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社会に出てから必要となる国語力と授業の取組み
〜高等学校、国語科〜
web.01
(2014.4)
元関東学院中学校高等学校 宇野 真美 先生
 

1.はじめに

現代国語の授業は作者の意図を読み取り、それを自分の中で組み合わせ、構成して発表させるというのが一連の流れですが、今の生徒にとってはそれを行う事が難しくなってきています。

読解力は小中学校でついていきますが、再構築・想像する力をつけていく事はなかなか難しいのが現状です。大きな理由としては、塾などが指導する「受験国語」が考えられます。

問題文を先に読んでから問題文に関わりそうな所を本文から探す受験テクニックがありますが、それだと新たに発言していく発表していく力はついていきません。受験はクリアすることができるでしょうが、社会に出てから必要になる国語力は養う事はできません。

社会に出てから必要となる国語力を養うためには、読み解くだけではなく、読み解いたものを一回分解して、自分が考える事や自分が言いたい事をピックアップして再構成させ、そして新しい視点として発表することをさせています。

またグループワークをする事により、お互いに刺激し合って新たな視点に繋がっていく事もあります。

 

2.授業を組み立てる際に

(1)教科書+αの教育
授業はどうしても教科書・教材を通して行うことになりますが、教科書だけではなく、教科書+αの教育として、TV番組やDVDを教育の一環として見せたりしています。このように、できるだけメディア等を使って教科書以外のところでも知識が手に入るようにというのは気にしています。

(2)授業のための情報収集
授業のための情報収集は、基本的には新聞や雑誌から探します。小説やエッセイなど幅広いジャンルからネタを引っ張ってきたり、引っ張ってきたものをインターネットなどで調べたりしながら、使える情報や記事をまとめています。

(3)授業に入る前に
生徒の興味を引くためには、授業の導入として本題に入る前にワンクッションを入れています。例えば夏になると「戦争」をテーマにした話題が増えるのですが、授業に入る前に資料をそろえて、こういう事があったという知識を与えてから授業に臨むようにしています。

それにより、生徒の関心度と理解度が向上します。それを行うことが難しいテーマの場合には、まず教材から入り、途中で問題提起を行い、考えさせるようにしています。

考えさせる際にはまず、グループワークを行い、その後に個々人での作業をさせます。個々人の作業では、関連する事を調べさせてそれをまとめたものを提出させます。評価する際には、どういう所に興味をもったのか、それをまとめる力を見ます。読む側にわかりやすいようにまとめさせることも重要です。

(4)インターネット等の活用と留意点
高校のカリキュラムでは、数学でPCを使った授業を行いますが、それに合わせて国語科の授業の中でも生徒に調べ物をさせる際にはインターネットを使っています。

生徒を取り巻くネット環境は良くなっていますし、生徒もネットを使って調べることに慣れています。しかし、ネットで調べるだけで終わる生徒も多くなってきているので、それだけではなく、新聞や本などの活字資料からも情報を調べるように指導を行っています。

インターネットはわかりやすくまとめられていますが社会に出てからの事を考えると、必要な情報を新聞や本から一つ一つ集め、それらをまとめて構成する力を養う必要があると思います。

 

3.社会に出てからの国語力

生徒が自分で調べて、それをまとめて発表する際には、国語の力が必要になってきます。 取材力は例えば、公民科からもってくるとして、取材したものを表現する、伝聞する力は国語科だと思います。

その力を育てるために、現代国語という科目に限らず授業以外でも取り組んでいます。例えば、理数系の授業でIT分野について調べて発表する必要がある生徒に対して、プレゼン用に構成を考えてあげたり、文章の添削などをしてあげたりしています。

このように、教科を超えたところで、子ども達の学力なり、知識なり、好奇心が一つに区切られないように、幅広い視点で物事を見る力を養えるような取組みをしています。

以前、高校卒業の資格を取る通信制のNHK学園の授業を受け持ったことがありますが、やはり社会に出られた方は発表をするのがうまいです。また発表する事をまとめる構成力もあり、少し助言をするだけで物凄く良くなります。

プレゼンテーションには経験値がものをいうと考えます。この経験値を養う力を付けるには、選択授業でありますが、「国語表現」というものがあります。しかし、進学校などでは受験に必要な科目を履修していくと、時間が限られてくるので「国語表現」が履修されることは少ないのが現状です。

ただ、大学受験とは別に、「国語表現」を選ぶ生徒もいます。大学進学後や社会に出てからの、企画のプレゼンで必要になってくるので、「国語表現」は実践力に繋がり大事な科目だと思われます。

敬語については、言葉自体を知っている生徒は多いのですが、実際にそれを使うとなるとなかなか出てきません。ですので、自然に敬語を使う事ができるように指導しています。

中学の国語では文法のテキストがあり学習する事がありますが、高校ではその機会がありません。高校の授業でも何かと引合いにだし、敬語を取り扱うようにしています。尊敬語、謙譲語、丁寧語それぞれの違いを意識して伝えるように心がけています。

敬意を表す相手によって違ってくるので、それを説明するのは気を使います。実際に社会に出ると、立場の違いがでてくるので、誰から誰にという事に神経を使って教えています。また丁寧になりすぎても嫌味になる事なども伝えるようにしています。

 

4.まとめ

社会に出てから生き抜くちからを育む事、例えば社会人になってからの企画のプレゼンや企画を練り上げる際の情報収集やそれをまとめて構成する力。そして、それを伝聞したりプレゼンテーションを行う力。また社会人として必要になる敬語。それは国語力が重要になっています。そして、高校の段階から実践力をつけていく事が大事になってくると思われます。

 

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