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「経済活動の自由」と「規制」から社会を考える
web.11
(2015.2)
東京都立目黒高等学校 公民科 村岡 周子 先生

1. はじめに

私が担当している高校3年生は、社会に出る直前という年齢でもあり、生徒たちが社会との接点をより多く実感できる「政治・経済」の授業を展開しようと、日頃から試行錯誤を続けてきた。

それぞれの進路を歩み、生徒たちもいずれ消費者、労働者、そして経営者として経済活動を行い、それによって財産を得ることになる。この私たちが当たり前のよう行使している「経済活動の自由」や「財産権」も、現在の憲法の規定によって守られていることをまず理解させ、そのうえで、より人々の幸福を実現するために規定されている「規制」との兼ね合いを、じっくり考えてもらいたい。

「規制」というと、私たちの自由を「縛るもの」という印象が強いかも知れないが、実は私たちは「規制」によって守られている部分も多い。規制の強化と緩和を繰り返しながら、各国政府はそのあり方を模索し、歩みを続けて来た。なぜ「規制」が必要なのか、「規制」によって社会はどう変わるのか、ちょっと立ち止まって考える機会となれば嬉しい。

2. 授業の位置付けとねらい

・対象学年 高校3年生
・対象科目 政治・経済
・授業のねらい
 身の回りにある「規制」に気づき、「経済活動の自由」と「規制」の関係性を主体的な学びを通して考える。

3. 授業展開例

過程 学習活動 ◎予想される生徒の反応 ●留意点
導入 <ワーク1>「規制」とは何か?
○ 「規制」から連想される項目を、1分間で5個以上あげ、いくつかのグループが発表する(2・3人のグループ) ◎「きまり」、「ルール」、「縛り」、「制限」など、私たちの自由を奪うようなことを連想させる答えが出る ●複数人で考えさせることで、意見を多く出やすくする ●タイマーを使って時間管理をする
展開1 <ワーク2> 実は世の中にたくさんある「規制」を探してみよう!
○スライドで画像を見せ、その中にある規制を探す(2・3人のグループ) ○それぞれ3分で3つ以上あげ、発表する
 ・タクシー  ・教師
●画像を見せ焦点を絞ることで、普段は気づかない身の回りの「規制」に気づかせる
◎タクシー
 「料金設定」「運転時間」「タクシー会社」  「車のナンバー」など ◎教師
 「勤務時間」「資格」「試験の合格」など
展開2 <ワーク3>憲法第22条に「職業選択の自由」や「営業の自由」があるのに、
「規制」がかかっているのはなぜか?
○「教師」を例にして、憲法第22条に「職業選択の自由」があるのに、「資格」や「試験の合格」などの「規制」が掛かっている職業やその理由を考え発表する(2・3人のグループ) ○法律による財産権の制限の例を確認する
 ・独占禁止法  ・農地法  ・建築基準法など
●やりたければ誰でもなれる訳ではないことを気づかせる ●職業選択の自由や営業の自由との関係を考えさせる
展開3 <ワーク4>もし「独占禁止法」がなく、大手自動車会社のT社とN社が合併したら、
どのようなことが起こるか考えてみよう
○独占禁止法により、なぜ大企業の合併は制限されているのか考える
(4人〜6人のグループ)
○メリット・デメリットをそれぞれ上げ、発表する
◎消費者・労働者・経営者などさまざまな立場から考えるよう促す ●メリット
 ・両社の技術が組み合わされ、良い製品ができる  ・両社が合併することで外国企業との競争力が増し雇用が増える ●デメリット
 ・合理化で失業者が増える  ・競争相手がいなくなり、技術の進歩が遅れる  ・値段が不当に吊り上げられる
まとめ ○「規制」は何のためにあるのか ◎授業を通じ、「規制」に対しての考えなどに変化があれば、それを書かせたい

4. おわりに

身の回りの「規制」への気づきから入り、「職業選択の自由」や「財産権」との兼ね合い、そして、独占禁止法に基づく「規制」により私たちの生活に与える影響まで、できるだけ主体的な活動を多く取り入れ授業を展開した。

また、今回の授業では、生徒たちが互いの意見を出し合い授業に参加できるよう、2〜3人や4〜6人のグループワークを多く取り入れ、それに伴なって、授業の規律が乱れないよう、学習活動の明確化やタイマーを使っての時間管理などを工夫している。

時間に余裕がある場合は、『こんな「規制」があれば、社会はこう良くなる!』などの意見を出させ、課題解決の視点を盛り込むことも可能であろう。

私は「政治・経済」を通して、自分たちが暮らす社会に対する見方や考え方の幅を広げたいと授業に取り組んでいる。生徒たちが大人になり、消費者として、労働者として、そして経営者として、社会で活躍することを期待している。

 

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