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生命保険文化センタートップページ>学校教育活動>教育の現場から>教育の現場からINDEX>web.06
自己を認識し、テーマを多面的・肯定的に捉えるきっかけ作り
web.06
(2014.9)
大阪府立岸和田高等学校 秋田 一早 先生
 

1. はじめに

本校は、大阪の南部に位置し、朝の連続ドラマの舞台にもなった岸和田城に隣接する自然豊かな地域である。4年前からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)、GLHS(グローバルリーダーズハイスクール)の指定を受け、普通科と文理学科の2コースが設置された。

素直で学習意欲も高く、クラブ活動や学校行事にも意欲的に取り組む生徒が多い一方、家事体験や生活体験が少ない生徒も多い。授業では知識だけではなく、手を動かして工夫し、ペアワークやグループワークで発表・実習を行うことによって思考力やコミュニケーション能力、創造力を高めたいと計画している。

今後、各ライフステージで予測される経済課題やイベント資金への対応、様々なトラブルに巻き込まれた場合でも適切に判断できる賢くたくましい消費者になることを目標としている。

2. 授業の位置づけと学習の狙い

◇対象学年 2学年
◇対象科目 家庭基礎(2単位)
◇使用教科書 東京書籍「家庭基礎 自立・共生・創造」

本時の学習の狙いは、青年期を生きる生徒にとって自分とは何か?を考えるひとつのきっかけとなることである。自己理解することは汎用的能力の基礎的な部分の形成に当たると考える。
また、他己紹介を行うことによって言語活動の一つである聞く力・内容を咀嚼し表現する力を伸ばし、自己と他者を理解し肯定することによって今後のワーク・発表への取り組みをスムーズに行うことも目標とする。

3. 授業展開例(1時間)

前回授業の「他己紹介」の次に、自立に向けて、各ライフステージの課題例を知り、自分の性格や特徴を考えてみる。
その後、シルヴァスタインの「ぼくを探しに」を朗読し、キーワードとなる台詞をどのようなメッセージとして受け取ったのかを考え、ペアワークを行う。
次に他己紹介を行った相手に自分の短所を伝え、その相手の短所を長所に言い換えたものを手紙形式にして交換し、自己を振り返るワークを行う。

学習活動 指導上の注意点 準備物等
1、本時の学習内容を確認する
○ライフステージの課題例を知る
○自分の性格の特徴について考える
○『ぼくを探しに』の紹介

課題例の具体内容を示し、現在の自分の生活が形成されていることを意識させる

絵本の読み聞かせの方法を説明し、代表者に朗読してもらう

ワークシート
「自分らしい人生をつくる」

シルヴァスタイン『ぼくを探しに』
2、キーワードを読み取る
○絵本を朗読し、キーワードから何をメッセージとして受け取ったのかを考える
○自分の考えを記入する

同じキーワードでも、個人の受け取り方が違うことを伝える

ワークシート
「ぼくを探しに」
3、他者の意見を知る
ペアワーク その1
○隣の席の生徒と交換し、受け取り方の違いを知る
○なぜそう受け取ったのかを尋ねる

隣の席以外の生徒の意見も紹介する
似たような意見でも、表現にバリエーションがあること、言葉が同じでも複数のキーワードの組み合わせによって意味が微妙に違うことを伝える
 
4、自己の短所を提示する
ペアワーク その2
○自分の短所を考え、相手に伝える

短所を長所に言い換える例を紹介し、短所があることの不安感よりも、ペアからどのように言い換えられるか楽しみになるような雰囲気にする
 
5、短所を肯定的に捉える
○ペアの短所を長所に言い換え、手紙に記して交換する

言い換えが難しい内容や悩んでいる生徒には言い換えのヒントを提示する
その際、ペアには聞こえないようにする
 
6、感想を記入する
○手紙を読み、感想を記入する

感想だけでなく、気づいたこと、考えたことも記入するよう促す

一筆せん
7、本時のまとめ
立場や価値観により見方の違いがあることを知らせ、一様に善し悪しで判断できないことを伝える
キーワードの解釈をクラスごとにまとめてフィードバックすることを伝える
 

前回 ワークシート「自己紹介用紙」(PDF)
本時 ワークシート「自分らしい人生をつくる」、「ぼくを探しに」(PDF)

4. まとめ

前回、他己紹介を互いに行っているので、和やかな雰囲気でスムーズに自己の短所を相手に伝えることができた。また、長所より短所の方が素直に伝えられる傾向があると感じた。

自分の短所を長所として変換されると、多くの感想は「照れくさかったけれど嬉しかった」「短所をあんな風に言い換えられることにビックリしたけど嬉しかった」「考え方によってモチベーションも変わる」「元気になった!」など自己肯定感、ペアへの信頼感、他者理解と尊重を養うきっかけとなったと考えられる。

現在の自分は、家族や周囲の支えがあって成り立ち、そこから人格形成の影響を受けていると改めて認識できたと感じる。

今後の課題に対しても前向きに取り組める雰囲気作りができたのではないかと感じる。
今回は、具体的な問題提起について取り組んだ訳ではないが、生徒の実態や課題に応じて主体的で柔軟な問題解決ができるよう、言語活動の取り組みを継続し、今後も指導のあり方を工夫・改善していきたい。

 

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