vol.08 2015.11 将来生活への視座と、それを持つきっかけとは 大東文化大学 非常勤講師 藤田 由紀子
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将来生活をイメージしている期間 (「生活設計に関する調査」から)

人々は、どのくらい先の生活を見通しているのだろうか。生命保険文化センターが2012年首都圏で行った「生活設計に関する調査」に、それを聞いた項目がある。これによると、2〜3割の人が「将来をまったくイメージしていない」と回答している一方、将来イメージを持っている人では、若い世代ほど「1年くらい先」「2〜3年先」と短期的な将来をイメージしている割合が高い。

そして、上の世代になるほど、10年先、20年先をイメージしている割合が高くなっている。30歳未満では、50%ほどが5年未満先の将来しかイメージしていないのに対して、50代以上では、40%以上が、10年以上先をイメージしていると回答している。

何年先まで将来をイメージしているか

将来生活をイメージするきっかけとしてのライフイベント

先の結果は非常に興味深い。何故なら、一般に若い世代ほど、今後の人生の期間は長い。それにも関わらず、逆に、描いている将来イメージの期間は短くなっているからである。その理由を探るためにまず、“将来をイメージしたきっかけ”をみてみよう。

将来をイメージするようになったきっかけ(20%以上の回答、MA)

多くの人が高い割合で回答したのは、“就職、結婚、子供の出産、子供の進学、子供の独立、定年”、といった、仕事と家族に関わるライフイベントと、“自分や家族の病気”である。

仕事と家族に関わるライフイベントは、その前後で、生活時間や生活パターン、収入、支出、場合によっては居住地等が、それも長期間にわたり大きく変わるものである。さらに子供の“進学”や“独立”は、これらに加え、自分の老後期を含んだ将来の親子の居住地、そして親子関係にも多大な影響を与えるイベントといえる。

すなわち、これらのライフイベントが未達成であるということは、将来の自分や家族の様々な生活環境・条件を予測する場合の変動幅が大きいということである。そして、これらのライフイベントをクリアしていくということは、同時に、将来にわたる様々な生活環境や条件を確定していくことでもある。

だからこそ、先にみたように、未経験のライフイベントを多く抱えている若い世代では、将来生活の不確定要素が多いために、将来イメージが短くなる傾向があり、逆に、年を重ねて多くのライフイベントを経ていくと、生活条件がある程度確定していくので、長期的な将来イメージをもつ傾向があるという結果になったのではなかろうか。


将来生活への視座とリスク環境下での生活設計の視点

すなわち、多くの人は、一度に長期にわたる将来を見通しているのではなく、仕事や家族などの不確定要素を含んだライフイベントを抱えて、手探りするかのように、予測可能な比較的短い将来を見据え、一つひとつのライフイベントを越えている様子が伺える。

そしてこの他、注目すべきなのが、30代以上になると将来をイメージするきっかけとして“自分や家族の病気”が増えていることである( 50代では約4割、60〜74歳では約6割)。 重大な病気になったときには、その治療や介護の期間、場合によっては、人生が限りあるものだと意識することもあるだろう。それが、予測や希望、覚悟、選択を含めた将来生活のイメージにつながるのではなかろうか。

夢や目標、将来のライフイベント等、将来生活を描いていく場合だけでなく、リスクを意識した場合のように、様々な解決すべき事柄を、将来を見据えて考えていく視座をどう持つのかも、極めて重要な生活設計のポイントではなかろうか。

あなた自身のライフプランを考えるために、生命保険文化センターが作成した生活設計シミュレーションツール「e−ライフプランニング」を、 ぜひご活用ください(公益財団法人 生命保険文化センター)。

「e−ライフプランニング」はこちらから

プロフィール藤田 由紀子(ふじた ゆきこ)

藤田 由紀子 (ふじた ゆきこ)

1989年3月奈良女子大学修士課程修了。1989年から2002年まで生命保険文化センタ-研究室に研究員、後に主任研究員として勤務。様々な調査や共同研究のうち、主に家計の分析や、女性のライフスタイルとともに変化した家族の分析、生活設計論の再構築を担当した。現在は、大東文化大学で、非常勤講師として、結婚と家族、家族の視点からみた社会保障制度についての講義を担当している。娘が一人。夫と、やんちゃなポメラニアンとスピッツのミックス犬と同居。

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