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社会保障を取り入れた家庭科の授業実践
web.04
(2014.7)
東京都立農業高等学校 家庭科 三野 直子 先生
 

1. はじめに

この授業は一昨年前任校の足立新田高校で行なった「自立に向けて・・お金編」を発展させたもの。
「卒業後のお金の経済」から社会保険や介護実習を学習した内容を発展させる形で社会保障制度を税金(社会保険料)の側から見つめ、国の制度が私たちの生活をどのような形で支えているかを考えながら、理解を深める授業展開を試みた。

日頃、健康で何不自由なく過ごしていることが当たり前と思いがちであるが、ひとたび何か起これば、それを解決する手立てを知っている、実行できる知識と行動力が求められる。

今年度(H26)は1年の「家庭基礎」で同じ内容を少子化・高齢社会から繋ぐ形で実施した。

対象学年 1年1,2,3,4組 各クラス約18名

 

2. 授業展開例

<生徒用配布物>
(1)自立に向けて・・・社会保障を知る
(2)公的保障の中の社会保険
(3)「社会の一員として生きていくこと」とは 
(4)わたしたちの生活と社会保障(イメージ)
(5)ライフサイクルでみた社会保障の給付と負担のイメージ
(6)高校生として必ずおさえておきたい"年金の基礎知識"
(7)高校生として必ずおさえておきたい"公的年金のメリット"
上記(1)〜(7)のパワーポイント
時間 学習の内容 指導上の注意 備考
導入
10分
2年次の家庭経営での社会保障について確認させる。
会話文から今の現状を知らせる。
今の社会保障が出来た経緯を考える。社会保障が人生において私たちのリスク回避をしていることを知る。 冊子(ワークシート)配布
1850年代の会話から社会保障の役割を確認する。
展開
30分
社会保障制度の財源、内容を確認させる。
社会人になったら得る給料から家計を考えさせる。
家計費の中で何を優先させるかを記入しながら考えさせる。
可処分所得・税金・社会保険料を確認させる。
同時に生活者の立場で生活するにはいろいろ考えて生きることの必要性を知らせる。
財源があるからこそ制度が維持されることを知る。
1人暮らしの家計の内容を確認する。
赤字にならないよう大雑把に計算をしながら合計金額を出すようにする。
記入が終わったら、結果のまとめをさせる。
社会保険の種類を確認する。
「社会人の一員・・」を記入させる。

記入後、生徒に答えさせる。
「高額療養費制度」新聞記事参照
展開
10分
「わたしたちの生活と社会保障」
表題「公的保障の中の社会保険」を見ながら、番号の空欄のところに記入させる。
人の一生における社会保障を知らせる。
制度の確認後、空欄をうめる。記入後、答え合わせをする。
生活保護は下から支える制度であることを知る。
図を見ながら、給付の上昇や±の差を知る。
 
展開
15分
給付と負担の関係性を知らせる。
相互の支え合いで成立する年金について考えさせる。
年金の基礎知識・良い点を知る。
展開
20分
「社会保障のDVD」を視聴。
ワークシートに記入。 DVD視聴
まとめ
15分
学習のまとめを記入させる。   冊子を回収する。

【参考資料】
高等学校家庭科教材キット「新しい家庭経済」授業プラン パワーポイント
 発行:公益財団法人 生命保険文化センター
厚生労働省HP 社会保障教育 教材ダウンロード ワークシート・ファクトシート
厚生労働省発行 DVD「社会保障って、なに?」

 

3. まとめ

パワーポイントの授業はいわゆる紙芝居的要素の展開の為、生徒は関心度が高いのが特徴である。生徒用の配布物を7ページの冊子にして、めくりながら授業を進めた。

今回、家庭科で教育実習生が2名来ていたので、この教授法を覚えてもらうこと、授業で社会保障を取り入れるにはどのような展開が良いのかなどを学んでもらいたいということもあり実施してもらった。教育実習生からは「内容が濃いので難しかったが、このような機会があって良かった。」と感想をもらった。
実際、見学してスライドの内容以外の知識がもっと必要と感じる場面はあったが、内容全体にもれはなくスムーズに授業展開は出来たと感じた。

この授業で強調したいのは、年金は老齢年金以外に障害年金、遺族年金の2つがあり、年を取っていなくても年金の対象者になること、年金はかけていないと貰うことは出来ないことである。また、年金はかけることによって、自分の親が老齢になった時に仕送りをしなければならないとか、漠然とした将来に対して「安心」をもたらしていることに気付かせることも出来る。
社会保障は「支え合いの制度」「公的支援の制度」であり、生活保護に至るまでのセイフティーネット(下から支える制度)であることを学ばせたい。

家庭基礎は2単位の為、授業の内容をどのように絞り込むかが難しい。また、少子化、高齢社会の内容に日本の人口減や社会保障制度に財源問題など公民の内容とだぶる部分が多い。しかし、家庭科の視点である「生きる力」を生徒に気付かせ、自分の人生の価値観形成に役立てることを踏まえて授業を創れば、社会保障を授業に取り入れるメリットは大きい。

最後に、本校の生徒の感想を一部掲載する。

・保険の仕組みは難しいと思った。
・自分は将来どうするかきちんと決めようと思う。
・年金はきちんと自分たちに返ってくるか分からないけれど安心して老後生きていきたいから払いたいと思った。
・保険で国が赤字にならないのか疑問に思った。
・お金の回り方をきちんと理解したい。

 

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