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2017.03 Essay vol.03

一緒に考えよう。確定拠出年金加入へのあれこれ

Written by 社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ 原 祐美子 Written by 社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ 原 祐美子

前回は、私が確定拠出年金への加入を検討している、ということを書きました。
わが家では、家族で「60歳まで下ろせないお金をつくってしまっていいの?」、「他の運用方法の方がよくない?」、「住宅ローンの繰上げ返済が先かしら?」などを話し合い、確定拠出年金に加入するかしないかの検討から始めました。加入すると決めてからは、複数の資料を取り寄せ、セミナーにも参加してみました。
確定拠出年金に加入するにあたり、何について検討し、どんなことに注意する必要があるのか、私の実際の悩みをなぞりながら考えていきましょう。

どの金融機関に確定拠出年金用の口座を開く?

個人で確定拠出年金に加入するには、確定拠出年金を取り扱う金融機関を通じて手続きをする必要があります。具体的には、金融機関に口座を開き、金融機関が提供してくれる商品の中から運用先を選ぶのです。確定拠出年金を取り扱う金融機関のことを運営管理機関と言い、運営管理機関には、銀行や信用金庫、証券会社等があります。みなさんも街中や銀行の窓口などで、「確定拠出年金」や「iDeCo」という文字の踊るパンフレットやポスターをご覧になったことがあるのではないでしょうか。
私が日頃よく行っている銀行も運営管理機関になっていますが、運営管理機関によって、手数料や運用商品が異なりますので、慣れているところだからと決めてしまわず、もう少し検討してみる必要がありそうです。

手数料や提供される運用商品を確認しよう。

手数料は金融機関によって異なります。運用益が出ても手数料でマイナスになってしまっては意味がないので、手数料はしっかり検討したいところです。手数料については、ネットで調べてみることもできますし、下記の運営管理機関等一覧(※1)に載っているコールセンターに問い合わせてもよいでしょう。運用商品について、詳しい人なら、自分の運用したい商品があるところを選びましょう。
私のように知識が乏しいという自覚がある人は、その分Webサイトのつくりが親切であったり、加入者向けのセミナーが充実していたりするところを選ぶのもよいのではないでしょうか。

掛金はいくらにする?

運営管理機関の次に決めるべきは、掛金をいくらにするかです。掛金の範囲は月額5,000円から上限額(加入している年金制度によって異なる)まで1,000円単位で決めることができます。
私の場合は、厚生年金被保険者であり、基金や企業型確定拠出年金など上乗せの制度には加入していないため、上限額は月額23,000円です。
個人事業主(国民年金第1号被保険者)の方なら、最高額の月額68,000円まで掛けることができます。前回の記事に書いた通り、確定拠出年金は拠出した額が全額、所得控除の対象となるので、掛金はできるだけたくさんにしたいところです。一方で、60歳になるまで引き出せないのも確定拠出年金の特徴です。個人事業主は、勤めている人よりも急な出費があったり、収入の変動が多かったりするのもの。いくらにするべきか悩ましいところですね。

まずはやってみて。年1回変更もできる

とはいえ、いま余裕があるという方なら、多めの額でやってもよいと思います。年1回見直しができますので、いったんやってみて、ちょっと掛金が多すぎたかな、という場合には次の機会に減らすこともできます。
私の場合は、1万円から2万円など、ちょっと贅沢な食事をしたり、衝動買いをしたりしたときに使ってしまうくらいの額ではじめ、できそうなら、年1回の見直しで少しずつ増やしていく、という方法を考えています。

どうやって運用する?

掛金の額が決まったら、掛金をどの運用商品に割り当てるか考えましょう。確定拠出年金は、「税制優遇を受けたいけれど、積極的な運用はしたくない」という人でも大丈夫です。運営管理機関では、リスク・リターン特性の異なる3種類以上の運用商品を用意することになっています。定期預金のような運用元本確保型の商品を選べば、運用の失敗によるリスクを負うことはありません。
私は定期預金を選ばないつもりです。すでに定期預金をしていることを考えると、毎月手数料が取られてしまう確定拠出年金で、新しく利率の低い定期預金を増やす必要性を感じません。また、いま日銀は物価上昇率2%を目標に掲げています。もし、物価が上昇したときには、利率の低い元本確保型の商品に入れておいたものは、相対的に価値が減ってしまうことになります。日銀が目標の物価上昇率を達成した場合にも目減りしないように、2%以上の運用成果を目指して、運営管理機関から提供される情報や、自分で得た情報から学び、運用商品を選んでいこうと思います。

自分の将来は自分で選択しよう

はじめてみようと決めた確定拠出年金ですが、やってよかったかどうかは結果が出てみないと分からないもの。所得控除のありがたみは年末に分かりますが、運用の成果については短期的な判断はできません。結果が出たと言えるのは60歳の受け取るときになってからでしょう。
2%以上の運用成果を目指すと意気込んでも、運用の成果は出ず、物価は下がって、「積極的な運用なんてしないで定期預金で置いておいた方がよかった」という結果になるかもしれません。

結果は分からないとはいえ、こうして、いくらをかけようか、どうやって運用しようかなどと自分で考えられるのはよいことです。みなさんは日々、何を食べるか、どんな服を着るか、携帯電話のプランをどうしようか、などなど、たくさんの選択をしていると思います。同じように、将来の備えについても、国民年金や厚生年金のように与えられるものだけでなく、自分で選択していきましょう。確定拠出年金をはじめる。預貯金の額を増やす。生命保険や個人年金に加入する。余裕資金は運用や預金に回さず、次の事業のために投資する。…などなど、将来への備え方はさまざまです。
私は確定拠出年金について考えることで、改めて、国民年金・厚生年金のありがたさを感じました。国民年金や厚生年金は、物価上昇率に合わせて給付額を変動してくれますし、老齢や障害になったときには、生涯、給付を続けてくれます。もし確定拠出年金の運用がうまくいかなかったとしても、国民年金、厚生年金があるので、将来の収入がゼロになることはありません。
ライフプランとお金について考えてみること、家族と話し合ってみること、お金の使い方や増やし方の選択肢を検討すること、運用について学び、知識を増やすことは、確定拠出年金の運用成果のいかんにかかわらず、人生にとってプラスになることでしょう。私たちのすべきことは、安心のうえで自分自身の可能性を広げること。過度に心配する必要はありません。自分自身でよりよい未来をつくるという意思をもって、自分ができることを考えていきましょう。

※1:「個人型確定拠出年金」iDeCo 運営管理機関等一覧(国民年金基金ホームページ)
http://www.npfa.or.jp/401K/news/pdf/renrakusaki.pdf

プロフィール

原 祐美子

原 祐美子(はら ゆみこ)

特定社会保険労務士、社会保険労務士法人ガルベラ・パートナーズ東京事務所長
日本女子大学文学部卒業。外資系計測器メーカー勤務、国会議員公設秘書、個人事業主として10年の社会保険労務士事務所の経営を経て、平成28年から現職。
数十社の企業に顧問として携わり、労務相談・トラブル対応、社会保険手続、給与計算、助成金申請等に関する支援を行うほか、商工会議所でも窓口相談を行っている。
産業カウンセラーの資格も持ち「話を聞いてもらえてよかった、いてくれてよかった」と思われる関わり方をモットーにしている。

<著書>
「グチの教科書」(マイナビ出版)

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