最近流行りの キャッシュレス
2019年4月、新元号が「令和」に決まり、5年後に紙幣のデザインも変わると発表され、一方で毎日のようにキャッシュレス、コード決済、スマホ決済などの言葉を見聞きします。私達の生活が新しい時代に金銭面ではどんな変化を迎えるのでしょうか。
「決済」とは「代金の受け渡しによって取引を終える」という意味で、偽札の心配もないわが国では、長い間代金の支払手段は紙幣や貨幣の現金主義でした。それがコンビニにATMが普及し、ネットバンクで振込・送金が可能となり、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどのカード決済も拡がってきました。最近は、現金を使わないバーコードやQRコードのコード決済やスマホでできるモバイル決済の種類が急に増えて、キャッシュレスという言葉が巷を賑わしています。
日本は中国や韓国、アメリカなどに比べキャッシュレス決済の利用が少ないため、国は、来年のオリンピックや2025年の万博への外国人旅行者の増大も見込み、今秋の消費税引き上げの消費の落ち込みを防ぐ対策と同時に、地方での小売店等でのキャッシュレス化を一気に進めようとしています。昨夏に産学官の連携組織でキャッシュレス推進協議会を結成させ、同年9月の北海道地震による停電で利用できなくなった教訓も生かして、災害にも強いキャッシュレス決済の普及を計画しています。
利用者である私たち消費者も指をくわえて見ている訳には行きません。消費者団体も旧態依然とした活動をしていては、こうした新しい時代の動きに乗り遅れてしまいます。そんな訳で、2021年に設立60周年を迎える当協会でも、新しい時代の取組みとして、キャッシュレスの消費者問題をいち早く察知して消費者が被害やトラブルに遭わない為の対策や啓発をして行こうと、今年からキャッシュレス決済について勉強を始めました。今後、相談業務が出来る人材育成や啓発講座を始めようと準備に入っています。
まだまだ現金主義が根強くて、新紙幣になるというキャッシュレスと逆行した動きもある中で、本当にキャッシュレス決済は進むのでしょうか。現金払いが手っ取り早くて安心、という人も多いはず。とくに、高齢者にとっては電車やバスで使うカード程度で十分で、スマホ決済にまで到達するのでしょうか。○○payと言われるコード決済の種類が増えてスマホ一つでお財布いらずの生活が便利ではあっても、不便さはないのか検証していく必要はありそうです。私もスマホ決済は未経験なので、スマホへの設定を自分一人でやれるか、生体認証もあるが決済時にパスワード入力などが必要だったり、アプリを起動してQRコードを表示させる作業など、わずらわしい手間もかかりそうです。キャッシュレス化導入のために2,798億円という財源を充てることで、経済産業大臣と合意した麻生財務大臣が「大丈夫かよ、という気が正直しないでもない」と述べたそうですが、同世代の高齢者にはうなずけます。「ポイント還元される間は利用するけれど…」という人も出て来るでしょう。
令和の新時代にキャッシュレス決済がブームで終わらずに、現金よりも安全で安心な決済手段として定着するよう、消費者目線で普及段階からチェックして行く必要があります。自分にとって必要で、使いこなせ、リスクも理解して使い続けられ、見極める目を持ったキャッシュレス消費者を育てていく事が消費者団体の使命と考え、多重債務者などの被害者を出さないためにも、じっくり取り組んで行きたいと思います。