公益財団法人 生命保険文化センター

メニュー
閉じる

公益財団法人 生命保険文化センター

X youtube
ESSAY エッセイ
生活設計

変額保険、注意点はこれだ!!

保険ジャーナリスト 鬼塚 眞子

長期化する超低金利を背景に、資産運用の関心が高まっています。生命保険には、運用実績により保険金額などが増減する「変額保険」という商品もあります。今回は、変額保険の特徴や仕組みをご紹介します。

変額保険は、国内外の株式や債券などから構成される特別勘定(ファンド)で運用され、その運用成果が保険金などに反映される仕組みの保険商品です。変額保険のほか変額個人年金保険を取り扱っている生命保険会社もあります。
特別勘定(ファンド)は、運用実績を直接的に契約者などに還元することを目的に、通常の保険を扱う一般勘定と区別して運用されています。

変額保険には、一定期間を保障する有期型と一生涯保障が続く終身型があります。有期型には満期保険金があります。
保険料の払込方法は保険商品によって異なりますが、一時払と毎月や毎年払い込む(平準払)タイプがあります。払い込んだ保険料は生命保険料控除の対象となりますが、変額保険・変額個人年金保険いずれも「一般生命保険料控除」の対象です。

変額保険は、運用実績により大きな成果が期待できる可能性がある反面、大きな損失が出る可能性も考えられます。こう聞くと「死亡保険金はどうなるの?」と心配される方もいらっしゃるかと思いますが、運用実績にかかわらず、死亡保険金・高度障害保険金に関しては基本保険金額が最低保証されています(変額個人年金保険の年金受取開始前の死亡給付金についても、多くの場合最低保証があります)。
運用実績がよかった場合は、死亡時に基本保険金と変動保険金(=運用実績)を合算した保険金額が受け取れます。基本保険金とは、契約時に設定した保険金額のことです。

変額保険の注意ポイントとしては、解約返戻金と有期型の満期保険金に最低保証が設けられていないことです。このため、払込保険料の総額より受取金額が少なくなるケースもあります。

このようなリスクにはどう対応すればいいでしょうか?

第一に、変額保険は長期保有が前提の保険商品であることを念頭に、保有することが大切だと思います。

第二に、そのためにも、毎月保険料を払い続けられるか、一時払の場合は長期保有できる資金であるかどうか、熟考していただければと思います。

第三に、目的を明確にすることです。特別勘定(ファンド)で運用しているためその時点にならないと受取金額がいくらになるか定まらず、学資保険などのように決まったタイミングで使うライフイベントの資産形成には一般的には馴染まないとされています。

変額保険は契約して終わりではありません。契約者がファンドを選択できる商品では、どんなファンドを選び、割合をどうするのかも迷う点だと思います。また、ファンドの内容や割合を変えるスイッチングという制度があり、契約後は契約者が一定要件の下、自分でスイッチングできる商品もあります。利益もリスクも、契約者である自分自身に帰属するため、遠慮せずに、生命保険会社の担当者など専門家に相談されることをお勧めします。

加入を検討するときは、以上のような変額保険の特徴や仕組みについて十分に説明を受け、正しく理解するようにしましょう。

プロフィール

鬼塚 眞子(掲載用写真)

鬼塚 眞子(おにつか しんこ)

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるが、両足の靱帯損傷を機に退職。保険業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。治験審査委員も務める。保険・介護・相続・離婚・お金など生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍。