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日常の消費行動を見なおす 〜身近な既製服と食べ物の背景を知る〜
web.12
(2015.3)
新潟県立高田高等学校 蜂屋 有希子 先生

1. はじめに

私たちは生活するためにあらゆる物やサービスを購入し、使用している消費者である。日頃の消費行動においては、その「安さ」に目を向けがちだが、その「安さ」の背景を知らない者は多い。

そこで、普段身につけている既製服と、身近な食べ物であるチョコレートを題材に取り上げ、「安さ」の背景を知るための授業を試みた。また、公正な取引である「フェアトレード」についても取り上げ、「安さ」ばかりを求めるのではなく、物やサービスの背景にある、生産者の生活、環境や資源への影響などについても考えさせることにした。

2. 授業の位置づけ

◇対象学年: 2年
◇対象科目: 家庭基礎
◇使用教材:
(1) 「ムクリのにじいろTシャツ〜フェアトレードのおはなし〜」(宮原桃子・作、中澤あや子・絵)
ムクリという少年が、Tシャツができるまでに色々な人に出会い、たくさんのことを知る。コットン畑のこと、布やTシャツを作る工場のこと、そこで働く子どもたちのことなど。物語全体を通じてフェアトレードについて楽しく学べる絵本である。
(2) 「おいしいチョコレートの真実」(特定非営利活動法人ACE制作・発行)
チョコレートの原料であるカカオ栽培における児童労働の現状と私たちの生活のつながりを知り、児童労働をなくすための行動を起こしてもらうことを目的としたワークショップ教材である。
(3) 新潟県版高等学校家庭科「家庭基礎」調理カード(新潟県家庭科研究会、高等学校部)
新潟県の教職員が作成した調理実習のためのレシピカードである。

3. 授業展開例

【1限目】既製服をテーマとした授業

過程 学習内容 指導上の留意点 準備物等
導入 5分 本時の目的及び教材として取り上げる絵本について知る 普段身につけている既製服はどのような状況で作られているのかについて関心を持たせる ワークシート(PDF)
展開 45分 絵本の内容を参考にしながらオーガニックコットン、児童労働、フェアトレードについて学ぶ 絵本をスクリーンに映し出し、絵本の内容を全体で共有できるようにする プロジェクター
スクリーン
タブレット端末
HDMIケーブル
Lightning-Digital
AVアダプタ
Wi-Fi WALKER WiMAX2+
まとめ 5分 自分にもできそうな環境に優しい、社会貢献につながる衣生活について考える 本時で学んだ内容を実生活でどのように生かしていきたいかを考えるように助言する  

【2限目】 チョコレートをテーマとした授業

過程 学習内容 指導上の留意点 準備物等
導入 5分 本時の目的について知る 普段チョコレートを購入する際にどのような視点で選んでいるか確認させる
また、普段食べているチョコレートはどのような状況で作られているのかについて関心を持たせ る
ワークシート(PDF)
展開 15分 チョコレートに関するクイズを行う   プロジェクター
スクリーン
DVD「おいしいチョコレートの真実」
DVDプレイヤー
タブレット端末
HDMIケーブル
Lightning-Digital
AVアダプタ
Wi-Fi WALKER WiMAX2+
20分 カカオ畑における児童労働に関するDVDを視聴する DVDの内容について印象に残った言葉や感想等をまとめさせる
10分 フェアトレードについて知る フェアトレードがもたらす影響やフェアトレード商品を扱う企業について紹介し、フェアトレードが身近なものであると実感させる
まとめ 5分 次回の学習内容を知る 本時の内容をふまえて、フェアトレード商品を使用した調理実習を行うことを伝える  

【3限目】フェアトレード商品を使用した調理実習(マドレーヌ作り)

過程 学習内容 指導上の留意点 準備物等
導入 5分 本時の目的、調理上の注意点について知る マドレーヌ作りにフェアトレードの砂糖を使用すること、マドレーヌとともにいただくコーヒーまたは紅茶もフェアトレード商品であるということを知らせる 新潟県版高等学校家庭科「家庭基礎」調理カード
マドレーヌ作りに必要な材料及び調理器具
展開 50分 マドレーヌを作る
(焼いている間に一般的なチョコレートとフェアトレードチョコレートの比較を行う)
マドレーヌの試食
2種類のチョコレートを比較する際は味だけではなく、パッケージや値段などについても比較するよう促す 試食用のチョコレートマドレーヌのレシピ(教員による自作)(PDF)
まとめ 20分 調理実習の片付けをする
感想をまとめる
感想をまとめる際はフェアトレードに関することも記述するよう指示する ワークシート

4. 生徒の感想

【1限目の内容について】

○今まで、安い物ばかり買おうとしていたことを反省した。これからは表示や価格などからその製品がど のように作られたのかも考えて買うようにしたい。 ○私が普段着ている服の裏側には、苦しい状況で働いている人たちがいることを知って驚いた。苦しい状 況で作られた服を着て、おしゃれを楽しむことはとてもできないと思った。フェアトレードをもっと多くの人に知ってほしいと思った。

【2・3限目の内容について】

○フェアトレード商品を実際に食べてみて、味が普段食べているものと同じかそれよりもおいしく感じた。 少しお金がかかってしまうが、生産者側のスタンスも考えると我々はもっとフェアトレード商品を買うべきだと思う。日本、世界はもっとフェアトレード商品に目を向け、販売すべき。 ○チョコレートの風味は、フェアトレードである、ないに関わらずあまり変わらなかった。逆に今まで私 たちはどれだけ「フェア」ではない商品ばかり購入していたかということに怖くなった。チョコレート以外のフェアトレード商品のことももっと知りたいと思った。 ○初めてマドレーヌを作りました。フェアトレードの製品を使用するのもたぶん初めてだと思います。ス ムーズに調理ができ、またおいしくできて良かったです。フェアトレードの製品を用いることで社会に 貢献できて良かったです。フェアトレードの製品を買うことは誰にでもできる行動だと思うので、いい取り組みだと思います。

5. おわりに

授業において、普段身につけている衣服やおいしく食べているチョコレートの背景を知ることで、生徒たちは自分自身の日頃の消費行動を振り返ることができたようである。多くの生徒が「安さ」だけで商品を選ぶ態度を改め、違った角度から商品を選ぼうとする意識に変わったことが授業のまとめの感想から伺うことができた。

また、絵本やDVDといった媒体だけではなく、実際にフェアトレード商品に触れることでよりフェアトレードを身近に感じることができたと思う。
今後も生徒が自分の生活に結びつけて考え、行動につなげていけるような授業づくりを行っていきたい。

 

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