(続)新型コロナウイルス感染症―加入中の生命保険はどう活きる?
※前回に引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大による影響について取り上げます。
このエッセイは、2020年5月29日時点で作成しています。
ご紹介する取扱いは生命保険会社によって異なりますので、生命保険会社のホームページなどで確認が必要です。
4月7日に発令された緊急事態宣言は5月26日に首都圏や北海道でも解除され、全国的に解除となりました。第2波を警戒しながら、段階的に緩和を進める中で、元の生活に戻るにはもう少し時間がかかりそうです。
マスクの着用や人との距離、アルコール消毒、リモートワークなど、ここ数カ月で社会が大きく変わりました。そして、“新しい生活様式”“Withコロナ”といった言葉を耳にするようになり、これからも社会は大きく変わっていくのだろうと感じています。
4月のエッセイでも、新型コロナウイルス感染症に関する「保険金・給付金の取扱い」や「生命保険会社の特別措置」についてご紹介しましたが、4月から変更になっている点などもありますので、改めて最新の情報をご紹介します。
死亡保険金の特別な取扱い
前回のエッセイでもご紹介のとおり、新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなった場合、死亡保険金の給付対象となります。
当初は、災害などによる死亡の場合に通常の死亡保険金にプラスして受け取れる「災害死亡保険金(※1)」については支払対象外とする生命保険会社が多かったのですが、取扱いを変更して災害死亡保険金の支払対象とする生命保険会社が増えています。最新の情報を確認しましょう。
※1:災害割増特約・傷害特約などを付加している生命保険契約の場合に受け取れます。
入院給付金の特別な取扱い
前回のエッセイでもご紹介のとおり、新型コロナウイルス感染症の治療を目的とした入院は、陽性・陰性にかかわらず疾病入院給付金の給付対象となります。
「医師の指示により、臨時施設(軽症者を治療するホテルなど)または自宅で療養した場合、その療養期間についても入院給付金を受け取れる」としている生命保険会社が多くなっています。また、「新型コロナウイルス感染症以外の病気やけがで入院が必要な人が、医療機関の事情により入院できず臨時施設や自宅で療養した場合」や、「当初の退院予定日より早期の退院を余儀なくされた場合」も入院給付金の給付対象としている生命保険会社もあります。
いずれの場合も「本来必要であった入院期間」について、医師の証明書などが必要となります。
通院給付金の特別な取扱い
通院給付金は、入院給付金の給付の対象となる入院をし、退院後その治療を目的に通院したときに給付されます。生命保険会社・保険商品によっては、入院前後の通院を保障するものもあります。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、医師が電話・オンライン診療が可能であると判断した範囲内であれば、4月から初診でも電話・オンライン診療を受診することができるようになりました。この電話・オンライン診療を受診した場合も、通院給付金の給付対象としている生命保険会社があり、新型コロナウイルス感染症以外の治療も対象としています。
保険料払込猶予(ゆうよ)期間の延長
前回のエッセイでもご紹介のとおり、多くの生命保険会社では3月分以降の保険料の払込猶予期間を「2020年9月30日まで」に延長しました。契約者からの申し出により、3月分以降の保険料は9月30日まで払込みが猶予され、保険料払込猶予期間中に保険料を払い込めば、契約は失効することなく継続できます。
当初は、猶予期間を8月31日までとしていた生命保険会社でも、9月30日までに再延長したところもありますので、最新の情報を確認するようにしましょう。 ちなみに、通常の保険料払込猶予期間は、月払いなら払込期月の翌月末日までとしている生命保険会社が多いです(※2)。つまり、3月分の保険料の払込猶予期間は4月末日までということです。
※2:中には、月払の保険料の払込猶予期間を払込期月の翌々月の末日までとしている生命保険会社もあります。
契約者貸付に対する利息の免除
前回のエッセイでもご紹介のとおり、多くの生命保険会社では新規の契約者貸付に対する金利を0%にしました(※3)。当初は、貸付の申込期限を2020年5月31日までとしていた生命保険会社でも、「2020年6月30日まで」に延長するところが増えています。
なお、0%の特別金利が適用される期間は、新規に貸付を受けた日から2020年9月30日までとする生命保険会社が多く、その場合10月1日からは所定の貸付金利となります。
中には、貸付の申込期限を9月30日まで、0%の特別金利が適用される期間を12月31日までに延長する生命保険会社も徐々に増えてきましたので、最新の情報を確認するようにしましょう。
契約者貸付は、一時的にお金を借りたいときには有効な方法ですが、0%の特別金利が適用される期間を過ぎても貸付金を借りたままにすると、所定の金利(複利)が適用され返済額が増えていきますので注意が必要です。所定の金利は、生命保険に加入した時期などによって契約ごとに異なりますので、あらかじめ把握しておくと安心です。
※3:契約者貸付は、保険種類などによっては利用できない場合があります。また、契約者貸付が受けられる商品であっても、一部の保険種類について0%金利の対象外としている生命保険会社があります。
前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症に関する生命保険の取扱いについて最新の情報をご紹介しました。今後も取扱いが変更される可能性がありますので、随時加入している生命保険会社のホームページなどでご確認ください。