文字サイズ変更
  • フォントサイズ大
  • フォントサイズ中
  • フォントサイズ小
生命保険文化センタートップページ>学校教育活動>教育の現場から>教育の現場からINDEX>web.02
平成27年度 「身の回りや将来にわたる不測の事態に備える
経済計画と保険のしくみ」
生命保険文化センター実学講座を活用したT・T授業【中学2年生対象】
web.02
(2016.6)
京都府立洛北高等学校 竝川 幸子 先生
 

1.洛北高等学校附属中学校2年生における「不測の事態」に係る取組について

中学2年生「技術家庭 家庭分野」の授業において、“発展的な内容”として「不測の事態に備えることの大切さとその方法」を扱っている。そして、生命保険文化センターの実学講座を活用するとともに、T・T授業を行い、より専門的な内容を目指している。

高等学校では、必修科目「家庭基礎」において、「人の一生と発達」「家庭の経済と消費」の単元の中で、「リスクに対する社会保障と私的保障」について生命保険文化センターと6年前からT・T授業を行っている。(教育の現場から2012年度web.11掲載

したがって、中学校では、高等学校と学習内容が重複しないこと、そして、中学生が興味・関心をもつ内容であることに着眼し、講義内容を組み立てるようにした。

本校の中学2年生の年間指導計画は次の通りである。

衣生活と自立(被服製作)→食生活と自立(食品の品質と選択・調理実習など)→家族・家庭と子どもの成長(家族関係・家庭生活と地域など)→身近な消費生活と環境(消費者の権利と責任・物資やサービスの選択・環境問題など)

学年末考査終了後、授業時間1時間が確保されているので、そこでこれまでに学習した家庭生活や消費生活と関わらせつつ、“発展的な内容”として位置付け、「不測の事態に備えることや貯蓄・保険及び保険会社のしくみを中心とした内容」を学習させることにした。

講義は、まず、不測の事態とはどういうことか考えさせた上で、保険には公的保障と私的保障があることから展開していくが、高校では学習しない保険会社の仕組みなどを含め、中学生の興味・関心をひくよう工夫した。(ワークシート参照)

講義内容やワークシートについては、毎回生命保険文化センターと検討を重ね、この取組は今年度で3年目になる。

 

2.生命保険文化センターとのTT授業 「身の回りや将来にわたる不測の事態に備える経済計画と保険のしくみ」

1.ワークシート及び講義の進め方

ワークシートには、講義を聴きながら記入する箇所と「考えてみよう」「話し合ってみよう」など、自分の家庭生活と関わらせて考えたり、友だち同士で話し合って記入するところを織り交ぜた。

また、「生命保険をとりまくさまざまなデータ」をクイズ形式にし、生徒の関心を高めるよう工夫した。保険の世帯加入率の推移を掲載したのは、クイズの回答のためのひとつの根拠となることや、経済活動と保険加入率は関連していることを知らせ、考えさせるためである。

【PDFデータで開きます】
  

2.講義のねらい

身の回りの安定した生活を妨げる危険(不測の事態)に備える方法のひとつとして、公的保障(社会保険)・私的保障(預貯金・保険)について考えさせるとともに、金融機関としての機能を持つ保険会社の仕組みを認識させる。

3.評価規準

不測の事態に備える方法を知り、自分の生活と併せて考えることができる。また、金融機関としての保険会社のしくみを理解することができる。【関心・意欲・態度】

4.展開案(略案)

(T1:竝川 T2:生命保険文化センター講師)

  内容
導入
9分
・挨拶・講師紹介・本時の内容について説明(T1)
・リスクについて発問(リスクの意味を確認)(T1)指名(T2)
々佑┐討澆茲Α”埖の事態とは?どのような備えをされている?
・生徒の解答後、説明(T2)
展開
39分
不測の事態に備える方法について
△砲弔い得睫澄∀辰傾腓い鮖惻─T1)指名(T2)
∀辰傾腓辰討澆茲Α(欷韻離ぅ瓠璽犬蓮どのような時に耳にする?
不測の事態に備える3つの柱について
・1と関連させて説明(T2)
公的保障と個人保障
(1)公的保障〜社会保障制度〜「社会保険」について
について、健康保険証の働きと併せて発問(T1)指名(T2)
思い出してみよう 病院などで診察してもらうときに持参する物は?
・「社会保険」について説明(T2)・・適宜必要に応じてワークシートに記入(指示T1)
(2)個人保障「損害保険」と「生命保険」について
・「損害保険」と「生命保険」のそれぞれの特徴について説明(T2)
す佑┐討澆茲Δ魑入させる(T1)・・ワークシートに記入 →回答(T1)
・重要ポイントにアンダーラインを記入させる(T1)・・ワークシートに記入
※海外旅行保険と中学3年生でのオーストラリア研修について補足説明(T1)
・生命保険の種類についてまとめさせる(T2)・・ワークシートに記入
生命保険会社のしくみについて
・三つの経済主体と経済の循環について説明する(T2)
・イ砲弔い董∧欷渦饉劼里靴みについて発問(T1)指名(T2)・・ワークシートに記入
ハ辰傾腓辰討澆茲Α(欷渦饉劼侶弍弔呂匹里茲Δ棒り立っているの?
・金融機関としての働きをもつ生命保険会社のしくみについて説明(T2)
生命保険をとりまくさまざまなデータ
・クイズの発問・指名・回答(T2)
※時間調整・・講義時間が少なくなったときは、発問せず回答・説明のみにする
質疑応答(T1・T2)※時間をみて、質疑応答の時間を調整する
まとめ
2分
講義のまとめ(T2)※生徒の様子や時間を見て「まとめ」を調整する
アンケート記入・回収を指示(T1)
挨拶

