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2016.08 Essay vol.03

“高齢社会”を生きる
〜介護にかかる費用〜

Written by 川端薫社会保険労務士事務所 川端 薫 Written by 川端薫社会保険労務士事務所 川端 薫

第1回では私の父が骨折を原因とした介護状態になった経緯を、第2回では介護施設を探した経験をご紹介しました。今回は、みなさんが最も気になるであろう介護費用についてご紹介します。

介護施設に入ると原則自分で(あるいは家族が)負担しなければならない次の費用がかかります。

負担費用 負担費用

介護保険の自己負担額は要介護度で異なり、居住費、食費、日常生活費は利用している方の収入により差があります。以下に参考として父が利用していた老健(介護老人保健施設)でかかった費用をまとめてみました。

介護保険の自己負担額(1ヵ月あたり/単位 円)

  要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
施設サービス費 25,500 27,030 28,710 30,390 32,040
その他加算 1,590 1,590 1,590 1,590 1,590
合計(基本料金) 27,090 28,620 30,300 31,980 33,630

各サービスの利用に応じてかかる利用料(1ヵ月あたり/単位 円)

  第1段階
(住民税非課税世帯で生活保護・老齢福祉年金受給者)
第2段階
(住民税非課税世帯で年金80万円以下の人)
第3段階
(住民税非課税世帯で第2段階以外の人)
第4段階
(第1段階から第3段階以外の人)
居住費 0 9,600 9,600 9,600
食費 9,000 11,700 19,500 41,400
日常生活費 4,500 4,500 4,500 4,500
教養娯楽費 4,500 4,500 4,500 4,500
タオル類・私物洗濯 9,450 9,450 9,450 9,450
合計 27,450 39,750 47,550 72,150

※上記´△傍載の数値は父が利用していた2011年頃の老健の費用

上記,鉢△旅膩彝曚毎月の支払額となります。父の場合、「要介護3」で収入が「第4段階」に該当しましたので、30,300円+72,150円=102,450円となりました。父が利用していた老健の部屋は従来型でしたので、居住費は月9,600円と比較的軽く済みましたが、これがユニット型準個室だと居住費が月39,900円、ユニット型個室だと月49,200円の支払いが必要となるところでした。このユニット型個室とは居室はプライバシーが保たれる個室で、食堂やリビング等は共同生活室となっているものをいいます。第2回でご紹介した私が気に入ったアニマルセラピーのある特養は、ユニット型で居住費が高額であった記憶があります。

もちろん、自己負担額が高額になった場合は、一定額を超えた分が払いもどされる「高額介護サービス費」という制度が適用されます。

高額介護サービス費について詳しくはこちら

しかし、こうした高額介護サービス費は介護保険の自己負担額に対して適用になる制度ですので、そもそも介護保険の対象とならない居住費、食費、日常生活費等には適用されません。多少の蓄えはあるとしても、収入が年金だけの高齢者にとって介護施設への入所は、大きな出費を伴うことは間違いないと思います。

また、これまで介護保険の利用者はかかった費用の「1割」を負担していましたが、2015年8月から自己負担割合がかわり、一定以上の所得(合計年間所得が160万円(年金収入のみの場合280万円)以上)がある場合、かかった額の「2割」を負担することになりました。

老健等施設に入る場合はその方の所得により居住費や食費を補助する制度(特定入所者介護サービス費)があります。この補助制度の判定を従来は所得のみで行っていましたが、2015年8月からは保有している預貯金(単身世帯1,000万円超、夫婦世帯2,000万円超で適用外)も勘案されるようになりました。また、世帯が分かれていたとしても、配偶者が住民税等を課税されている場合にはこの補助制度の適用ができなくなりました。さらに2016年8月からは遺族年金・障害年金等の非課税年金等の年金額もこの補助制度の判断に勘案されるようになりました。

介護施設で介護を受けるには意外と費用がかかります。私も実際に直面するまではわからず、最初の請求書を見た時に驚いたことを覚えています。父が今も生きていれば、介護にかかる費用は改正等により確実に増えていたと思います。

ところで、私の義母は地方に1人で住んでいます。要介護2で家の中でも車椅子で生活をしています。施設には入りたくないという理由から居宅介護サービスを利用していて、週に2回のデイサービス、そして1日2回の生活支援を利用しています。自己負担額は月15,000円から20,000円程度です。夜には隣家の方が様子を見に来てくれて、朝まで泊まっていってくれています。1人で車椅子の生活ですので、大変ありがたく助かっています。また帰省の折に1人住まいだということを自治体に相談したところ、緊急時には連絡が入る見守りのシステムを無料で導入してくれました。このシステムはカメラを2台(寝室とリビング)設置し、センサーによって人の動きを察知しています。10時間人の動きがないと、市から連絡先(2人を登録、様子を見にいけるよう義母の近所の方)に連絡が入ることになっています。デイサービス等外出時はそのシステムを切っていかなければいけないのですが、切り忘れて何度か連絡が入っているようです。これもご愛敬ということで自治体の担当者も了承済みのようです。自治体に相談してみて良かったと思います。

介護において一番必要なことは義母のように、助け合い、お互いに見守ることなのではないかと思いますが、現実には難しく、やはり蓄えに頼ることしかないようです。親のことだけでなく、自分が将来、介護を受けるようになったら、あるいは民間の有料老人ホームへ入るとしたら……と将来のライフプランを考え、早くから計画的に貯蓄をしたり、生命保険に加入したりして備えておきたいものです。

プロフィール

川端 薫

川端 薫 (かわばた かおる)

社会保険労務士(東京都社会保険労務士会足立荒川支部所属)、ファイナンシャル・プランナー(CFP/1級ファイナンシャルプランニング技能士)、NPO法人アクティブ・シニア・クラブ理事 
青山学院大学卒業。大手生命保険会社にて、個人・法人向け生命保険募集、営業職員・新入社員教育に従事、社内外向け各種セミナーにおける講師として活動。2009年「川端薫社会保険労務士事務所」を開業。現在、社会保険労務士・ファイナンシャル・プランナーとして、相談業務・コンサルティング業務・講演業務・執筆業務に従事。
<著書(共著)等>
「セカンドライフ検定」(オルツ)、「税務・経理・人事ハンドブック」(C&R研究所)
「労働法例違反で罰せられる前に読む本」(TAC出版)

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