vol.10 知人の入院体験を通じて 〜高額療養費について〜 生命保険文化センター 編集子(S)
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昨年の夏に入院した知人の話です。
2週間におよんだ入院中には、自分の病状などをお互いに話す患者仲間もできたそうです。退院の時期が近い仲間とは、「医療費の支払い」など自然と“お金”のことが話題になりました。

数人での会話の中で、1人が「健康保険には、自己負担額が軽くなる制度があるんですよ」と話しました。「それは知らなかった」と驚く人がいる一方、健康保険制度からの書類※を準備済みで、「病院の会計時にその書類を提出するつもり」と用意周到な人もいて、制度の認知度はまちまちだったそうです。


※書類とは「限度額適用認定証」のことで、70歳未満の場合は事前に協会けんぽなどの保険者から入手して病院の会計窓口へ提出すると、病院への支払いは自己負担限度額までで済みます。
「限度額適用認定証」がない場合は、病院の会計窓口で3割など自己負担割合分の医療費を支払い、後で保険者へ還付手続きをします。手続きが遅れても、時効にかからない2年以内の過去分は還付されます。

さて、自己負担額が軽くなる制度とは、高額療養費制度のことです。健康保険、国民健康保険などの公的医療保険では、1カ月の医療費に自己負担限度額があります。自己負担限度額を超える部分は、「高額療養費」として保険者側が給付します。家計にとって医療費負担が高額にならないように設けられている制度です。

■例 100万円の医療費で、窓口負担(3割)が30万円かかる場合(70歳未満・月収28〜50万円)

例 100 万円の医療費で、窓口負担(3割)が30万円かかる場合(70歳未満・月収28〜50万円)
注:入院時の食事代の一部負担、差額ベッド代、先進医療の技術料などは高額療養費制度の対象外です。

ところで、その自己負担限度額が、平成27年1月から変更されました(70歳未満の低所得者と70歳以上の全区分では変更なし)。
医療費の自己負担限度額は所得によって異なりますが、負担能力(家計への影響度)が異なる70歳未満の所得の「一般」と「高所得者」の区分をそれぞれ2区分にわけ4区分とし、きめ細かな自己負担限度額にしようという変更です。

●70歳未満の自己負担限度額(平成27年1月以降)

※月収とは給与所得者の場合、月々の保険料算出の基礎として用いる「標準報酬月額」を指し、実際の給料等はカッコ内の金額になります。下段は自営業など国民健康保険加入者の場合の金額です。

  • 【参考】加入者数は、厚生労働省の推計(平成25年10月7日社会保障審議会医療保険部会資料)。

「一般」では、自己負担限度額が下がって医療費負担が軽減される人が約4,060万人います。一方、高所得者の場合は軒並み従来よりも自己負担限度額が上がるという変更です。

さて、彼の話に戻すと、入院時の医療費の3割約14万円と、食事代約1万円の合計15万円ほどを病院の会計窓口で支払って退院したそうです。
退院から3カ月ほど経った後、勤務先の健康保険組合からは高額療養費のほかに組合独自の給付もあり、思ったより還付金が戻ってきたそうです。

彼の入院期間が月をまたがらなかったことも、自己負担額が軽く済む要因となりました(医療費は月ごとに計算するので、月をまたぐと各月では自己負担限度額に届かずに自己負担の総額が増える場合もあります)。

還付金が戻って喜んでいた彼ですが、自分のお小遣いにしようと目論んだものの、「入院にかかったお金は家計費から支出した」と主張する妻に全て取り上げられてしまったそうで・・・。

<関連リンク>
Q1病気やけがをしたときの自己負担は?(生命保険文化センター「医療保障に関するQ&A」)

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