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生命保険文化センタートップページ>学校教育活動>教育の現場から>教育の現場からINDEX>web.04
家庭科授業実践 e−ラーニングによる生活設計(ライフプラン)のすすめ
web.04
(2016.10)
大阪府立茨木西高等学校 西田 恵理 先生

1.はじめに

平成34年度の学習指導要領改訂に向けて文部科学省から方向性(案)が示されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/1377051.htm

高校の家庭科において育成すべき資質・能力の中でも主体的・対話的で深い学びの実現(アクティブ・ラーニング)の視点からの授業改善の取組が話題に上っています。従来から、家庭科では、アクティブラーニングを様々な形で取り入れた授業実践をしていると思います。

ここでは、インターネット上のe−ラーニング(情報技術を用いて学ぶ学習)を利用してアクティブラーニングの手法を用いた学習方法を紹介します。
使用教材は、e−ライフプランニングhttp://jili.or.jp/consumer_adviser/plan.html:生命保険文化センター

これは、パソコンを利用した学習方法です。
主体的に生活設計力を身に付けることができます。
消費者教育やキャリア教育、金融経済教育が融合されています。
グループ学習で、他者と意見交換をしながら、協働して学習に取り組むことができ、自らの考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できます。
様々な事例に関して諸費用など多くの経済的な情報を得る能力が身につきます。
ライフステージに応じた課題における最新の経済データが掲載されています。
家族や家庭に関わる家計管理のシミュレーションを自由に意思決定することができます。
主体的に情報を取捨選択し、瞬時にデータの結果を見て判断することができます。
生徒の興味関心を引き出し、意欲的かつ主体的に生活を設計できる学習に取り組むことができます。
生活設計を立案するための知識や技術、家計管理、リスク管理に関する考え方やノウハウを身につけることもできます。

育成される「資質・能力」

知識・技能 家族・家庭についての理解 生涯の生活設計についての理解
思考力・判断力・表現力等 家族・家庭や社会における生活の中から問題を見出し、課題を設定する力
生活課題について他の生活事象と関連付け、生涯を見通して多角的に捉え、解決策を構想する力
学びに向かう力・人間性等 男女が協力して主体的に家庭や地域の生活を創造しようとする態度
自己のライフスタイルの実現に向けて、将来の家庭生活や職業生活を見通して学習に取り組もうとする態度

2.指導案

(1) 担当者からのメッセージ(学習方法等)

○自分の生涯を見通した生活設計(ライフプラン)を立てる力をつけましょう。
・パソコンを利用し、ネット上のe−ラーニング(情報技術を用いて学ぶ学習)でスキルを磨きます。
・自分の将来における生活の様々な現象や課題を考え、主体的に意思決定する能力を身につけます。
・グループで課題を解決することにより、協働する力、コミュニケーション力を身につけます。
・他者の考えや価値観を知り、多様な考え方を学び、自分の考えを持ちましょう。
・将来の自分や家族の家庭生活と職業生活について考えてみましょう。
・ライフステージに応じた生活設計力と家計管理能力を身につけましょう。
・家計が収入・支出リスクに直面した場合のレジリエンス(回復力)について考えてみましょう。
・様々な情報より必要な情報を取捨選択、意思決定できる情報収集活用能力を高めましょう。

(2) 学習の到達目標

生涯を見通した自己の生活について考えさせるとともに、主体的に生活を設計できるようにする。

(3) 授業展開例

<1限目>
学習活動 指導上の留意点 評価の観点 備考・(評価方法)
a b c d
5分 ・ライフプラン(生活設計)について身近に考えるためにシミュレーション学習することの確認 ・目的や学習方法、身に付く力などをしっかりと明示する。 ・パソコンを利用したグループ学習であり、ワークシートに記入しながら学習をすすめていく学習方法を伝える。 ・班員が協力し、気づきを大切にし、他者を否定せず学習活動を進めていく重要性を伝える。

      ・ワークシート配布 (授業態度) (ワークシート/PDF)
10分 ・1 生活設計とは ・2 生活設計を構成する要素 ・ワークシート1、2を用いて理解させる。     (授業態度) (ワークシート)


30分
・ワークシートの 銑Δ亮蟒腓暴召こ独匹e−ライフプランニングの準備をする。 ・ワークシートの手順に従い、班員で協働して学習をすすめる。 ・各班の進度状況を把握し、アドバイスを行う。
(記号はワークシートより)








・e−ラーニング準備 ・1班4人 ・パソコン1班1台 ・リーダーを決める (ワークシート記述) (パソコン学習状況の観察) (グループワーク取組態度)
・Т靄楙霾鵑鯑力する ・В横穏个鮴瀋蠅気擦襦
・─屮薀ぅ侫廛薀鵑鬚弔る」をクリック  
・「収入・資産」、「働き方による収入」では、職業生活と家庭経済生活について考える。 ・自由設定または各班で指定する。
・「支出」住居費について考える。 ・持ち家と賃貸について考えさせる。
・「金融資産」では、家計管理について考える。 ・黒字でないと金融資産を持つことはできない。
・「結婚、子ども」では、ライフステージにおけるライフイベントや生き方を考える。 ・結婚希望あり・子どもありとして考えさせる。
・「子どもの進学」では、教育費について考える。 ・子どもの教育費について理解させる。
・「住宅購入」では、住宅購入の有無を考える。 ・支出における家計管理について考えさせる。
・「収入支出グラフ10年」では、収支差額(赤字)について考える。 ・最後に生涯の収支差額を確認し、「見直し」をさせる。
5分 ・本時を振り返る ・次回の授業を確認する ・自己評価・感想・考察をしっかりと記述させる。 ・次回は、本日の結果の発表会であることを予告する。  
 
(ワークシート記述) (自己評価)
<2限目>
学習活動 指導上の留意点 評価の観点 備考・(評価方法)
a b c d
5分 ・1限目に実施したシミュレーション結果を元に班ごとで発表することを確認する。 ・目的や学習、発表方法をしっかりと明示する。 ・班員が協働し、学習活動を進めていく重要性を伝える。
      ・模造紙 ・マジック配布 (授業態度)
15分 ・発表用の模造紙に班員で協働し、ライフプランシミュレーション結果を簡単にまとめて書く ・時間内に書くことを指示する。 _搬温柔とライフコース ⊃Χ 収入支出グラフとライフステージにおけるライフイベント げ鳩彜浜・リスク管理 ダ験兇亮支差額 Ω直し Т響曄考察











・発表台本を記入させ、発表の仕方をイメージさせる。   (発表取組態度) (発表準備観察)
25分 ・発表する(1班2分程度) ・他者の事例より学びを深める ・家族構成や職業、ライフイベントなどによってどのように収支差額が異なるのか理解を深める

 
(自己評価・相互評価)
5分 ・本時を振り返る ・自己評価・感想・考察をしっかりと記述させる。     (ワークシート記述)

*表中の観点について a:関心・意欲・態度 b:思考・判断・表現 c.技能 d.知識・理解

教材:e−ライフプランニング ワークシート 発表台本(PDF) 職業カード(PDF)
参考文献:家庭基礎(東京書籍)
教育課程企画特別部会 次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1375316_2_1.pdf
教育課程部会 家庭科、技術・家庭科ワーキンググループ 配布資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/065/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/04/04/1369020-02.pdf
評価基準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料[高等学校 共通教科「家庭」]
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/kou-sankousiryou/pdf/1/hutukyoukakatei.pdf

(4) 生徒の感想より(平成27年度 家庭基礎2年 大阪府立茨木西高等学校で実施)

私は、家庭科の授業をするまでライフプランと言う言葉を知りませんでした。e-ライフプランニングというものを授業でやった時には、大変驚きました。そして、実際にやってみて思ったのは、将来に対する不安が少し緩和されるなと思いました。なぜなら、お金など生活において大切なものの数値を具体的に明記してくれるからです。将来のことは、誰にも分らないし、ライフプラン通りになる訳ではないですが、おおまかな道筋を立てることはとても大切だと思いました。

私は、ライフプランを考えることは、大事だと思います。でも、実際にe−ライフプランニングをやってみるととても難しかったです。なぜなら、結婚や離婚といったライフデザインや金銭、人間関係などの生活資源マネジメントを考えなければいけないし、それを考えることは難しいからです。他にも、リスクマネジメントというリスクやそのリスクの対処法などを考えないといけなかったりするからです。でも、ただ、理想を考えるだけではいけないなと思います。家でもライフプランを考えてみたいです。

e−ライフプランニングをやってみてわかったことは、一度でもいいからこのe−ライフプランニングをやった方が良いと思いました。このライフプランを考えることは、これからの人生や自分がやりたいことなどを計画できて、それに向かって頑張るという目標ができるので、将来のために今自分は何をしたらいいのかと迷っている人も、ライフプランを考えることで、夢や安定した暮らしを送れるために今自分にできることが少しでも見えてくると思うので、是非、いろんな人にしてもらいたいです。

