメンバーが作った「エコ弁当」を「エコプロ2012」の会場の「海老高」ブースでメンバーが来場者の方々に'プレゼン'をしました。

海老名高校では公民科『現代社会』の授業で、「総合的な学習の時間」においてNACS(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)のご支援のもと授業をしていただく企業の『CSR報告書(環境・社会報告書)』を事前に生徒が読み、その感想をレポートに記入するという学習を実施しています。そして、作成したレポートをクラス(企業)ごとにまとめ、エコプロ当日、海老高ブースに展示発表しています。

また、3年前よりファイナンス・クラブでは有志メンバーにより、消費・環境学習とサークル活動の一環として、環境に配慮した「エコ弁当」をつくって『エコプロダクツ展』会場の海老高ブースにおいて展示発表を行っています(「緑の消費者、グリーン・コンシューマー」の一員としての活動)。

平成21年度は、計画の初年度であったこともあり2年生の男女約10名の有志により、22年度は「エコ弁当」プロジェクトチームの活動も2年目になり約40名が(そのほとんどは1年生、またファイナンス・クラブのメンバー以外の生徒も5名ほど参加)、そして23年度は、1年生を中心に約30名のメンバー・生徒が積極的に「エコ弁当」プロジェクトチームへ参加してくれました。
※21年度の「エコ弁当」の活動については、平成22年5月発行の『中等教育資料』文部科学省教育課程課編集、ぎょうせい発行に概要の報告記事を掲載しています。

そして今年度も約30名のメンバー・生徒が12月の「エコプロ2012」に向けて活動をしてくれました。プロジェクトチームは、夏休み中の8月に第1回の学習会・企画会議を開催した後、12月のエコプロ本番まで合わせて6回ほどの学習会・打ち合わせをもちました。

その結果、今年度は4種類(4グループ)の「エコ弁当」作りがまとまり、『エコプロダクツ2012』の「海老高ブース」でお弁当の実物を展示・発表(ディスプレイ)をしました。会場では、約600名の来場者に、生徒が企画(NACSの助言と、日東ベスト・「爽健亭」による調理・製造)した4種類のお弁当についてのアンケートを取りました。アンケートで好評だった2つのお弁当の写真を掲載します。

【Ecoで美味菜弁当】

⇒弁当資料1(PDF)

【JKもよろこぶ ラブリーなママの味弁当】

⇒弁当資料2(PDF)

5.最後に

今回、報告させていただいた活動内容は、公民科「現代社会」と「ファイナンス・クラブ」の活動の一部です。特に、1年生の「現代社会」の授業では、「総合的な学習の時間」に関連して「環境学習」と連携して「エコプロ」でお世話になっている企業の「CSR報告書」を読みレポートを作成し、また夏期休業中には「ファイナンス・クラブ」の「法アンケート・プロジェクトチーム」が「法や社会規範、マナー」に関するアンケートの作成・集計を行い、その集計結果を24年9月の法教育学会(東京大学)で発表させていただきました。

また、本校では、公民科の授業をはじめ「総合的な学習の時間」、そして「ファイナンス・クラブ」の活動について、NACSや日本FP協会、日本経済新聞社、横浜弁護士会、日本銀行、東京証券取引所など多くの機関の御協力によるところ大です。いかにこのような組織・機関のサポートをいただくか、活動の成否をきめるものであると痛感しています。

今回は、本校のサークル活動を柱に、「消費者教育」、「経済教育」、さらに「法教育」や「シチズン・シップ教育」・「キャリア教育」にもアプローチしている状況を報告させていただきました。「経済」や「消費生活」など、実は多くの高校生が関心や興味をもっていることも事実です。

可能な限り、それに応えてあげたい!という強い思いから活動を実践しています。また機会が与えられれば、次回には高校生と「パーソナルファイナンス」に関する「現代社会」の授業報告、例えば「争続」ではなく「相続」等の授業案を報告させていただければ幸いです。

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