個人年金保険の年金を受け取って所得税がかかるときの計算方法は?
毎年受け取る年金は雑所得として計算します
契約者(保険料負担者)と年金受取人が同じ人の場合、毎年受け取る年金は雑所得として「所得税・住民税」の課税対象となります。雑所得の計算は次の事例の通りです。
なお、2013(平成25)年1月1日~2037(令和19)年12月31日までの間、所得税がかかる場合は、あわせて復興特別所得税(所得税額×2.1%)がかかります。
雑所得の計算事例(毎年受け取る年金は雑所得)
(A)基本年金…運用成果に関係なく受け取れる年金額です。契約年金ともいいます。
(B)増額年金…年金受取開始時点までの積立配当金によって買い増しされる年金です。
(C)増加年金…年金受取開始後の配当金によって買い増しされる年金です。
※配当金は予定より運用実績がよかった場合などに生じる剰余金を契約者に還元するものです。増額年金や増加年金は配当金を原資にしているため、配当金がない場合は受け取れません。
事例
契約者(保険料負担者)、被保険者、年金受取人が妻(現在55歳)の個人年金保険(10年保証期間付終身年金〈定額型〉)を契約しています。このたび、年金受け取り開始となりましたが、税金はどうなるでしょうか?
なお、年金年額45万円【(A)基本年金40万円+(B)増額年金5万円】、保険料払込合計額950万円です。
雑所得の計算
雑所得の金額=(ア)総収入金額-(イ)必要経費
定額型年金の場合
(ア)総収入金額=(A)基本年金+(B)増額年金+(C)年金受取開始後の配当金による増加年金
※1年目の総収入金額は(A)+(B)で、事例の場合は45万円ですが、2年目以降は(C)があればプラスされます。
注:定額型年金の場合、必要経費は毎年同額です。
(D)「年金の総支給見込額」は年金の種類によって以下のように異なります。
- 終身年金の場合:年金年額×余命年数(参考)
- 確定年金の場合:年金年額×支給期間
- 保証期間付終身年金の場合:年金年額×(余命年数(参考)と保証期間年数とのいずれか長い年数)
- 有期年金の場合:年金年額×(支給期間と余命年数(参考)のいずれか短い年数)
年齢 | 55歳 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳 | 66歳 | 67歳 | 68歳 | 69歳 | 70歳 | 75歳 | 80歳 |
男性 | 23 | 19 | 18 | 17 | 17 | 16 | 15 | 14 | 14 | 13 | 12 | 12 | 8 | 6 |
女性 | 27 | 23 | 22 | 21 | 20 | 19 | 18 | 18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 11 | 8 |
(所得税法施行令82条の3) |
納付税額
納付税額はその年の他の所得とあわせて総合課税されます。上記で計算した「雑所得の金額」と他の所得(給与所得や事業所得など)を合算して所得税の税額を算出することになります。
なお、年金を受け取る際にはあらかじめ税金が差し引かれることがあります。年金額からその年金額に対応する払込保険料を控除した残額(雑所得の金額)が25万円以上の場合、その残額の10.21%が所得税・復興特別所得税として源泉徴収されます。ただし、契約者と年金受取人が異なる場合は、源泉徴収されません。
年金から所得税が源泉徴収されても、源泉分離課税(「Q.満期保険金などが源泉分離課税になる場合は?」参照)とは違うため、確定申告をして精算します。
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