生命保険文化センタートップページ > 学校教育活動 > 教育の現場から > 教育の現場からINDEX > web.10 閉じる
消費者と生活者は同じひと
〜資産管理計画シミュレーション学習をとおして〜
web.10
(2008.1)
東京都立足立東高等学校 家庭科 三野 直子 先生
1、はじめに
「豊かな生活は当たり前」の今の日本は、本当の豊かさとは何かを見つけ、個々の価値観で豊かに生きる時代になったと言えます。家庭科の授業では、人間の一生を時間軸で捉え、自分の家族や家庭のあり方、生き方を学んでいます。

ここで、三匹のこぶたの話を紹介します。三匹のこぶたでは、「かあさんぶたはこぶたに満足のいく食べ物をやれないという理由から自分たちの力で生きよと外に送り出します」この風景からかあさんぶたがひとりで老後を過す姿が見えます。また、三匹のこぶたは、自立して自分で自活することを余儀なくされ、外敵(おおかみ)から身を守るために家を建てます。あとは皆さんの知ってのとおりですが、本当の話では最後にちいぶた(三男)だけが生き残り、おおかみを食べてしまいます。まさに弱肉強食です。

 さて、このような絵本のはなしは子どもたちにわかりやすく生きることを示しています。家庭科の家庭経済は、地歴公民の経済とは異なり、家庭生活の周りで起こる家庭経済を中心に学んでいきます。つまり、高校を卒業したらすぐに必要な経済とも言えます。生きるという中で家庭経済は当然、金銭教育を含んでいます。お金の使い方はその人の価値観にかなり左右されるものですが、高校生は自分のこづかいとしての消費は出来ても、家族全体を考えた消費はしていませんし、出来ません。また、家計費など個人情報を生徒から提示させるのはいろいろ問題もあるので、資産管理計画の学習においてゲーム感覚でできるシミュレーション報告の形で学習しています。
2、資産管理計画シミュレーション報告書とは
この報告書は、大阪の家庭科の先生方が研究会で報告されたものを改良したものです。決められた予算で家族の希望(家庭事情カード)が叶うように優先順位を決め、考えさせます。そこで、何を重点に資金計画を立てるかから始めます。

また、家計には毎月必要な諸経費があること、さらに貯蓄や不慮の事態にそなえることなどを学ばせます。また、生命保険は必要か、かけるなら誰にかけるのか?大学進学までの教育費は高額、学資保険はどのようなもので家計に取り入れるかどうか、なども考えていきます。

この資産管理計画シミュレーションでは給料の残金を貯蓄としますが、残金がない場合もあるので、まとめで貯金は月収の1割として、住宅購入資金・教育費・老後の準備金・不慮の事故などその他の貯蓄を項目立てして、予算化させます。特に保険をかける、かけないについては社会保障の学習で「公平の原則」「平等の原則」を分かりやすく学習しておきます。つまり、社会全体で生活困窮者を支える保護を目的にしたもの、生活保護、母子家庭保護などがある反面、自分でかける生命保険や年金型の保険、教育費の負担を軽くするために活用する学資保険などがあること、バイクや自動車に乗る場合には保険をかけることがリスクを軽くできることも知らせておきます。この資産管理計画シミュレーションの学習は先生方の考え方でどのような形にも出来るし、家庭経営の領域の学習が広がっていきます。学校での学習状況に合わせて、間口を広げ、深く学んでいくことができると思います。以下にワークシートの内容を抜粋して、紹介します。
資産管理計画シミュレーション
鈴木家の資産管理計画参加者情報シート

状況:鈴木家は、父と母、16歳の娘愛さん、14歳の息子翔君、11歳の息子勇気君の5人家族である。お父さんの月収は手取り40万円である。
参加者への指示:下記のリストを検討し、鈴木家が月々の予算中含めるべきだと思う項目を○で囲みなさい。○で囲んだ支出は毎月の必要経費となる。