5.アンケート

「不測の事態に備える経済計画について」を受講して【アンケート】生徒の理解度や今後の授業改善に活かせる内容を考えた。
各項目に該当する主な感想と質問を次に示す。
なお、質問事項については生命保険文化センターからの回答をプリントにして生徒に配付した。

 

1.講義の内容は理解できましたか

・保険の仕組みがよく分かった。また、義務のものもあることを知った。保険が良いのか、貯蓄が良いのかは悩むけれど、しっかり考えておきたいと思います。 ・今まで保険という言葉をぼんやりとした感じでしかわかっていませんでしたが、今回の授業で保険や保険会社のことをよくわかることができました。 ・保険の概要について理解することができました。また、保険会社を取り巻くお金の動きなどを理解することができました。

2.わかりやすい説明でしたか

・保険会社が、金融機関としての役割も果たしているということに、とても驚きました。保険のことを考える機会はありませんでしたが、保険に対して興味を持つ一つのきっかけとなりました。 ・生命保険会社は、経営が難しいとは思っていたけれど、資産運用や保険料によってまかなわれ、国から独立した機関であるということに驚きました。

3.今後の生活に役に立つ内容でしたか

・何か事故や災害に巻き込まれた時、何かとお金がいるので、保険は大事だなと改めて感じた。保険だけでなく、貯蓄もした方が良いとも思いました。 ・普段保険について考える機会がなかったけれど、20歳から加入する必要がある保険があることを知って驚きました。 ・20歳や40歳から入らなければならない保険があることは知らなかった。不測の事態は何時起こるかわからないので、損害保険や生命保険には入るべきかもしれないと思いました。 ・火事や地震、病気などで莫大なお金が必要になったとき、保険に入っていれば安心だなぁと思いました。また、色々な種類が有り、よく調べて加入することが大切だなぁと思いました。

4.質問があれば記入してください

・生命保険会社が、株を買うのは知らなかった。しかし、損をしたらどうするのかと思ってしまった。 ・財閥に生命保険会社が多いのには理由があるのですか。

5.講義の内容は理解できましたか

・父が「俺はあと、先短いからな」と、言っていて、生命保険の話は身にしみました。また、自分や家がどういう種類の保険に入っているのか調べてみたいです。 ・「保険」という言葉は生活の中でよく耳にするけれど、仕組みとかは今まで自分に関係ないと思っていたので、今回知ることができて良かったです。また、お父さんやお母さんにどの保険に入っているのか聞いてみようと思います。 ・生命保険の年間契約件数が約1,500万件もあるということにとても驚きました。また、生命保険会社への保険料の払込金額や支払額は凄い金額だと思いました。 ・今まで保険と言ってもあまり仕組みが判っておらず、入った方が良いものだと言うくらいにしか思っていなかったが、今日のお話でその重要性が分かった。保険会社において、何兆にも及ぶ大きなお金が動いていることを知ってとても驚いた。

 

3.成果と今後に向けて

「生命保険会社についてあまりイメージがわかなかったけれど、講義を聞いてよく分かった。かなり役立つ授業だと感じた。時間が少ないのが残念。」また、「ワークシートが見やすくて良かった。」という生徒の感想もあった。上記のアンケートからも読み取れるように、ぼんやりとしかわからなかったことを知ることで、あまり関心がなかったことを考えるきっかけになったようである。生徒の興味・関心を引き出す内容展開を目指し、時間をかけて内容を練ったことが生徒の関心度に繋がったようである。協力頂いた生命保険文化センターの方に感謝したい。

講義では、発問に対して講師が生徒を指名し、距離感を縮めることや、生徒の様子から「ちょっと難しい内容かな・・」と、こちらが感じたときには、雰囲気を和ませるよう周りの生徒と話し合う時間を設けるなどの工夫を重ねてきている。

今後もこれまでのことを踏まえつつ、更に生徒が興味・関心をもち、生徒自身が不測の事態に備える大切さを考え、生活に活かす力となるよう高校での講義と併せ、継続して指導していきたいと思う。

3年前、この講義を受講した中学生が、今年度、高校生になって「リスクに対する社会保障と私的保障」を受講した。講義前に、中学時の学習内容を覚えているか尋ねたところ、よく覚えていると回答した生徒はほとんどいなかったが、講義終了時には記憶が蘇っていたようである。

学習をして損をすることはない。知らないよりは知っていた方が良い。中学生の“発展的な内容”としては、教える方も教えられる方もそういう捉え方で良いのではないかと、私は思っている。

来年度もT・T授業を実施する予定である。不測の事態に備える意味が具体的に理解できるよう、講師の方と連携し、一層生徒を惹き付けられる内容を考えていきたい。

 

教育の現場からINDEXへ戻る