vol.05 知らないで損するなんて 病気が原因でも受給できる「障害年金」 生命保険文化センター 編集子(S)
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妻:「検査の結果はどうだったの?」
夫:「まずまずかな。今回は薬の量が減ることになったよ」
これは夫が2カ月に一度の通院から帰宅した、知人夫婦の会話です。

彼は現在44歳の会社員で、糖尿病の患者です。1日4回のインスリン注射と飲み薬による治療をここ10年間にわたって続けています。有病者と予備群を合わせて約2,050万人と推計される糖尿病は、決して珍しくはない代表的な生活習慣病です(厚生労働省の平成24年 国民健康・栄養調査より)。

冒頭の彼(夫)が障害年金の請求手続きをしたのは、糖尿病の治療を始めた6年目のことです。
急に病状が悪化したのではありません。インスリン注射をしても血糖値のコントロールがあまりよくない状態は治療当初からずっと続いていました。
なぜ請求しなかったのか、それは障害等級に該当していたことに気づかなかったのが理由でした。

障害年金はケガのほか、病気による障害も対象です。まだケガや病気の治療中でも、病院での治療開始日(初診日)から1年6カ月経過時に障害等級に該当していれば認定されます(障害状態が固定していなければ、初診日から1年6カ月経過日が障害認定日です)。

彼は障害認定日から5年にさしかかる間際に、何とか手続きを終えました。5年を過ぎても請求できますが、さかのぼって受給できる過去分は、原則として請求から5年以内の分に限られます。

なお、障害認定日の時点ではなく、期間が経ってから障害認定日にさかのぼって請求(遡及請求)する場合、請求時点と障害認定日当時の両方の診断書が必要です。病院のカルテは5年の保存義務がありますが、期間の経過とともに障害認定日当時の診断書が入手しにくくなることも考えられます。

障害年金は、老齢年金や遺族年金に比べて一般的になじみが薄いように感じられます。受給権者数も、会社員の厚生年金でいえば老齢の約1,500万人、遺族の約500万人に対し、障害は約60万人です(厚生労働省の平成24年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況より)。

障害年金を受給できるにもかかわらず、請求手続きをしていない人もいるかもしれません。

この8月からは、障害者手帳の交付時に「障害年金」についての小冊子を配布することが決まったそうです(障害年金と障害者手帳では障害の内容が異なるため、障害者手帳がなくとも「障害年金」を受給できる人もいますし、逆に手帳があっても「障害年金」を受給できない人もいます)。

障害年金の仕組みなどが、広く知られるようになって欲しいと願います。

<参考:公的年金制度の障害年金の基本的な支給要件>

  • 会社員などの厚生年金でいえば、初診日に厚生年金加入中で、障害認定日に障害等級1〜3級に該当していること。
    (国民年金の場合、現役加入者だけでなく60歳台前半で老齢基礎年金受給待ちの国内在住者も含みます。国民年金の障害等級は1・2級のみで3級はありません)
  • 初診日前の年金制度への加入期間のうち、保険料の滞納期間が原則3分の1以下であること。
    (初診日が平成38年3月31日以前の場合、初診日までの1年間に保険料の滞納期間がなければよいという特例があります)

(注)糖尿病による障害年金について
単に血糖値が高いだけでは障害等級に該当しません。障害の認定基準では、インスリン治療をしてもなお血糖コントロール不良の場合に3級とされます。糖尿病は合併症が生じやすい病気です。合併症がある場合、例えば網膜症であれば「眼の障害認定基準で判定する」など、合併症の内容が重要となります。

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