vol.07 2015.10 生活設計の大切さと難しさ 大東文化大学 非常勤講師 藤田 由紀子
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時間は平等のはずだが・・・

光陰矢のごとし。年々この意味を噛みしめるようになってきた。時間はすべての人に平等である。それはよくわかっている。しかし、着々と目標を立ててそれを実現している人を見ると、そこには自分が過ごしている時間とは別の時間が流れているように感じる。

しばしば生活環境は変わる。しかも、主体的に”変える”というより、家族、会社、社会の状況等によって”変わる”ことは多い。時に、将来の目標の変更を余儀なくされ、大幅な軌道修正が必要になる。それが繰り返されるうちに、変更やあきらめる時のストレスを避ける術としてなのか、いつの間にか自分の夢や目標を持つことをしなくなりがちなのではないか。少なくとも自分はそうであったように思う。

しかし、最近、大きなタワーを作っていくかのように、ひとつ、またひとつ、と次第に大きくなる目標を積み重ねていく人は、単に時間の使い方が上手で実行力があるだけでなく、将来への視座を持っているからこそではないかと思い、改めて、将来を描くこと、すなわち生活設計の大切さを感じている。そして今までの時間を少し後悔している。


生活設計の3つの領域

私は、「生活設計」には、次の3つの領域があると考えている(漠然と考えているか、詳細に考えているかは問わずに。そして、自分が実行してきたか否かは棚にあげて)。

(1) どのような生活や人生を送りたいかを思い描いたり、生きていく上で大切にしたいことや自分の信条等をみつけていく領域。
(2) 実際にそれら実現していくために必要な時間やお金をやりくりし、能力を磨き、人間関係などを築いていくこと等を考える領域。
(3) 災害や事故、病気や怪我、死亡、老齢、介護等の他、将来の生活、夢等に影響を及ぼすことが想定される様々なリスクの選別をし、対処すべきと判断したリスクについて対策を検討し、講じていく領域。

この3つである。その時々の状況に応じて、それぞれ別々に考えていくことも、連動させて考えていくこともあるだろう。


矛盾だらけの夢と希望を調整する思考のスキル

上記のうち、一番重要で、かつ難しいのは、(1)の「どのような生活・人生を送りたいか。何を大切にしたいか」を考えることではないかと思う。何故なら、これがまさに自分が目指すべき方向や、目標、やりたいこと・やるべきことを明確にすることにつながる一方で、自分の中でさえ、願望や希望は矛盾に満ちているものだからである。

たとえば、男女を問わず「家庭を大切にしたい」「仕事を大切にしたい」というごくありふれた2つの希望の両立が難しいことは、多くの人が共感するところではないだろうか。

矛盾する夢や希望を取捨選択して調整する。そして、幾度となく変更や修正を行っていく。真剣になればなるほど簡単なことではない。しかし、「だから生活設計は難しい」とさじを投げられないためには、この一連の思考を”スキル”として捉え、それを身につけるための訓練が、様々な場面で、また各種のツールによって用意されていくことが必要ではないかと思うのである。

「e−ライフプランニング」は生命保険文化センターが作成した生活設計シミュレーションツールです。 あなた自身のライフプランを考えるために、 ぜひお役立てください(公益財団法人 生命保険文化センター)。

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プロフィール藤田 由紀子(ふじた ゆきこ)

藤田 由紀子 (ふじた ゆきこ)

1989年3月奈良女子大学修士課程修了。1989年から2002年まで生命保険文化センタ-研究室に研究員、後に主任研究員として勤務。様々な調査や共同研究のうち、主に家計の分析や、女性のライフスタイルとともに変化した家族の分析、生活設計論の再構築を担当した。現在は、大東文化大学で、非常勤講師として、結婚と家族、家族の視点からみた社会保障制度についての講義を担当している。娘が一人。夫と、やんちゃなポメラニアンとスピッツのミックス犬と同居。

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