vol.03 2015.06 ケガや病気で働けなくなったら…〜就業不能状態に備える〜 保険・福祉介護ジャーナリスト 鬼塚 眞子
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先日、複数の社会人1年目の人と話をする機会があった。保険について聞いてみると、「若くして亡くなる人は少ないから、結婚したり、親族の面倒をみたりしない限りは、大きな死亡保障は必要ない。何より、勤務先の保険に加入しているから他に保険は必要ないですよ」と言う。

勤務先の保険の保障内容についても、しっかり把握していて「一生保険に加入しないなんてことはないと思いますが、今はこれで十分です」と言い切った。

私が社会人1年目の時には、保険など何のことなのかさっぱり分からず、ましてや勤務先の保険など想像したこともなかった。第一、関心などまったくなかった。こうした仕事に就いたとき、どれほど後悔したことか。そのことを思えば実に立派だと思う。

だからこそ、彼らには知っておいてもらいたかった。それは、彼らからすっぽりと抜け落ちているリスク、『就業不能リスク』のことだ。 生命保険と言えば、病気だけが保障の対象になると思う人も多いかもしれないが、医療保障は、“病気”だけでなく、“交通事故などの事故やケガ”による入院も対象になる。商品によっては退院後の通院を保障するものもある。

事故やケガは年齢に関係なく発生している。例えば交通事故だ。警察庁交通局のデータを参照願いたい。平成26年度の交通事故の発生件数は、57万3,842件。事故による死亡者数は4,113人、負傷者数は71万1,374人で、毎日11人が亡くなり、1,949人がなんらかのケガを負ったことになる。

また、交通事故による死亡者数は全国で前年比−5.9%となっているものの、地域ごとに見てみると、前年より増加しているケースもある。 さらに、負傷者数を年齢層別にみると、30歳代で129,751人(構成率18.2%)と最も多く、次いで40歳代が129,064人(同18.1%)となっている。

ちなみに、平成26年の重傷者数(交通事故によって負傷し、30日以上の治療を要する場合)は4万1,658人。詳細は分からないが、植物状態や半身不随になるなどの重傷を負い、人生が大きく変わるケースも少なくないだろう。

話を戻そう。彼らに、交通事故に遭わない可能性について聞くと、全員が「NO!」と言った。

その上で、勤務先の休業保障の規程について質問すると、見事に答えられない。勤務先の規程や職種によって、事故やケガが原因で退社を余儀なくされることなど、当然、思い至らない。まして、勤務先の保障が途切れて、“無保険者”になってしまうことや、重篤な後遺症が残った場合、保険に加入できないということは想像だにしていないだろう。
もっといえば、交通事故の加害者が任意保険の未加入者という場合が現実にあることなど、知る由もない。

何もケガは交通事故に限った話ではない。私の身近にも旅行先のスノーボードや買い物中の転倒などで半身不随になった20代の人がいる。いずれも自らの不注意によるものとして、どこからの補償も望めなかった。

誤解してほしくないが、何も人が事故に巻き込まれることなどまったく願ってはいない。「事故に遭う確率は統計的に低い」と一笑に付すのは簡単なことだ。しかし、そうした状況に直面した時、経済的損失が直ちに発生することを忘れてはならないと思う。

最後に、万が一働けなくなった場合の主な公的保障を紹介したい。会社員の場合、傷病手当金(健康保険)や失業給付(雇用保険)、勤務中・通勤中のケガなどは、休業補償給付・休業給付など(労災保険)、公的年金には障害年金、さらに公的扶助制度の生活保護などが挙げられるが、やはりそれぞれに受給要件があり、限度額や限度日数が伴う場合もある。

少子高齢社会に加速度がかかる日本の社会保障を考えると、今後なにかあったとしても、治療や生活費の不足分をすべて公的保障などで賄えるとは思えない。ましてや、今の時代、親類縁者が支援してくれる環境ばかりではないと思う。

何も起こらないことを願いながら、何が起こっても大丈夫なように事前に対策を立てるのが、ライフプランの本質だと考える。そうした意味でも、今後は万が一の場合だけでなく、就業不能状態になった場合においてもあらかじめ想定しておくことが不可欠であると考える。

勤務先の就業規則、保険内容、公的保障を把握する一方で、是非、生命保険文化センターの「e−ライフプランニング」を活用し、突然失業した場合のシミュレーションなども参考にしてほしい。同時に、就業不能になった場合の商品も発売されているので、検討してみてもいいだろう。

繰り返すが、身近な人に何か起こることなど望んではいない。しかし、こうした準備や検討を事前に行っておくことが、『未来への一歩』を踏み出すこととなり、選択肢を広げることにつながると信じている。

「e−ライフプランニング」は生命保険文化センターが作成した生活設計シミュレーションツールです。 あなた自身のライフプランを考えるために、 ぜひお役立てください(公益財団法人 生命保険文化センター)。

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プロフィール鬼塚 眞子(おにつか しんこ)

鬼塚 眞子 (おにつか しんこ)

大手生保の営業、業界紙の記者を経て、07年に保険・福祉介護ジャーナリストとして独立。シングルマザーとして二人の子供を育てるほか、認知症の両親の遠距離介護を続けている。近著に「保険選びは本当にカン違いだらけ」(SB新書)。

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