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授業実践報告  「自立した消費者への道」
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(2007.4)
広陵高等学校 地歴科 池内 孝裕 先生
1.はじめに はじめに
ここ数年、カード社会・キャッシュレス社会の中で、カード世代といわれる若者を中心に、クレジットカードによる支払い能力を大幅に上回る買い物やキャッシュカードによる多額のローンのために、返済不能に陥ったり自己破産に陥る例が年間21万件を超えている。何故?多重債務に陥り、自己破産にいたるのか。「自立した消費者への道」とは何かを生活設計教育の一つとして生徒に理解させる取り組みを行った。
2.授業の目標 授業の目標
私たちの日常生活は多くの契約で成り立ち、法律的な責任が生じている。 そこで、契約は守らなければならないが、契約が無効になったり、取り消しや解除ができる場合があること。カード社会・キャッシュレス社会の生活の中にどんな落とし穴があるのかを事例を通して理解させ、今後の生活に生かしていける能力を身につけさせる。 賢い消費者になるために情報の取捨選択と、個人情報の管理の大切さを理解させる。
3.授業展開 授業展開
教科 現代社会
使用教科書 「現代社会」東京書籍
単元 豊かな生活の実現
「自立した消費者への道」
   
第1限 (1)生徒の一日の生活を振り返ってさまざまな契約の存在を知る。
(2)消費者の権利と責任について
        a:クーリングオフ制度について
        b:消費者契約法について
   
第2限 (3)急増する多重債務と自己破産について
        a:何故?多重債務者に陥り自己破産に至るのか
        b:クレジットカードのしくみ
        c:ネット社会の消費者問題
指導内容 学 習 内 容 留 意 点
(1) 契約とは? 1)身の回りのさまざまな契約について
・ 売買契約:コンビニでの買い物
・運送契約:通学時の電車・バスに乗る
・携帯電話の接続サービス契約など
・生徒に発表させ、多くの生徒に気づかせる
2)契約の成立はいつ?
<具体例>
ア:口約束で「買う」と言い、店の人が応じたとき
イ:契約書を作り印鑑を押したとき
ウ:代金を支払ったとき
エ:商品を受け取ったとき
・契約書がなくとも口約束で成立する原則論を理解させる
3)契約の無効と取り消しや解除について
・ 条文の説明とクーリングオフ制度、消費者契約法
・民法4条、90条、96条、541条〜543条の説明
(2) 契約者の権利と責任 1)契約の無効と取り消しや解除の事例 ・(1)の3)を振り返って、事例を見ながら確認作業(プリント配布)
2)1962年ケネディ大統領の議会に対する特別教書の中から
・消費者の8つの権利と5つの責任
・ 一人ひとりが自立した消費者になることを求めたこと
3)クーリングオフ制度、消費者契約法の再確認  
(3) 多重債務と自己破産 1)多重債務者の急増
自転車操業による借金の増加と自己破産の変化をみる
・免責決定を受けられないケースを説明
2)クレジットカードのしくみ
・預金者保護法について
・カードに関する犯罪
3)ネット社会の消費者問題
・特定商取引法上の注意点
・ネットショッピングの注意事項
まとめ CMや一時的なブームに流されることなく、自主的、合理的な判断に基づいた消費行動をとることの大切さを説く  
4.生徒の反応 生徒の反応
① 債務額が雪ダルマ式に増え、自己破産の急増に繋がっていることがわかった。
② 契約とは何かがよくわかった。賢い消費者になれるだろうか。
③ クレジットカード、キャッシュカードに関する犯罪から自分を守るパスワードやID番号の大切さがわかった。
生徒用プリント 生徒用プリント
「自立した消費者への道」
■「契約」ってなに?
・バスに乗る
・携帯電話をかける
・宅配便で荷物を送る
・レンタルビデオを借りる
・文房具を買う
・インターネットを使って調べる
・サッカーの試合を見る         など
■クーリングオフ
クーリングオフとは、「冷却期間(Cooling off)」という意味で、消費者がいったん申し込みや契約をした場合でも、契約の内容を明らかにした書面の交付を受けた日から一定期間は、消費者に熟慮期間を与え、頭を冷やして考えた結果、必要がないと考えた場合には、消費者からの一方的な申し込み撤回や契約解除を認める制度です。不意打ち的で熟慮できなかった取引に、熟慮するチャンスを確保しようとする趣旨で設けられた制度です。
(国民生活センター「くらしの豆知識」)
※クーリングオフをするときは、電話や相手方に出向くのはやめて、解約通知を配達記録郵便や書留で送る。
解約ハガキ(例)裏面  
解約ハガキの例、裏面 <クーリングオフができないケース>

(1) 自発的に店舗に出向いた場合の契約
   通信販売で購入した場合
(2) クーリングオフ期間を経過している場合
(3) 3,000円未満の商品を現金で一括購入した場合
(4) 指定されていない商品やサービス
(5) 商品が商用自動車の場合
(6) 購入者が開封、一部使用した消耗品の場合


※上記以外でも消費者センター等に相談しましょう
※ハガキの両面をコピーしておく
クレジットカードのしくみ クレジットカードのしくみ
消費者問題の歩み 消費者問題の歩み
主な消費者問題 制定された法律
  1948 消費生活協同組合法
森永ヒ素ミルク中毒事件 55  
にせ牛缶事件 60 薬事法
  61 割賦販売法
サリドマイド事件 62 家庭用品品質表示法、不当景品類及び不当表示防止法
アンプル入り風邪薬でショック死多発 65  
カネミ油症事件 68 消費者保護基本法(2004、消費者基本法)
PCBによる汚染魚問題発生 72  
石油危機によるモノ不足騒ぎ 73 消費生活用製品安全法、国民生活安定緊急措置法
輸入レモンのポストハーベスト農薬問題 75  
サラ金被害が社会問題化 76 訪問販売法(2003、特定商取引法)
学生ねずみ講が関西で問題化 78 無限連鎖講の防止に関する法律(ねずみ講禁止法)
金の先物取引で被害続出 79 医薬品副作用被害者救済基金法
  83 貸金業の規制等に関する法律(サラ金規制法)
豊田商事事件 85  
霊感商法被害広まる 87  
オートマチック(AT)車急発進事故多発  
内外価格差への批判高まる 89  
カラーテレビの発煙・発火事件多発 90  
多重債務で自己破産急増 92  
冷害による米不足で平成米騒動 94 製造物責任法(PL法)
こんにゃくゼリー幼児が窒息事故発生 95  
病原性大腸菌O157による集団食中毒発生 96 訪問販売法改正(電話勧誘も規制対象)
遺伝子組みかえ商品問題化 97  
シックハウス症候群問題化 98 家電リサイクル法
転換契約など生命保険トラブル続出 99 JAS法改正(すべての飲・食料品に品質表示の義務付け)
雪印乳業製品の集団食中毒発生 2000 消費者契約法、金融商品の販売等に関する法律
三菱自動車のリコール隠し発覚  
全国初のBSE感染牛見つかる 01  
  03 食品安全基本法、牛肉トレーサビリティー法
ヤミ金融対策法
鳥インフルエンザで鶏大量死、振り込め詐欺続出 04 消費者基本法
  05 預金者保護法
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