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【基調講演】高校生が陥りやすい最近のインターネットトラブルについて
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(2017.7)
一般社団法人ECネットワーク理事 原田 由里氏

はじめに

原田 由里氏一般社団法人ECネットワークは、「トラブルなく、安心して利用できるEコマース市場」を目指して活動する非営利民間組織です。インターネット関連に特化したトラブルの相談を無料で受け付けています。

本日は、「高校生が陥りやすい」を切り口に、若い世代が巻き込まれやすいトラブル事例を交えながらお話ししたいと思います。

今はどこでも気軽にインターネット(以下、ネット)が利用できる環境にあります。高校生はネットゲームやSNSに強い関心のある世代であり、スマートフォン(以下、スマホ)の普及も進んでいます。

スマホは、いつでもネットにつながり、いつでも情報が入手できるということで非常に便利なものです。しかし、ネット上では、世界中の人とつながることができるため、世界中の悪さをする人とつながってしまう恐れがあります。

また、Eコマースは法律などによる規制には限界があり、被害に遭っても犯人を特定する手段は限られてきます。

とはいえ、もはやネットを使わない時代には戻れません。ネットで問題を起こさないためには、利用者である私たちがセキュリティを確保し、数多の情報を選別するセンスを磨き、ネットリテラシー(使いこなす能力)を早くから身に付ける必要があります。

講演の主な内容

◇ネットはグローバル(地球単位)。
◇SNSの設定は自分を守る上で重要。でも限界もあることを知る。
◇SNSを利用する上でのマナーは「自分を大切にして相手を思いやる気持ち」。想像力を鍛えることが大事。
◇情報管理意識を持つことが大事。
◇広告・勧誘サイトを見分けるセンスを磨く(すぐに行動せず客観視して考える癖をつける)。
◇被害防止には積極的な情報収集も必要。

ネットリテラシーが低いと懸念されること

◆ネットで騙されることもある

ネット上の情報は、すべて正しいとは限らないため以下のように騙される可能性があります。
・詐欺や悪質商法に引っかかる
・情報をすべて鵜呑みにして後悔する

◆人に迷惑をかけることもある

講演風景1自分が被害に遭うだけでなく、以下のように人にも迷惑をかけてしまうことがあります。
・デマ拡散
ネットでは一瞬で情報が広範囲に拡散されていきます。
・ウイルス感染や攻撃対象となる
今は世界的にも各地で大規模なサイバー攻撃が起こっています。メール1つでウイルスに感染してしまう危険が潜んでいます。
・他人の権利を侵害する
・情報漏洩を起こす
友達の情報を勝手にネットに上げると他人の権利を侵害することになります。

スマホのアプリで発生する問題

◆さまざまなアプリ

スマホにはさまざまなアプリケーション(以下、アプリ)を入れることができます。高校生に人気が高いアプリには、SNS、ゲームのほか動画や画像・音楽などの配信サービス、フリマ(フリーマーケット:個人間売買)などがあります。フリマには高校生も参加でき、多くの生徒が洋服や化粧品などを売買しています。

◆不正なアプリもある

便利なアプリは、カメラ、アドレス帳、サイト閲覧やメールの履歴保存、画像保存などの機能を利用して作られています。しかし、残念ながらアプリの中には不正なもの、使い方を誤ると問題を発生させるものが含まれています。

◆不正なアプリの問題点

たとえば女性に圧倒的に人気のある「自撮りアプリ」は、撮るときにシャッター音がしないので、盗撮しようとする人にも便利な機能ということになってしまいます。
また、「画面が太陽光パネルになるアプリ」「水が水素水になるアプリ」など、怪しいものやジョークのようなものもたくさんあります。問題は、その中にはスマホ内の情報を抜き取ることが目的のアプリが存在するということです。

アプリを入れる時の注意点

◆公式マーケット以外からダウンロードはしない

講演風景2アプリは通常「App Store」「Google play」などの公式マーケットからダウンロードしますが、面白そうだからと吟味せず何でも入れてしまわないことが大切です。

このような事例があります。 「ある男子生徒がネットで知り合った女性と無料通話アプリのIDを交換して、相手にビデオ通話で顔と下半身を見せた。その後、「画質が粗いから他のアプリでしよう」と言われ、指示された別のアプリを入れたら、登録していた連絡先が盗まれ、相手から録画された動画も送られてきた。下半身の写った動画が流されないか心配。」
相手に言われたアプリは公式マーケット以外から入れたもので、登録していた連絡先が盗まれてしまいました。動画をもとに脅されてお金を取られることもあります。

少なくとも、公式マーケット以外からは絶対にアプリを入れないことです。抜き取られた情報は回収不能です。他に転送され、詐欺連絡や迷惑メール送信などに悪用される場合があります。

