近年、朝夕の住宅街のデイサービス(通所介護)の送迎車の多さには驚きます。狭い住宅街の道路で、すれ違いに四苦八苦している場面をよく見かけます。いかに、介護サービスを必要としている人が多いかを実感します。

公的介護保険は、介護の必要な人が適切な介護サービスを受けられるように、社会全体で支え合うものとして、市区町村が主体(保険者)となって運営されているものですが、この、公的介護保険も来月(令和元年10月)からの消費税率10%への引き上げに伴い、保険給付や介護報酬の改定が行われます。

保険給付(介護サービス)を受ける場合は、保険者である住所地の市区町村から要介護の認定を受け、要介護度(要支援1〜2・要介護1〜5)によって、介護予防サービス(介護予防通所リハビリなど)・居宅サービス(訪問介護など)・施設サービス(特別養護老人ホームや介護療養型医療施設などの利用)といった、各種の介護サービスを受けることになります。

受けた介護サービスの利用料(1か月単位で計算)*1の自己負担額は1割〜3割*2*3となりますが、1か月の保険給付限度額*4を超えた部分については全額自己負担となります。

*1 「金額」ではなく「単位」で表され、「1単位=10円」が基本ですが、地域や介護サービスの種類などによって異なっています。
*2 自己負担が高額になった場合の「高額介護サービス費」や「高額医療・高額介護合算療養費」制度などにより一定の金額に抑えられるようになっています。
*3 所得によって異なります(40〜65歳になるまでは1割です)。
*4 要介護度(要支援1〜2・要介護1〜5)によって異なります。

消費税率の引き上げによる介護保険の改定は、「保険給付限度額の引き上げ」と介護事業者に支払う「介護報酬の引き上げ」で、保険給付(介護サービス)を受ける人に消費税率引き上げの影響が及ばないように改定されます。

具体的な「保険給付限度額の引き上げ」と「介護報酬の引き上げ」は、それぞれ単位数*1の引き上げによって行われます。例えば、給付限度額は要支援1の場合5,003単位から5,032単位に「29単位引き上げ」られ、最も重い要介護5の場合36,065単位から36,217単位に「152単位引き上げ」といった形で、要介護度によって単位数が引き上げられます。

介護報酬は、例えば、訪問介護の身体介護利用料は20分以上30分未満の場合248単位ですが、10月から249単位と「1単位引き上げられ」、通所リハビリ(要介護1・通常規模の事業所で1時間以上2時間未満)の場合ですと329単位が331単位と「2単位引き上げられる」など、介護サービスの種類によって1〜8単位といった引き上げがあります。

消費税が上がっても介護報酬は非課税なので、引き上げられた消費税分は、介護事業者が利用者に転嫁することができず(控除対象外消費税)*5、そのまま介護事業者の負担となります。そこで介護事業者の消費税増の負担分を補填(介護報酬の改定)し、また、介護報酬の引き上げにより従来から使っていた介護サービスが受けられなくなってしまうことのないようにするため、給付限度額も同時に引き上げるというものです。

*5 控除対象外消費税:一般的に事業者が国に納付する消費税は、売り上げに対する消費税額から仕入れに対する消費税額を控除したものですが、この、売り上げに対する消費税額を控除することができない消費税をいいます。

プロフィール

佐藤 洋子

田村 三雄(たむら みつお)

社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。田村社労士・CFP事務所代表。
官公庁・労組等での年金制度を中心とした講演や企業での労務相談、
ライフプランセミナーの講師、執筆活動などを行っている。
趣味は映画観賞と散歩。

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