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リスクに備えるための生活設計
介護

介護離職者はどれくらい? 介護離職をしないための支援制度は?

1年間に約7.3万人が介護等を理由に離職

厚生労働省の雇用動向調査によると、2022年に離職した人は約765.7万人、そのうち個人的理由で離職した人は約563.0万人でした。
そして、個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約7.3万人です。
男性は約2.6万人、女性は約4.7万人と女性のほうが多くなっています。
性・年代別に「介護・看護離職」の割合をみると、男性・女性ともに「55歳~59歳」で最も高くなっています。

個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人の割合(性別・年代別)

年代男女計男性女性
  うち介護・看護   うち介護・看護   うち介護・看護
個人的
理由計
(千人)
(千人) (%) 個人的
理由計
(千人)
(千人) (%) 個人的
理由計
(千人)
(千人) (%)
全体

5,630.2

72.6 1.29 2,449.2 25.7 1.05 3,181.0 46.9 1.47
19歳以下

509.2

228.3

 ―  280.9

20歳~24歳

1,022.7

2.2 0.22 481.1  1.4  0.29  541.7  0.8  0.15
25歳~29歳 774.6 3.2 0.41  308.5  1.6  0.52  466.1  1.5  0.32
30歳~34歳 541.0 5.2 0.96  225.1  0.5  0.22  315.8 4.7  1.49
35歳~39歳 442.1  3.5 0.79  200.4  1.2  0.60  241.8  2.3  0.95
40歳~44歳 435.4  2.3 0.53  171.9  0.6  0.35  263.5  1.7  0.65
45歳~49歳 465.5  5.3 1.14  173.4  1.0  0.58  292.1 4.3  1.47
50歳~54歳 406.5  9.9 2.44  163.6  4.2

 2.57

 242.9  5.7 2.35
55歳~59歳 297.1  18.2 6.13  136.3  6.0

 4.40

 160.8  12.1 7.52
60歳~64歳 302.9  13.5 4.46  133.5  3.0  2.25  169.4  10.5 6.20
65歳以上 433.1  9.5 2.19  227.1  6.3  2.77  206.0  3.2 1.55

注: は最も占率の高い年代区分。
<厚生労働省「雇用動向調査」/2022年>

介護離職をしないために「家族介護者のための支援制度」

(1)介護休業

原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき、「介護休業」を取得することができます。

■「介護休業」の概要

「要介護状態」とは?

負傷、疾病などにより、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態です。

対象になる家族とは?

「配偶者(内縁含む)」「父母」「子」「配偶者の父母」や、「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。

休業できる期間は?

対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに3回を上限として、通算93日までです。

手続きは?

休業開始予定日と休業終了予定日を決めて、原則として2週間前までに、書面等により会社側に申し出る必要があります。

(2)介護休業給付金

介護休業を取得した雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、65歳以上の高年齢被保険者)は原則、「介護休業給付金」を受給できます。
給付額は原則として、休業開始前の給与水準の67%です。
ただし、休業中に給与(介護休業の期間を対象とする分)が支払われた場合、給付金は減額・または不支給となる場合もあります。

休業中に支払われた給与介護休業給付金
・13%以下 ・休業開始前の給与水準の67%相当額を支給
・13%超80%未満 ・休業開始前の給与水準の80%相当額までの差額を支給
・80%以上 ・支給されません

※介護休業給付金には、上限額および下限額が決められています。

なお、同一の対象家族について、介護休業給付金を受けたことがある場合でも、異なる要介護状態で再び介護休業を取得したときには介護給付金を受給できます。
ただし、同一の対象家族について受給できる日数は通算93日までです。

(3)その他の制度

介護休暇 要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日を限度として、時間単位から取得できます。
(通院等の付添、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等にも利用できます)
勤務時間の短縮等の措置 要介護状態にある対象家族1人につき介護休業とは別に、利用開始から3年以上の間で勤務時間の短縮の措置を2回以上利用が可能とするなど、会社側は以下のうち少くとも1つの措置を講じなければなりません。
(短時間勤務のほか、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービスの費用の助成)
法定時間外労働の制限 介護者が申し出た場合には原則、会社側は所定労働時間を超えて労働させることができません。また、申し出がある場合は1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。
深夜業の制限 介護者が申し出た場合には、会社側は、深夜(午後10時~午前5時)に労働させてはいけません。

厚生労働省の資料では、「介護に直面しても仕事を続ける」意識が重要としています。
誰にも相談せずに介護離職してしまい、経済的、精神的、肉体的により追い込まれてしまうこともあります。
介護休業は通算で93日ですが、「自分が介護を行う期間」というよりは、「今後、仕事と介護を両立するために体制を整えるための期間」です。

地域包括支援センター(高齢者の生活を支えるための総合機関として各市町村が設置)や、ケアマネジャー(介護支援専門員)などと相談し、上記の制度や介護保険のサービスを上手に利用しましょう。