コミュニティサイト・SNSの現状

◆自分に合ったSNSの設定が大切

SNSには、LINE、niconico、Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどがあり、最近ではMastodonが話題になっています。

SNSの利用は基本、無料ですが、公式マーケット上で年齢制限のかかるものもあります。例えばTwitterは、17歳以上と決められています(iPhoneの場合)。 安全に利用するには、適切な設定をすることが大切です。

大きな設定としては、「公開制限」(自分の情報や発信した情報をどこまで公開するかの設定)と「検索制限」(サービス上で自分を見つけてもらうかの設定)があります。初期設定が自分に合っているとは限らないため、こうした制限をかけていくことがセキュリティの第一歩になります。

ネットは危険が多い

◆高校生のネット被害の実態

講演風景3警察庁「平成28年における出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の被害児童数の推移」(児童:18歳未満)によると、コミュニティサイトに起因する事犯の被害児童数は1,736人で、平成20年以降は増加傾向にあります。1,736人の約9割はスマホで、その約9割はフィルタリングを利用していませんでした。被害時の年齢は、15歳〜17歳を合わせると、67.9%に上ります。

Twitter、LINEのIDで見知らぬ人とつながってしまい、被害に遭うことが増えていると推測されます。そのためTwitterは制限年齢が上がり、LINEは「知らない人とつながらないで」と再三にわたり啓発しています。SNSは使い方を誤ると被害に遭うということが数字からも分かるかと思います。

SNSなどの利用マナー

◆「他人の権利を大事にする」は見落とされがち

・他人の悪口を書かない。
・他人の権利を大事にする。
・必要以上の個人情報は公開しない。

これらはごく基本的なマナーですが、どのマナー違反が最も多いでしょうか?
他人の悪口を書かないことや必要以上の個人情報を公開しないことは、ある程度子どもたちにも浸透していますが、他人の権利を大事にすることは抜け落ちやすい傾向があります。

例えば友達を写真に撮って許可なくネットに上げてしまう、ということがよくあります。友達本人は「いいよ」と言っていても、保護者の方からクレームが来ることもあります。

「送信」を押す前に、一瞬考えて、未来を予測しましょう。これだけで防げるトラブルがあります。簡単に言うと、公共の場にある看板に書けないことはネットで書かないようにということなのですが、どうしても反射的にすぐ「送信」を押してしまうということがあるようです。そこを「送って大丈夫かな?」と5秒考えるだけでも変わってくるのかなと思います。

SNSにアップする時の注意点

◆アップする前に考えること

・みんなで遊びに行ったときに撮影した集合写真
写っている全員に肖像権がありますので、全員に許可を取る必要があります。

・通行人や街路樹など街中の風景を撮影した写真
例えば休日の銀座の歩行者天国のように大勢の人がいる中で自撮りをしたら、通行人が必ず写ってしまいます。ネットにアップする場合は、写り込んでいる他人にも配慮しモザイクをかけるなどする必要があります。また、街路樹からでも撮影場所が特定できることがあるので、そのことを認識したうえでネットに上げるかどうかを考える必要があります。

・芸能人を見かけて何をしていたかという話
炎上する可能性があります。

・店で万引きしている人を見つけたので撮影した動画
ネットで公開するのではなく、警察に通報する、店に持っていくなどしましょう。

・被災地で襲撃事件が起こっているという書き込み
デマかもしれないので、出所が正しいかどうか確認しないでアップするのは避けたほうが良いかと思います。

個人は特定できる

◆ネットへの書き込みは慎重に

犯罪や自殺の書き込みは警察が介入するため出所が特定される場合があります。そうでなくても、毎日情報を発信していれば、学校名や学年などは特定される場合があります。

匿名だからといって、ネットで何を言っても大丈夫でしょうか。ネット上には、個人を特定してさらす人たちがいます。

ネットでは簡単に加害者にも被害者にもなりえます。公開された情報の削除はそれほど難しくはなく、削除要請をすれば多くの場合情報を削除できます。

しかし、すべてが消えるとは限りません。問題は、消すことができるかどうかではなく、情報が一生残ることです。つまり、ネットに一度でも上がった情報は誰かが複製している可能性があり、この先もいつ出てくるかわからないということです。

◆ネット上のトークも安心できない

ネット上でトークしていただけたから、というのも安心できません。このような事例があります。

「グループ内トークでシェアしていた、クラブ活動で撮影した体操着写真を、けんかしたグループ内の友達が外部のマニアサイトに学校名付きで貼ってしまった。学校に匿名の電話があり気づいた。」

