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ESSAY エッセイ
消費生活相談

消費者トラブルの未然防止は「契約前に立ち止まって考える」 ~そのインターネット情報、信用できますか? ~

公益社団法人 全国消費生活相談員協会 清水 かほる

近年、全国の消費生活センター等に入る消費生活相談の中で、「暮らしのレスキューサービス」を行う事業者とのトラブルに関する相談が特に増えています。

トイレのつまりや水漏れ修理、鍵の解錠、害虫の駆除、冷暖房設備・ドア・ガラス・給湯器の修理等、日常生活でのトラブルに事業者が消費者の自宅等に訪問して対処するサービス、いわゆる「暮らしのレスキューサービス」は、消費者が困ったときの手助けとなる一方、「料金や作業内容等で事業者とトラブルになった」という相談が寄せられています。困った出来事が発生してはじめて、スマートフォンやパソコンで近所の事業者を検索し、早急に対応してもらえる事業者を探す消費者も少なくありません。しかし、専門的な技術や知識がない消費者につけ込む事業者もいるため、事業者選びは注意が必要です。

トラブルの入り口になるのが、インターネットでの情報です。

 「トイレがつまり慌ててスマートフォンで探した“最安値”の事業者に修理を依頼した。」

 「ゴキブリ駆除のため、インターネットで探した“最短即日対応”の記載のあった事業者に依頼した。」

 「コウモリ駆除をするため、ホームページに“見積もり無料、5年保証”と広告している事業者に電話をした。」

 「夜中の12時頃帰宅した際、鍵を紛失したことに気付き、インターネットで“地元の鍵業者”を検索し、一番上に表示された事業者に電話をした。」

 「漏電ブレーカーが作動して停電したので、“電気工事・漏電修理4千円~”というサイトを見て、修理を依頼した。」

 

この結果、下記のようなトラブルが横行しています。

 ・現場で不安を煽られ、威圧的・高圧的な態度で契約を迫られた。

 ・高額な請求額で支払えず近くのコンビニのATMまで連れて行かれた。

 ・必要のない工事をされた。

 ・完全に駆除されなかった。

 ・想定より高額だったので断ったらキャンセル料を請求された。

 

暮らしのレスキューサービスは、水漏れ、害虫等の発生状況や内容が様々であり、広告に「基本料金××円」「○○作業料、△△円から」などと表示されている場合や電話で「△△円かかる」と説明された場合でも、現場の状況次第では、必ずしも広告の表示や電話での説明通りの料金で依頼できるとは限らないので注意が必要です。また、業界ナンバー1の表示や顧客満足度が100%近いとの表示があっても、その真偽の見極めが困難です。まず、広告の表示や電話で説明された料金を鵜呑みにせず、他の事業者と比較検討する必要があります。

消費者トラブルの未然防止の対策は、「契約前に立ち止まって考える」ということです。直感で決めるのではなく、時間をかけて熟慮の上、決めることです。そのためには日ごろから、国民生活センターや消費生活センターのHPに紹介がある事例を確認する、トイレ等の止水栓やガスの元栓、電気の分電盤の場所を確認する、トラブル時の連絡先(賃貸住宅であれば管理会社、住宅メーカーや施工業者等の緊急時の対応窓口)の一覧表を作っておくなど万一の際の備えが必要です。

また、契約後でも、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できるクーリング・オフが適用できる場合もあります。困ったときには、お近くの消費生活センターにご相談ください。消費生活センターへのお電話は、消費者ホットライン「188」へお掛けください。

プロフィール

清水 かほる(しみず かほる)

公益社団法人 全国消費生活相談員協会
中部支部 支部長