自分の将来を考える時にとても大切で、これから先の進学や就職、結婚や老後のことをよく考え、自分の理想とする将来にしていくためには、ライフプランは欠かせないことだと思います。生きていたら、いつどのようなことが起こるか分からないので、事故や病気の時どうするのか、保険をどうすればよいか、必要なお金はどこから得るのか、また、家族とはどう生活していくか、子どもを産む場合の養育費等についても考え、大変なことではありますが、楽しい人生にするために人生設計はしっかり立てたいです。

授業で私たちの作ったライフプランでは、男の人は働かず、女性が働いで子どもの学費や家のローンなどを払うというものでした。このことから、男性、女性が両方働いて子育てなどをしていかないとどちらか一方がとても大変な思いをしてしまうことがわかりました。なので、しっかりとした計画を立てることや両親が両方とも働きながら子育てをどうやっていくかを今は何となく決めておいて、2人できちんと話し合って決めていこうと思います。

私は、ライフプランについての授業を行ったとき、もう、自分は大人になるんだなと思いました。まだ、結婚するのか、子どもは何人欲しいかなど詳しくは考えていませんが、いつかはそういう風に考える日が訪れるのだろうなと思いました。しかし、自分が思ったライフプランとは異なる場合もあるでしょう。そういう時は、パートナーとの理解が必要になると考えました。だから、私は、お互いのコミュニケーション能力を高めていくのが良いと思いました。

私は、先日授業で習ったライフプランについて、生きていくためにはたくさんのお金が必要だと知りました。そこで、一番驚いたのが学費です。今までの私は、学費といってもそこまで具体的な額は知りませんでした。しかし、この授業をして、学費というのはすごくたくさんのお金が必要なんだと知ることができました。それと同時にお父さんやお母さんに感謝しないといけないと思いました。私が大人になって、子どもができ、ちゃんと学費が払えるのか不安ですが、このようなことを学べて良かったなと思います。

(5)授業風景

授業風景 授業風景 授業風景

3.まとめ

e−ライフプランニングを知り、内容について吟味した時、最初は難しく感じ、生徒に実施させるのには少々ハードルが高い様に思いました。しかし、検討を重ね、実際に授業に取り入れたところ、生徒の取り組み状況は、予想を遥かに超えて自ら主体的に生き生きと学ぶ姿を見ることができました。

e−ラーニングを利用したこのツールは、とても奥が深く、情報量も多く、短時間で広がりのある深い学びが実現でき、活用方法も様々考えられます。生徒の興味関心を引きつけることができる上、内容もよく考えられており、生活設計を立案する過程と結果がとてもよくできています。事後のアンケート結果では、96%の生徒が役に立ったと答えており、学習効果が高いことがわかります。授業の取組状況も大変意欲的で、生徒が様々な視点からお互いに疑問を投げかけ、考えを交換し、気づきや知識を話し合いながら学びあう姿をみることができます。PDCAサイクルの手法も盛り込まれており、生涯の収支差額より見直しを考え、再度別の視点から簡単に実施することもできます。人の一生や自分自身の生き方を考えていく上でも、家計管理能力や経済的自立の必要性を認識することもできるでしょう。生徒が、主体的に生活を設計できるようになる一歩としておすすめできます。また、このようなネット上のツールやアプリを使い、「体験する」「知る」経験が、家庭生活や自分の生き方に上手く活用する能力を高めると思われます。私は、実際に授業を実施し、手ごたえを感じました。

今回ご紹介した授業案は、ワークシートに沿って実施することができる形にしています。ですから、どなたでも簡単にe-ライフプランニングを授業で活用できると思います。ワークのみなら1限でも可能です。情報ルームなどで一人1台のパソコンを使って実施するなど環境に応じて活用しても良いと思います。このe−ライフプランニングを積極的に取り入れてはいかがでしょうか。

「e−ライフプランニング」は生命保険文化センターが作成した生活設計シミュレーションツールです。
生活設計やリスク管理を学ぶ授業のツールとして、 ぜひお役立てください(公益財団法人 生命保険文化センター)。
「e−ライフプランニング」はこちらから
 

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