一般財団法人日本消費者協会は、設立当時から消費者相談室を開設し、週5日の相談受付業務を行っています。すでに半世紀を超えた活動の中には、生命保険にかかわる相談も多く寄せられています。そこで、生命保険について消費者の立場から考えてまいります。

生命保険、どこで買えるの?

生命保険協会「生命保険の動向(2018年度版)」によれば、個人保険の新規契約数は1,727万件、契約保有件数は1億7,302万件にものぼります。生命保険は各生命保険会社のほかに、生活協同組合などでも販売しています。また、銀行の窓口での販売も見かけます。
消費者が日用品を購入する場合、小売店、スーパー、デパートなど複数の店舗で、欲しい商品を比較検討して購入します。ネット通販も盛んに利用されています。消費者は保険商品をどこで購入できるのでしょうか。生命保険会社の営業所、支社?それともインターネット?生命保険会社の代理店や営業員の勧めで契約をすることが多いのではないでしょうか。最近は、複数社の保険を比較検討して契約できるという店舗も見かけるようになりましたが、比較検討が適切かについては様々な意見があるようです。
インターネット上では、多くの生命保険会社の広告や商品の紹介を目にしますが、自分に合った生命保険はどれなのか、決めかねるのが現状です。つまり、消費者が本当に必要な保険商品を選択できる環境が十分でないように思われます。

大きな金額の買い物

生命保険は一度契約すると10年〜30年以上にわたって保険料を払い続けなければなりません。支払総額は莫大な金額になります。死亡保険金の場合、保険料は「積立型」と、いわゆる「掛け捨て型」の2種類があります。積立型は満期時にまとまったお金が満期保険金として受け取れます。貯蓄の性格が強い保険といえます。わが国ではこの満期保険金などを受け取れる方式が多くを占めているようです。掛け捨て型は、保険金などがほとんど出ない代わりに保険料が低額で保障が大きいといわれています。

相互会社と株式会社、どうして2つの仕組みがあるの?

以前、国内の多くの生命保険会社は相互会社でした。相互会社は保険会社にのみ認められている制度です。生命保険の販売が相互会社であることは〔お互いに助け合う〕という相互扶助の精神にかなっています。しかし、いろいろな問題が生じ、株式会社への移行もみられます。現在は2つの方式が混在していますが、相互会社は利益が出た場合、契約者にのみ還元すればよいため、契約者本位の経営といわれています。

必要な保障は?

 生命保険を契約する動機は、ライフステージによって様々です。最近は長寿社会の不安から、新たな保険商品も販売されています。多種多様な保険商品から、万一に備えて、どのように考えたらよいのでしょうか。いたずらに、不安だから、勧められたからというのではなく、公的保障制度や勤務先の福利厚生制度なども確認しましょう。その上で必要な保障を考えましょう。また、支払う保険料も重要です。保険期間中の支払総額は、莫大な金額になります。可処分所得に対する保険料のバランスも大切です。

特約に注意

生命保険の主契約には様々な「特約」を付加することができます。特約は原則、別途料金がかかります。トラブルが多いのはこの特約に関して、支払われると思ったのに〔支払われなかった〕というものです。不明な点は納得いくまで説明を求めることが大切です。また、その特約が本当に必要かもじっくり考えましょう。特約条項については専門的な言葉が使われていることが多く、理解するにはかなりの覚悟が必要です。業界の方々には消費者に分かりやすい内容と説明を求めます。

生命保険は、消費者が万一に備え安心できる商品であるべきです。相互扶助の精神にのっとり、消費者が十分に納得して契約に臨める環境整備がさらに整うことを期待いたします。

プロフィール

内田 紀子

内田 紀子(うちだ としこ)

消費生活コンサルタント、消費生活専門相談員
行政の消費生活相談員を経て現職

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