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「家庭生活と社会保障」〜社会保障って、なに?〜
web.05
(2015.8)
大阪府立茨木西高等学校 家庭科 西田 恵理 先生
 

1.はじめに

社会保障は卒業後に生徒が生活していくために必要な制度ではあるが、マスコミの偏った報道などで、生徒に実態がきちんと伝わっていない。授業では社会保障制度の仕組みと意義を丁寧に教えることを目的にしている。正しい知識を教えることが重要だと思う。
そこで今回は、
1限目:目的『「身近な人から学ぶ年金保険や健康保険の話」のDVD(視聴覚教材)を利用することにより社会保障について理解を深め、自分の生き方や生活に役立てる。』
2限目:目的 『公的年金のあり方や保険料を納める意味、少子高齢化への対応について自ら考え、自分の生き方や生活に役立てる。』
上記の2時間構成で授業を行った。

 

2.授業の位置づけと学習のねらい

◇対象学年 普通科3年
◇対象科目 家庭基礎
◇使用教材 厚生労働省作成副教材
DVD「社会保障って、なに?」
ワークシート「理念やありかたを考える」(PDF)
テキスト「社会保障を教える際に重点とすべき学習項目の具体的内容」
 

3.授業展開例

【1限目】

  学習内容 生徒の学習活動 指導上の留意点
導入 5分 ・本時の目的を知る 本時の目的を読む。 目的をしっかりと理解させる。
展開 35分 ・社会保障制度とは? 社会保障制度についてワークシートに記入する。 視聴覚教材「社会保障ってなに?」(株)放送映画製作所
・年金(老齢年金)について学ぶ (1)意義
(2)3つのリスク
(3)年金の基本的な仕組み
(4)賦課方式の仕組みについて
(5)メリット
(6)年金と貯金の比較
(7)同世代間の支えあいについて
(8)年金の加入年齢について
(9)世代間扶養について
(10)年金制度について考えたこと
視聴覚教材を利用しながら、項目ごとにワークシートにしっかり記入させ、理解させる。





年金と健康保険についてしっかりと考えさせ、理解を深めさせる。
・健康保険について学ぶ (1)健康保険の制度の仕組みについて
(2)メリット
(3)健康保険について考えたこと
・年金・健康保険のまとめ (1)年金の加入年齢について
(2)保険料の免除・猶予制度
(3)年金と貯金のバランス
まとめ 10分 ・本日の授業を振り返る テーマ「社会保障と私」で社会保障を含めた自分自身のライフプランを記述する。 400字以上でしっかり記述させる。

【2限目】

  学習内容 生徒の学習活動 指導上の留意点
導入 5分 ・本時の目的を知る 本時の目的を読む。 目的をしっかりと理解させる。
展開 5分 ・「社会保障」クイズの実施 社会保障クイズを実施し、社会保障を理解する。 社会保障「年金」「健康保険」について理解を深める。
10分 ・社会保障制度における「給付と負担」について考える あなたが考える「社会保障制度とは?」のワークシートを記入させる。
意見を発表する。
生徒を積極的に参加させる。
5分 ・社会保障制度を整理する ワークシートにより「社会保障制度を整理」し、理解する 給付と負担を通して社会保険制度が果たしている機能を理解させる。
5分 ・日本の税金や社会保険料について考えさせる ワークシートの資料より諸外国との比較から日本における社会保障の負担規模を把握する。 65歳以上人口比率との対比では、諸外国に比べて負担規模は必ずしも大きくないことを理解させる。
15分 ・「社会保障制度」を学習した上で、再度、社会保障提供主体として依存すべき類型を検討する 「自分自身はどんな社会にしたいか」ワークシートを記入しながら考える。
意見を発表し合い、「気づき」や「考え」をシェアする。
自分が生活していく上でどのような社会保障制度」が望ましいかを自ら考えさせる。
まとめ 5分 ・本日の授業を振り返る 社会保障のあり方や保険料を納める意味、少子高齢化への対応について考え、感想・考察に記入する。 感想・考察をしっかりと記述させる。
 

4.生徒の感想

・良かったところは、日本は子育てや介護に対する国の動きがちゃんとあったと再確認できたところ。 ・外国と比較して日本は負担が少ないことが分かった。 ・日本は住みやすい国だと思った。みんな平等になればいいと思った。 ・良いと思った。日本は世界中でもよく考えてるんだなと思った。 ・いつか自分が関わっていくものだから、ちゃんと考えていかないとと思った。社会保障は大切だと思った。 ・一人ひとりが自らの責任と努力によって生活を学んでいることが分かった。前よりは関心が少し高まりました。 ・制度を作ったことはすごいと思うけど、内容が誰でも平等に受けられるということになってないので、日本の制度は改良していくべきだと感じた。 ・現状では、女性に負担がかかりやすいから、そこをもう少し改善できたら、みんな住みやすくなるのになと思った。 ・社会保障はあっていいと思うが、みんながおんなじ保険料を払っていると不平等がでてくるし、生活できなくなってしまう人も出てくると思います。

 

5.おわりに

1限目に映像教材を用いたことで、生徒が社会保障制度がどのようなものであるのかをイメージしやすくなったために、その後の授業でのワークシートを使用した学習や、グループワークなどがより効果的に行えたと思われる。また、グループでの話し合いを入れたことで、他人の考えを知ることができ、それによる気づきがあった。

1限目、2限目共、授業の最後に生徒に考えを記述させる時間を設けたことで、学習してきたことのまとめになり、生徒も考えを整理する時間を持てたので、良かったと思われる。

これまでは家庭科ということで、家計簿など、身近なところから社会保障を考えるアプローチをしていたが、今回は、海外との比較をさせる資料があったので、それを授業に取り入れた。それによりこれまでとは違った視点で授業を行うことができた。この様に様々な角度から教えることで、生徒も理解がしやすかったのではないかと思われる。

今回は2時間だったが、このプログラムのボリュームは3時間、4時間かけてゆっくりやればより効果的ではないかと思われた。

 

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