2024(令和6)年の確定申告のトピックス
1月下旬から2月初旬は1年で最も寒い時期で、「大寒」にあたります。税金関係に目を向ければ、この時期から早めに確定申告の準備を始めておくと余裕をもって申告することができるでしょう。2024(令和6)年分の確定申告の主なトピックスを紹介します。
1. 定額減税関連
2024(令和6)年中に所得税・住民税にて定額減税制度が実施されています。これは、所得税で、納税者本人、配偶者、扶養親族それぞれ1人あたり3万円、住民税で 1人あたり1万円(合計4万円)の減税を行う制度です。給与所得者の場合、一般的には、2024(令和6)年6月以降の「月次減税」と年末調整時の「年調減税」で減税額が反映されていますが、他の所得があるなどの場合、確定申告をするときは注意が必要です。
(1)確定申告と定額減税
以下のケースでは、「月次減税」・「年調減税」を受けた場合でも、確定申告で最終的な定額減税の額を計算し、納付または還付される金額を精算することとなります。
ア. 主な勤務先からの給与収入が2,000万円を超えるとき
この場合、原則として定額減税の適用はありません
イ. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について減税が行われていないとき
または定額減税しきれない額があるとき
ウ. 年末調整において、所得税額から減税額を控除した際、減税しきれない額があった場合で、次に該当するとき
・給与所得以外の所得があるとき
・退職所得等に係る源泉徴収税額があるとき
・2カ所以上から給与の支払いを受けているとき
(2)留意点
減税額(所得税3万円・住民税1万円)より税額が少ない場合、その税額分までしか減税されません。例えば、所得税額が2万円しかない場合、減税は2万円で打ち止めになり、残額の翌年繰越等はありません。
2. スマートフォン用電子証明書の利用開始
2024(令和6)年分の確定申告から、スマートフォンのみで手続きが可能となる「スマートフォン用電子証明書」が確定申告でも利用できるようになりました。 「スマートフォン用電子証明書」を利用すれば、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取らなくても、申告書の作成やe-Taxでの送信が可能となります。
スマートフォン用電子証明書とは
スマートフォンを利用して電子申請を行う際に必要な本人確認を、マイナンバーカードを直接使用せずに行える仕組みです。
従来のようにマイナンバーカードをカードリーダーやスマートフォンで読み取る手間を省き、申告作業を簡略化することができます。これにより、国はマイナポータルやe-Taxのさらなる普及促進を目指しています。詳細は次のとおりです。
ア. 利用開始時期の詳細
2025(令和7)年1月以降、まずはアンドロイド(Android)端末で開始され、iOS(iPhone)端末への対応は
2025(令和7)年春に予定されています。
イ. 対象者
マイナンバーカードを既に所有しており、スマートフォンで確定申告を行いたい人。
ウ. 登録方法
マイナンバーカードを準備し、マイナポータルアプリからスマートフォン用電子証明書を登録します。
登録すると、スマートフォン内に電子証明書情報が保存されます。
エ. 利用方法
スマートフォンで確定申告書等作成コーナーにアクセスし、ログイン時にスマートフォン用電子証明書を利用します。
この際、従来のマイナンバーカード読み取り操作は不要となります。
電子証明書を利用して、スマートフォンから直接確定申告書の送信が可能となります。
オ. 注意点
・端末により、利用開始時期が異なります(「ア.利用開始時期の詳細」参照)。
・利用前に登録手続きが必要です(「ウ.登録方法」参照)。
・スマートフォンを紛失したときや売却・修理に出すときは、電子証明書情報が漏洩しないよう、速やかに
失効手続きを行う必要があります。
3. スマートフォン対応の拡充
国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」の所得税申告画面のスマートフォン対応は、これまで一部に限られていましたが、2024(令和6)年分の確定申告から、所得税の確定申告に関するすべての入力ページがスマートフォン対応となりました
これにより、スマートフォンでの確定申告が大幅に操作しやすくなり、場所を選ばず確定申告ができるようになりました。また、消費税や贈与税についても、一部のページがスマートフォンでの入力に対応する予定で、スマートフォンの活用範囲が拡大します。