けんかしても仲直りはできますが、外部のサイトに貼った写真を取り戻すことはできません。内輪で見ているものだから大丈夫、ではないということです。

ハダカは“絶対”撮らない

◆SNSで知らない人とつながらない

このような相談事例もあります。

「無料通話アプリのID交換で『同級生』として知り合った人からハダカと顔の写真が送られてきた。私のも送るようにと言われ撮影して送ったところ、連絡が取れなくなった。」

「無料通話アプリで男性とつながりハダカの写真を送ったら、学校に知らせると脅されて、別のSNSからさらに写真を送るように言われている。」

まず、ネットでは知らない人とつながらないことが重要です。そして、「ハダカは絶対に撮らない」こと。撮影すると保管されてしまい、保管されると漏洩する危険があります。写真そのものを撮らないことが大切です。

警察庁の資料によると、自画撮り被害はコミュニティサイトに起因するものが8割とされています。SNSでつながった人に「ハダカの写真を送って」と言われて送ってしまったという被害です。児童ポルノ事犯の被害者数は平成28年上半期に過去最多になりました。

ネットストーカーによる被害

◆ネットで個人を特定される情報公開はしない

次のような事例も発生しています。

「ネットゲームで知り合った人とSNSやメールでやり取りしていた。大規模災害の影響で疎遠になった後も大量のメールを送ってくるので、やめるよう強く言ったらエスカレートするようになった。脅しともとれるメールが届き、さらに自分の個人情報を公開すると言われ、実際、自分になりすましたブログが勝手に開設されている。」

「SNSで知らない人から友人申請があり承諾したところ、一方的にメッセージを送りつけてくるようになった。怖いので無視していたら、「付き合っているのだから返事をよこせ」「お前の悪い噂を流してやる」と言うようになり、SNSでつながっている友人たちに私の情報を聞き回っている。なぜこんなことをされるのかわからない。」

ネットストーカーは、見ず知らずの人がなることも多いので、ネットで個人を特定されるような情報公開は控えましょう。

情報管理意識を持つことの重要性

◆ラインアカウントの乗っ取りに注意

講演風景4「ある日、LINEで友達から「携帯電話番号を教えて」という連絡が来た。友達なので改めて教えたら、「SMS(ショートメッセージ)で認証番号が届くからそれも教えて」と言われ、教えた。」

さて、この後、この人に何が起こったでしょうか?
これは昨年秋くらいから増えている相談事例で、何が起こるかというと、LINEのアカウントが乗っ取られます。LINEは電話番号で本人確認をするので、電話番号にSNSで認証番号を送ります。その番号を他人に教えてしまうと、電話番号と暗証番号がわかることになり、アカウントを乗っ取ることができてしまいます。

アカウントが乗っ取られると、自分の名前で勝手に広告を出されたり、買い物されたりといった悪さをされてしまうかもしれません。

この事例の場合、友達から連絡が来たということですが、友達のアカウントがすでに乗っ取られていると考えられます。

個人を特定する番号など、人には絶対に教えてはいけないものがあるということを知っておかなければいけません。情報管理意識を持つことが大事です。

オンラインゲームの現状

◆オンラインゲームで課金される場合

オンラインゲームは難しい操作なしに楽しく遊べるゲームで、液晶画面を直接操作するパズルゲームが人気となりました。

オンラインゲームを始める前に知っておきたいことがあります。

スマホなどで遊べるゲームは、基本、無料です。ただし、強くなるための道具(アイテム)は課金制であり、タダではありません。それも、例えば300円払えばすぐに得られるというわけではなく、「ガチャ」というくじ引きで引き当てるようになっていることが多いです。

◆課金制「ガチャ」のしくみについて

この「ガチャ」は、街にあるカプセルトイの「ガチャガチャ」とは仕組みが違います。街にあるガチャガチャは、機械の中に100個カプセルが入っていて、その中に1個当たりがあるとしたら、少なくとも100回まわせば必ず当たりが出てきます。

しかし、オンラインゲームのガチャは、例えば1%と表示されていても100回まわせば必ず当たりが出るわけではありません。都度リセットされるので、100個入っているガチャガチャを毎回新しくして回す、と考えてください。

◆オンラインゲームで「所有権」は得られない

また、オンラインゲームでどんなにお金を使ってアイテムを買っても、得られるのは「利用する権利」であって「所有権」ではありません。ゲームそのものが廃止されたり、退会したりすれば、すべて消えてしまいます。これは電子書籍や、オンラインで購入した音楽も同じです。また、要らなくなった本は売ることができますが、デジタルコンテンツは転売することができません。

それでも、「これだけアイテムをそろえたのだから」と、なかなかやめられない人が多く、高校生や保護者からは「ゲームで高額の課金をしてしまった」「いくらお金を使っても良いアイテムが出ない」「アカウント停止」などの相談が寄せられています。