つぎに、チームに配られた鈴木家の事情カードの内容に優先順位をつけて、家族みんなが満足のいくような形で予算を組んでみよう。

【支出項目リスト】
1、家賃 (賃貸マンション7万円、建売住宅ローン代10万円、社宅5万円)
2、食費 (節約型8万円、標準型10万円、贅沢型13万円)
3、光熱費・水道代 (節約型1.4万円、標準型2万円、浪費型3万円)
4、固定電話代 (節約型6千円、標準型1万円、浪費型2万円)
5、教育費 (公立小学校5,300円、公立中学校7,300円、公立高校1.8万円)
        (私立小学校2.5万円、私立中学校4.5万円、私立高校4.8万円)
   
6、ワゴン車のローン代 50,000円
7、薄型液晶ハイビジョンテレビ(ローン4回) 50,000円
8、鈴木氏の新しいスーツ(量販店) 20,000円
9、鈴木氏の新しいスーツ(専門店) 58,000円
10、愛さんの自転車 10,000円
11、勇気君の新しい靴 5,000円
12、誕生日のプレゼントは現金で  20,000円
13、愛さんの新しいテニスウエア 8,000円
14、iPod 30,000円
15、翔君のジーンズ(ユニクロ) 2,980円
16、翔君のジーンズ(リーバイス) 9,800円
17、鈴木夫人の最新型オーブンレンジ 58,000円
18、野球観戦入場代と軽食代 14,000円
19、ペットのドッグフード1ヵ月分 5,000円
20、翔君のコンサ−トチケット 4,000円
22、鈴木夫人のダウンコート 28,000円
23、ユニセフで海外への災害寄付 5,000円
25、祖母への仕送り 40,000円
26、愛さんの予備校の月謝 12,000円
27、家族で外食(ファミレス) 15,000円
28、学習塾の月謝代 30,000円

* 家族事情カードA
  1. 鈴木夫人は手作りパン教室に通っている。
  2. 勉強を続けるのに愛さん、勇気君、翔君は共に月謝が必要。
  3. 旅行に出かけるのに鈴木夫人は新しいコートがほしい。何年も新調していない。
  4. 翔君は友達からバンドのコンサートに行こうと誘われている。
  5. ワゴン車は家族で使える。購入すれば休暇時に出費は少ないはず。

* 家族事情カードB
  1. 愛さんは自転車が壊れたのでバスで学校に通っている。
  2. 鈴木家は、最近外食をしていない。鈴木夫人はたまには家事を休みたい。
  3. 鈴木氏は、自分専用のテレビでドラマを見たり、DVDで映画も見たい。
  4. 鈴木氏は昨年以来スーツを買い換えていない。
  5. 鈴木夫人は最近ボランティアに関心がある。何かしたい。

* 家族事情カードC
  1. 郷里の祖母は病気がちで医療費がかかる。
  2. 愛さんはテニス部のユニフォームを買い換えたい。
  3. 勇気君は最近大きくなって靴が痛い。
  4. 翔君は誕生日に新しいジーンズがほしい。
  5. 鈴木氏は仕事のためどうしても新しいスーツが欲しい。

* 家族事情カードD
  1. 子ども達3人は共有でiPodを買うための貯金をしていて半分なら払える。
  2. 鈴木家のレジャーは受験のためがまん、新型テレビの娯楽にする。
  3. 鈴木家はペットを飼いたいと思っている。親戚から子犬が貰えそうだ。
  4. 愛さんは大学進学を目指しているが、成績が伸びないので心配だ。
  5. 翔君は修学旅行に行くのに新しいジーンズがほしい。

* 家族事情カードE
  1. 鈴木家は家族の誕生日を大切にしている。もうすぐ、翔君の誕生日だ。
  2. テレビのカラーがきれいに写らない。かなり、旧型だが、まだ2〜3年は使える。
  3. 郷里の祖母は気弱になっている。みんなで遊びに行きたいが交通費がかかる。
  4. 子どもたちは、成長が早い。新しい服が必要だ。
  5. 家族の団欒をするために、外に出たい。

注)家族事情カードは、生徒ひとりひとりにどれかを指示してもよいし、グループ学習の形4〜5名で1つのカードを選択させて、話し合いの形で学習をすすめてもよいものです。
資料1
教育の現場からINDEXへ戻る
発行/(財)生命保険文化センター