人生100年時代の到来?

厚生労働省から毎年9月に発表される百歳高齢者表彰の対象者は、平成29年9月1日現在で32,097人となっていて、前年比プラス350人です。百歳以上の高齢者の数は老人福祉法が制定された昭和38年には全国でたった153人でしたが、昭和56年に1,000人を超え平成10年に1万人を超えました。そして平成24年には5万人を超え今年は、67,824人前年比プラス2,132人となっています。まさに人生は100年の時代が到来しています。

参考: http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304250-Roukenkyoku-Koureishashienka/0000177627.pdf

65歳までの年金はどうなる?

長生き時代になればなるほど、やはり老後生活の基本となるのが年金です。これまで60歳から受給することができていた老齢厚生年金が65歳からとなった、昭和61年の年金制度の大改正は引退世代の生活を大きく変化させました。そして、徐々に今の年金受給体制へと変化してきたところです。会社員の引退後の生活は大きく変化し、60歳から65歳の多くの方が、再雇用という形で雇用継続されることとなりました。

このように60歳以上の方が会社に在籍し、厚生年金に加入しながら、厚生年金保険を受給する場合、その月の給与(標準報酬月額)と賞与の12分の1(その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)、これに受け取る年金額の1月分(基本月額:加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額)を合計した金額が一定金額を超えると年金額は支給停止になります。これを、在職中に受け取る年金であることから、在職老齢年金といいます。

この期間の年金制度について誤解をされていて、この間に年金を請求してしまうと減額されてしまうので、請求しないとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。改めてこの期間の年金の仕組みについて、みていきましょう。

特別に支給される老齢厚生年金がある!

先に挙げましたが、日本の年金制度には長い歴史があり、昭和61年に大きな改正となったわけですが、それまで60歳からもらうことができていた年金が急に65歳からになったと言われても困ってしまいますね。

そこで、会社などにお勤めだった方は生年月日に応じて60歳から65歳までの間は特別に支給される年金(特別支給の老齢厚生年金といいます)があり、現在は生年月日に応じて65歳前でも支給されているところです。この期間の年金は後からもらっても増額されることもありませんし、減額されることもありません。どうもこの期間に特別支給される年金を、65歳から支給される「本来の老齢年金」と勘違いしてしまっているようなのです。

65歳以降から受給する「本来の老齢年金」は早くからもらえば生涯減額された年金額となります。これを繰上げ支給の老齢年金といいますが、60歳から65歳まで歴史の名残で特別に支給される老齢年金は、この繰上げ支給の老齢年金とは全く別の老齢厚生年金です。

請求しないともらえない!

そして、権利の発生する方については請求をしなければ受給できません。

年金の請求に際しては5年の時効がありますので、勘違いをしていたからといってもこの時効を超えて後から請求することはできません。私は年金相談の現場でそのように勘違いをされている方に、急いでご請求を促すケースが多々ありました。

また、この60歳から65歳の年金は、給与の額によって支給停止となるケースもありますが、支給されるか、されないかの確認が必要です。支給停止されるのは「厚生年金保険の被保険者として厚生年金に加入している」方だけですので、引退後お店などを開業した等自営業で働いている方(厚生年金保険に加入していない方)は、どんなに利益が出ていても、権利の発生する支給対象者の方であれば60歳から65歳の特別支給の老齢厚生年金は生年月日に応じ、支給されます。

年金事務所から緑の封筒に入った年金の裁定請求書が届いたら、まず中身を確認して一度年金事務所や専門家にご相談することをおすすめします。くれぐれも時効による請求漏れのないようにご注意ください。

ところで、私の叔父は60歳の定年後から家の隣で電気屋を経営していますが、個人事業主ですので会社員時代に加入していた老齢厚生年金を受給しながらお店をやっています。「生涯現役」を目指しているのだと話していました。なるほど超高齢化社会では引退後の時間の長さを改めて認識し、新しい老後生活を検討しなければいけませんね。100歳時代の突入にそれぞれの対策が必要なことを強く感じました。

参考: http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-02.html

プロフィール

小倉 絵里

特定社会保険労務士 小倉 絵里
社会保険労務士事務所 オフィス 代表

東京都荒川区生まれ。日本女子大学卒業。
大手企業勤務を経て、2008年に社会保険労務士登録。
商工会議所や大手金融機関などで、セミナーを実施。雑誌などで記事の執筆も多く手掛けている。