オンラインゲーム等で犯罪に発展するケースも…

◆オンラインゲームの相談事例

「ゲームで知り合った人が持っているアイテムが欲しくて、自分の7つのアカウントを使ってアイテムを盗んだ。ゲームサイトのお知らせに「警察に通報する」と書かれてしまい、捕まって高校受験ができなくなるのではと毎日が不安でたまらない。本当に反省している。」

「友達から教えてもらったツールを使ってゲームをしていたら、ゲーム会社からアカウント停止措置を受けた。正直、たいしたことをしていないのに、このような対処は問題ないのか。」

他人になりすましてSNSでメッセージを送ったり、ゲームを遊んだり、アイテムを盗むのは、不正アクセスとして「犯罪行為」になる場合があります。

また、チートツール(ゲームを有利に進めるためのプログラム)の使用や販売は、ゲーム会社の利用規約違反とされていますが、「犯罪行為」ともなりえます。

◆ネットオークションに関する事例

「割のいいアルバイトを探し、ネットオークションで代理出品をした。もらった画像で代理出品し、依頼者の口座に振り込んでもらうとアルバイト代が支払われるというもの。しかし、依頼者は落札者に商品を発送せず、そのとばっちりがすべてこちらに来ている。アルバイト代も払われておらず、とんだ被害である。」

この方は16歳ですが、被害者でしょうか? 残念ながら、被害者はお金を振り込んだのに商品が届かない落札者です。落札者からすると、この方は詐欺師と手を組んで代理出品をした人であり、加害者側の人と見られてしまいます。

実際は、この方の親御さんが複数の被害者の方々に平謝りしました。「子どもがやったこと」と許してくれた人もいれば、許してもらえず、管理者である親御さんあてに訴訟を起こした人もいました。

子どもたちに詐欺の片棒担ぎはさせたくありません。「ラクして儲かるバイト」なんてない、ということです。

SNS・ネットによる広告・勧誘

◆ネット上の情報を鵜呑みにしない

グループに入ると情報が得られる「成功する方法」、モデルのSNSで効果があるとつぶやかれている「化粧品」や「サプリメント」、「ちょっと儲かるアルバイトしない?」「タダでもらえるよ」など、十代の子たちが被害に遭うきっかけにSNSが悪用されていることがあります。詐欺の「受け子」になってしまう被害や、JKビジネスの被害も発生しています。

ネット上では、一見しただけでは広告や勧誘と分からないものも多くあります。例えば、レビューやまとめサイトの口コミがやらせや「ステマ(ステルスマーケティング:第三者のふりをして宣伝する行為)」だったり、自作自演の掲示板から詐欺サイトに誘導するものもあります。こうした悪質な手口や嘘の情報を見抜くことは大変かもしれませんが、ネット上の情報を鵜呑みにしてしまうことはネットリテラシーが低いということになります。

ネットは自由でありたい

◆ネットにおいても自由には責任が伴う

ネットの世界は、才能や能力があれば高校生でもビジネスが可能で、その影響力は世界級です。国籍や年齢・性別も関係なく、いろいろな意味で平等です。

今後のネット社会を背負っていくのは子どもたちです。

制限を受けない自由な世界か、規制の行き届いた監視世界か、ネットの世界はどちらが良いと思いますか?

ネットでは自由でありたいと思っています。ただし、自由には責任が伴います。自由で責任を伴わない世界は無秩序であり、かえって居心地が悪くなります。

自由でいたいなら、自分のやることに責任を持ちましょう。小さな失敗は経験ですが、判断を間違って問題を起こせば、子どもでも大人と同じ社会的制裁が待っています。ネットでは「子どもだから」などと考えてくれないので、リアルより怖い制裁が行われ、その情報は一生残ります。

◆ネットを利用する際はバランス感覚が大事

スマホやネットは便利な道具だけれど、使い方次第で自分や人を傷つける道具にもなります。

昔は「マンガばっかり読んで」「テレビばっかり見て」と親に叱られたものですが、今は「スマホばっかりやって」となるのでしょうか。ただ、マンガやテレビとスマホでは、情報量が圧倒的に違います。スマホの使い方についてはマンガやテレビ以上に考えることが必要ではないでしょうか。道具に振り回されないバランス感覚が大事かもしれません。

◆困ったときは相談を

講演風景5もし、困ったときにはご相談いただきたいと思います。今日お話しした事例では、ご相談いただくことで解決できることもたくさんあります。

インターネットホットライン協議会のホームページに、情報提供・相談窓口の一覧が紹介されていますので、参考にしていただければと思います。

本日はありがとうございました。

 

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