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生命保険文化センタートップページ>学校教育活動>教育の現場から>教育の現場からINDEX>web.03
中学校社会科公民的分野
「企業づくり」
  web.03
(2014.6)
東京都目黒区立東山中学校 三枝 利多 先生

1.位置づけ

項目    大項目(2)「私たちと経済」  中項目ア「市場の働きと経済」
単元   「企業と生産」  最大11時間程度 *ワークショップを実施しない場合は9時間程度
  *株式売買ゲームを実施しない場合は8時間程度
  *ワークショップと株式売買ゲームを実施しない場合は6時間程度
使用教材について
「株式学習ゲーム」(主催:日本証券業協会、東京証券取引所)
仮想所持金をもとに、実際の株価に基づいて模擬売買を行うシミュレーション教材。
株式の模擬売買を通じて、経済の動きや社会の仕組みを学ぶことを目的とした学習プログラム。

2.ねらい

(1) 「企業の経済活動について、企業づくり(シミュレーション的な活動)を通して学ぶことによって、生徒の興味・関心を高める。
(2) 企業の企画書と同時に求人広告を作成することによって、雇用と労働についても考える。
(3) ワークショップなどの活動を通して、企業の役割と社会的な責任について考える。

3.本単元の主な目標

(1) 現代の生産のしくみのあらましや市場経済の基本的な考え方について理解する。
(2) 企業の役割と社会的な責任、社会生活における職業の意義と役割及び雇用についても考える。
(3) 適切な課題を設けた多様な学習活動を行い、実社会での経済活動への関心を高め、将来、実社会にかかわる態度を深める。

4.指導展開例

時間 学習過程 学習テーマ「  」
学習内容○
目標☆
学習活動・形態 指導(支援)と留意点 評価
  課題の設定 「企業を企画してみよう」      
○単元の学習の見通しをたてる ・教師からこの単元の学習のねらいと進め方について聞く。
(一斉学習)
・学習の目当てがたてられるように、わかりやすく説明する。
<方向性>
○個人で企業を企画することを考える
☆学習内容への興味・関心をもつ

○製造業かサービス業かを決定する
☆課題を設定する
・個人で企業を企画する。
(個人学習・作業)

・個人の企画やアイディアをもとに話し合い、製造業にするかサービス業にするかなど、グループでどのような企業を企画していくかを決定する。
(グループ学習・話し合い)
・生徒の関心が高まるような企画例を示す。
<方向性>
(例:ペットショップチェーンの会社、弁当の製造と販売の会社等)

・各グループを観察しながら、適切な支援を与える。
<方向性・深化>
(例:個人の企画例に興味深いものがあれば、それを発展させることを、なければ、班長等の司会によって企画のアイディアを出し合うことから、進めるように支援していく。)
<関心・意欲>
・企画書づくりに関心を持って取り組む。
(教師・観察、ワークシート)

<思考・判断>
・個人の企画をもとにグループ内でどのような企業を企画するべきかを考える。
(教師・観察、話し合い)
  課題の追究 「企業を企画していこう」      
○課題の調査〔企業の企画が成立するための諸条件について確認する〕
(1時間)
・調査内容についての基礎的、基本的な内容について、教師による簡単な整理を行う。(資本金、株式会社、生産のしくみ、金融の役割等) ・自分たちで企業の企画が進められるように、基本的な内容について、わかりやすく説明しておく。その後は、各グループの質問に応じて適切に支援して回り、必要に応じて、全グループに共通の指示を与える。
<方向性・共有化>
<知識・理解>
・企業が成立するための諸条件について、理解することができる。
(教師・観察、説明)

<資料活用>
・資料を有効に活用して、自分たちの企業の企画を考える。
(教師・観察、ワークシート)

<表現>
・グループで企画を検討する際に自分の考えや意見、疑問点などをはっきり伝えられる。
(教師・観察、話し合い)

<思考・判断>
・グループでの話し合いを通して企業の企画を深める。
(教師・観察、ワークシート)
○課題の調査〔資料により、企業の企画を行う〕
☆課題を調査する
(2時間)
・グループで課題(前時で方針を決めた企業の企画)について調査する。その際、基本的な企業の骨格を決めた後は、企業の経営内容を企画するグループと、その企業の求人広告を企画するグループに分かれて調査を進める。
(グループ学習・個人学習、調査)

