vol.01 ようやく、父子家庭にも「遺族基礎年金」が・・・! 生命保険文化センター・編集子(R子)
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記憶はあいまいですが、もう10年以上前になるでしょうか。 妻を亡くし、幼い娘を1人で育てる夫の奮闘ぶりをニュース番組の特集で見ました。

残業が多かった彼は、子育てしやすい職場へと転職しました。残業がない分、給料も下がり暮らしは大変でした。しかし、公的な支援はほとんどありません。

母子家庭なら通常、遺族年金を受給できますし、離婚した場合でも児童扶養手当があるのに、父子家庭となるとそれさえもない状況でした(児童扶養手当は平成22年8月から父子家庭も受給できるようになりました)。

『父親も大変でしょうが、父子家庭に育つ子どもの将来にとっても、かなり不公平な状況では・・・』そんな、もどかしいような思いが、長い間心に引っかかっていました。

そして、ずっと厳しい立場にあった父子家庭ですが、「社会保障と税の一体改革」の中でようやく「遺族基礎年金」を受給できるようになりました。
ただし施行日以降、つまり平成26年4月以降に妻が死亡した場合が対象です。

そのため、平成23年に起きた東日本大震災で父子家庭となった世帯なども対象となりません。震災をきっかけに、国会でも父子家庭への遺族基礎年金の改善が議論され、今回の改正が実現しました。しかし、施行日前の家庭は引き続き児童扶養手当で対応されることになりました。

遺族基礎年金は子どもが高校を卒業する18歳年度末まで(1、2級障害のある場合は20歳になるまで)と限られていますし、子どもにとって大切な時期なので、心情的には施行日前の家庭にも支給されればよいのにと思います。

児童扶養手当は、年金に比べると金額も少なく、所得制限も厳しくなっています。受け取れても子ども1人の家庭で、所得により月額約4.1〜1.0万円です。一方、遺族基礎年金は、年収850万円未満であれば夫と子ども1人の場合で一律に月額約8.3万円が受け取れます。

ところで、今回の改正で1つ問題になったことがあります。会社員の妻など保険料を納めていない国民年金の「第3号被保険者(以下、第3号)」が死亡した場合の取り扱いです。

厚生労働省の当初の案では、扶養されている第3号が死亡した場合、遺族年金は支給しないとしていました。この案どおり実施されると、例えば、長年厚生年金に加入していた夫が一時的に失業して第3号になり、その間に死亡してしまった場合にも、遺族年金が全く支給されなくなってしまいます。

こうした点に反対意見が多く寄せられ、第3号が亡くなった場合も、遺族基礎年金が支給されることで今回は落ち着きました。厚生労働省は今後、第3号の扱いを含めた遺族年金そのものの在り方を検討し、必要な見直しを行うとしています。

この4月以降も、遺族厚生年金など男女で違う取り扱いはまだ残っています。
夫が遺族厚生年金を受け取れるケースもありますが、妻死亡時に夫が55歳以上でなければなりませんし、実際に受給できるのは60歳以降(注)です。妻が受け取る場合に「55歳以上」という要件はありません。

(注)妻の死亡時に55歳以上の夫が遺族基礎年金を受け取れる場合、60歳前でも遺族厚生年金を受け取れるようになりましたが、従来、父子家庭の場合遺族厚生年金は子どもが受給していたため、世帯でみれば受取額に変わりはありません。

年金以外のことでも、父子家庭への支援が拡充されることが決まっています。
例えば、子どもの修学に必要な資金などを無利子や低利子で融資する「母子福祉資金貸付金」がありますが、父子家庭は対象外のため、平成26年10月から新たに「父子福祉資金貸付金」が創設されます。法律の名称も「母子及び寡婦福祉法」から「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に改称されます。

今まで「母子家庭等」と父子家庭が「等」で表現されることも多く、利用できる制度の情報が父子家庭に届かないということがあったと聞きます。必要な人に適切な情報と支援が届くことを願っています。

<関連リンク>
遺族年金の受給と年金額のめやす(生命保険文化センター「ひと目でわかる生活設計情報」)
エッセイ過去掲載分「男性には厳しい遺族年金」(平成26年3月以前の遺族年金について)

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