vol.10 2016.01 生活資源としての家族 大東文化大学 非常勤講師 藤田 由紀子
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一年の計は元旦にあり。生活設計も。

2016年1月。新しい年が始まった。自分が歳を重ねたせいか、社会のイベントが増えたせいか、年々新鮮さは薄れていく気はするものの、やはり気が引き締まる。「一年の計は元旦にあり」。まさに、1月は生活設計を始めたり、見直したりするのに最適な時期ではなかろうか。

ところで、生活設計において、将来どのような生活を送りたいかを思い描くということは、何かをしたい・実行する、という行動計画だけではなく、どのような自分でありたいのか、どのような家族や友人でありたいのか、何を大切にしていくのかという、自分のもつ“資源”やその構成、そして今後のそれらの構築を考えていくことでもある。

この大切な資源のひとつに家族がある。昨今の雇用の流動化など収入リスクが高まる環境において、家族は固定的な支出を増やし、時間や手間を必要とするためにリスク要因であると言われることがある。しかし、一方で共働き世帯は増加しており、家計の収入リスクへの耐性や対処も変わっているのではなかろうか。そのような思いで、これまで見てきた「生活設計に関する調査」を覗いてみよう。


収入リスクの高まり

2012年の生命保険文化センター「生活設計に関する調査」は、もともと、1996年に行った「生活設計に関する調査」を元にしたものである。ただ、調査項目や回答の選択肢を若干変えて行ったために、単純に比較を行うことはできない。

そのことを踏まえながら、まず収入リスクの経験についての質問をみてみると、1996年調査で「自分や家族の収入が途絶えたことがある」と回答した割合は6.1%。一方、2012年調査では、この割合は14.3%となっている。

ちなみに「自分や家族の収入が“大きく減少”した経験がある」と回答した割合は1996年16.9%、2012年19.5%と大きく変わらない。また、収入が途絶えたり、大きく減少した収入リスク経験のうち、最も深刻だった収入リスクの内訳の上位2つも「自己都合退職」(1996年15.8%、2012年21.8%)と「会社都合退職」(1996年15.3%、2012年19.0%)とその順位は変わらない。

このようにみると、やはり「自分や家族の収入が途絶えた経験のある人」が増えたことは、この16年の間の収入リスクの高まりとしてとらえることができるのではなかろうか。

収入リスクの経験の割合

家族の、収入リスク経験時への関与の高まり

一方、収入リスクに直面したときの家族の関わり方にも変化をみることができる。収入が途絶えたり、大きく減少したときの家計の対処は、1996年調査では「貯蓄の取り崩し」が圧倒的に多いのだが、2012年では、1996年には少なかった「家族の収入」「親戚・知人からの援助」との回答が多くなっている。

さらに、ダメージからの回復手段では、2012年は「働いていなかった家族が働き始めた」が約10%みられていて、収入リスクに直面したときに、家族の就労・収入や支援によって乗り越えている家計が増えている様子がみてとれるのである。

確かに、支出面でみると、家族が増えるということは大変なことである。しかしながら、近年の社会や会社の状況を原因とする収入リスクの高まりのなかでは、一人の働き手のキャリアや能力だけの対処では限界がある。 年初の生活設計の見直しにあたって、まず、「家族」は、精神的な面も含めて、困難な状況における対処資源としての機能をも持つことを改めて認識したいと思うのである。

当面の生活費をまかなった手段上位5つ

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プロフィール藤田 由紀子(ふじた ゆきこ)

藤田 由紀子 (ふじた ゆきこ)

1989年3月奈良女子大学修士課程修了。1989年から2002年まで生命保険文化センタ-研究室に研究員、後に主任研究員として勤務。様々な調査や共同研究のうち、主に家計の分析や、女性のライフスタイルとともに変化した家族の分析、生活設計論の再構築を担当した。現在は、大東文化大学で、非常勤講師として、結婚と家族、家族の視点からみた社会保障制度についての講義を担当している。娘が一人。夫と、やんちゃなポメラニアンとスピッツのミックス犬と同居。

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