・グループごとに企業の企画書と求人広告を作成する。
(グループ学習・個人学習、作業)
・資料の収集について、適切な支援を行えるようにする。
<方向性>
(前時に新聞の求人広告や折り込み広告を持参してくるように指示しておく。教師側でもそれらを用意しておく他、会社四季法から、いくつかの業種ごとの資料を、数社ずつ準備しておく。その際、非上場企業の会社四季法の方が生徒が理解しやすく、適切である。)

・資料では調査が充分にできない部分や疑問点などを、以後の講師とのワークショップによる意見交換の時間のために、整理させておく。
<方向性・深化>
  「株式学習ゲームを経験しよう」 ・株式学習ゲームの手順とルール、方法を聞く。
(一斉学習)
・基本的な内容について、わかりやすく説明しておく。その後は、各グループの質問に応じて適切に支援して回り、必要に応じて、全グループに共通の指示を与える。
<方向性・共有化>
<知識・理解>
・ゲームが成立するための諸条件について、理解することができる。
(教師・観察、説明)

<関心・意欲>
・株式学習ゲームに関心を持って取り組む。
(教師・観察)

<資料活用>
・資料を有効に活用して、自分たちの売りたい株式を考える。
(教師・観察、ワークシート)

<思考・判断>
・ゲームの結果をもとに、どのような企業に投資が集まるのかを考える。
(教師・観察、話し合い)
○株式学習ゲームの準備を行う ・グループごとに株式学習ゲームの準備を行う
(グループ学習、話し合い)
・資料として、新聞の株式欄や経済面を準備させておく。
<方向性>
○株式学習ゲームに参加する ・どのような会社の株価が上がるかを考え、株式学習ゲームに参加する
(グループ学習、話し合い)
 
○株式学習ゲームの結果を振り返る ・株式学習ゲームの結果を振り返り、自分たちが企画している企業の参考にするとともに、実社会の経済活動への関心を高める。
(グループ学習、話し合い)
・投資する投資家の立場と投資を受ける企業の立場の両面から、株価の動きを振り返らせる。
<方向性・深化>

・以後も授業中の20分程度の時間や放課後の裁量の時間などを活用して、何回か株式学習ゲームへ参加し、株価の動きを長いスパンで観察させ、実社会の動きへの関心と理解を促す。
<方向性・深化>
○課題の調査〔資料により、企業の企画を行う〕
☆課題を調査する
・自分たちが企画してきた企業について、企業の経営に携わっている方とのワークショップを行うために、質問事項を検討する。
(グループ学習、話し合い)
・企画を進めてきた際の不十分な点、疑問点や株式学習ゲームへ参加した際の疑問点を中心に、自分たちが企画している企業に役立てられる質問を考えさせる。
<方向性・深化>
(例:資本金や支店数に無理があったグループには、それらの点について意見を聞いてみるように助言する。)
<関心・意欲>
・これまでの課題追究の過程をもとに、ワークショップの準備に関心を持って取り組む。
(教師・観察、ワークシート)

<思考・判断>
・これまでの課題追究の過程をもとに、ワークショップの際に有効な質問を考える。
(教師・観察、話し合い)
・企画した企業について、家庭で聞き取り調査を行ってみる。
(個人学習、調査)
・ワークショップでの質問事項から、聞き取り調査の内容も整理する。
<方向性・深化>

・指摘された意見を整理させておく。
<方向性・深化>
  課題の深化 「企業の社会的責任を考える」

「職業の意義と役割及び雇用について考えよう」
  <講師選定について>
・地元の商工会議所、商店会、人材バンクなどに相談すると良い。

・講師の方々と、授業の目的、進行状況、生徒の動きや、実際の企画例について、事前の打合せを行う。
<共有体験>
 
○地域の企業の方などとのワークショップ形式による意見交換を行う
☆課題を揺さぶる
・グループでワークショップ形式による意見交換を行う。
(グループ学習、意見交換)
・授業の進行を行う
<方向性>

・ワークショップの内容に沿って、課題が深められるように観察、支援する。
<方向性・深化>

・各グループごとに、録音機を準備しておき、ワークショップでの意見交換の内容を録音させておき、以後の支援と生徒の振り返りに役立てる。
<方向性・深化>
<関心・意欲>
・地域の方との意見交換に関心をもって取り組む
(教師・観察、話し合い)

<思考・判断>
・課題解決への方策を考える
(教師・観察、話し合い)

<表現>
・自分の疑問や意見を適切に発表できる
(教師・観察、話し合い)

<思考・判断>
・課題解決への方策を考える
(教師・観察、話し合い)
○ワークショップでわかったことや新たに生まれた疑問点、解決策を整理する
☆課題の整理とまとめ
・グループごとに話し合い、企画書と求人広告を修正し、完成する。
(グループ学習、話し合い、作業)
・ワークショップで高まった課題意識を整理し、深化できるような支援を行う。つまり、各グループのワークショップでの内容を整理しておき、見通しをもって支援を行うようにする。
(例:企業が生産活動以外にも社会的に貢献している点について、考えるように助言する。)
  課題の発展 「企業の社会的責任を考える」      
10 ○発表の準備を行う
☆課題のまとめ
・グループごとに、発表の最終打ち合わせを簡単に行う。
(グループ学習、発表)
・各グループが、自分たちの企業の重視する点をはっきりさせて、発表するようにさせる。
<深化>
<表現>
・自分の疑問や意見を適切に発表できる
(教師・観察、発表)
(生徒・自己評価)


<思考・判断>
・他者の意見を通して自分の考えを深めることができる
(教師・観察、話し合い)
(生徒・相互評価)


<思考・判断>
・自分の考えを決定することができる
(教師・観察、ワークシート)
(生徒・相互評価)
○課題の発表・質疑を行う
☆課題の共有・発展
・グループごとに企画書と求人広告の発表を行う。
(グループ学習、発表)
・各グループがお互いの課題意識を共有し、発展させられるように、発表と質疑を重視するように助言する。
<深化>
○課題の評価を行う
☆課題の共有・発展
・生徒同士で、いくつかの視点からお互いの企画した企業を評価し合う。
(グループ学習、話し合い)

・各自が最も良いと考える企業を選ぶ。ただし、その際、理由もはっきりさせる。
(個別学習、作業)
・評価の視点を明確にさせる。
<深化>

・話し合いの進行をコーディネートする。
<方向性・深化>

・利益が継続しないと、社会的に貢献できない点にも気づかせる。
<方向性・深化>
11 「企業の社会的責任を考える」

「現代の生産のしくみのあらまし」
「市場経済の基本的な考え方」

○課題を発展化させる
☆課題の発展化
・社会における企業の役割や意義について考える。
(グループ学習・個別学習、話し合い)
・企業の存在を、経済の分野だけでの役割や意義ではなく、社会全体の中での役割や意義に発展させて考えるような視点を与える。
<深化>
<思考・判断>
・課題解決への方策を考える。
(教師・観察、話し合い)

<表現>
<思考・判断>
<関心・意欲>

・自分の疑問や意見を適切に発表できる。
(教師・観察、ワークシート)
(生徒・自己評価、相互評価)
・企業の役割や意義を中心に、企業の企画を通して考えを深めてきたことを、レポートにまとめる。
(個別学習、作業)
・企業の社会的責任を中心に、市場経済の基本的な考え方、現代の生産のしくみのあらましなどについて、考えを総合的にまとめるように助言する。
<深化>

5.本単元の評価

(1) 現代の生産のしくみのあらましや市場経済の基本的な考え方について、様々な角度から理解することができる。<知識・理解><思考・判断>
(2) 企業の役割と社会的な責任、社会生活における職業の意義と役割及び雇用について、多様な立場から考えることができる。<思考・判断>
(3) 適切な課題を設けた多様な学習活動を行い、実社会での経済活動への関心を高め、将来、実社会にかかわる態度を深めることができる。<関心・意欲>

6.終わりに

企業の経済活動は、家計の経済活動に続いて学習することがつながりとしては、合理性があると考えられる。

その際に、企業の経済活動も家計の経済活動と同じ見方・考え方が存在することに気付かせることは、経済活動の本質的な考え方をとらえさせるために有効である。つまり、限られた条件の中から選択していくという行動は、次に学習する政府の経済活動においても重要なことだからである。経済の三主体が行っている経済活動に共通の考え方を見いださせることによって、経済の単元の全体像をつかませることが大切である。

2007年に「家計のシミュレーションゲーム」を通して家計の経済活動をつかませる実践を、この場で紹介させていただいた。今回は企業の経済活動について、講義形式の授業よりも見方・考え方を広げたり、深めたりする実践の一つである。各経済主体を学ぶための実践を、生徒や学校の状況によって、様々に組み合わせて実践することが、やがて様々な課題が予想される時代に主権者となる生徒たちの成長に役立つと考えている。

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