教員対象セミナー基調講演『人生100年時代の生活デザインを考えよう』
【目次】
Ⅰ 人生100年時代 何を身につける?
Ⅱ 家庭科や公共でそれらをどう育む?(学習指導要領の整理・紹介)
Ⅲ 学習事例の紹介
本日は100歳という長寿をリスクではなく恩恵にするために何が必要なのか、そして、中高校生が100年の人生をプラスに捉えて、自身の生活デザインを描けるようになるために、学校教育でどのようなことができるかについて、共に考えられる時間になればよいかなと思っています。
Ⅰ 人生100年時代 何を身につける?
人生100年時代に身に付けるべきこととして、学び続けることや心身ともに健康であること、あるいは金銭教育、マネーリテラシー、健康リテラシー、人間関係リテラシーなど、さまざまに挙げられていますが、本日は無形資産の重要性に触れておきたいと思います。
その前に、簡単に生活資源の説明をさせていただきます。高校家庭科の教科書では、教科書によって多少の違いはあるものの、生活資源とは、生活する上で必要な要素であると書かれています。この生活資源を有効に活用するというスタンスを踏まえて、人やもの、金銭などが挙げられます。
これまでの生活設計学習の場面では、どちらかというと金銭面が重視されていたので、例えば結婚や老後の生活費などをどのように準備していくのかという書きぶりが多かった印象です。これらに加えて、時間や人間関係などの目に見えない、また、お金で買えない資産を管理する力を中高校生にしっかりと身に付けさせていただきたいと思っています。
これまでのように、どう生きるか、を考えるのではなく、どう死ぬか、何を残すかという人生のゴールからバックキャスティングで考えてみるという提案です。人生や生活の充実といっても、人によってイメージすることが違います。生き方、というとすごく抽象的な話になってしまうため、私は時間に注目したいと思います。人生とは自分に与えられた時間であり、今まで何時間分生きてきて、残りこれだけの時間があり、この時間をどのように使いたいか、というところから、生涯の生活の見通しを持たせることができるのではないかと考えています。つまり、漠然としているものを「見える化」する、そして、友達の考え方や自分の中の考えの変遷など、比較できるようにシートに書きだすことが重要です。
その際の1つの切り口として、平均寿命と健康寿命があります。平均寿命は生存に注目しているものなので、0歳における平均余命と言われています。例えば、1914年に生まれた人が100歳まで生きている確率は1%だったそうです。それに対して、2007年に生まれた子どもたちは、50%が100歳まで生きるという研究結果があります。これだけ違っていて、おじいちゃん、おばあちゃん世代の生き方がモデルにならないことを今の高校生にしっかりと見せる(伝える)必要があります。
そして、近年注目されているのが健康寿命です。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活に制限がない期間の平均、1人で自立して生きていける年齢と言われています。1955年辺りは、男女ともに平均寿命は60歳代でした。人間の体はおそらく60歳ぐらいで衰えていったり、昔は寿命だったりしたので、その後40年間をどうやって元気で過ごすか、相当メンテナンスしないと元気に過ごすことが難しいと思われます。目が見えにくくなったり、耳が聞こえにくくなったり、筋力がどんどん衰えたり、今までと同じではなくなっていきます。どういう努力をすれば、その低下していくカーブをなだらかにしていけるか、我々もそうですが、高校生はその年齢にならないと実感できません。そのことに気付かせることは難しい課題ですが、人生100年時代と言われても、健康寿命は、統計グラフによりますと、男性は72.68歳、女性が75.38歳となっていますので、自分に与えられた、元気に過ごせる時間はそう長くはありません。
どのようにすれば健康に過ごせるのかを考えさせることが大事だと思います。誰もがいつかは死を迎える中で、どう死ぬか、この世に何を残すことができるかを考えることによって、中高校生が人生や将来の生活を見通すきっかけになればよいかなと思っています。
人生80年時代に生きた人は、若いときはしっかり学んで、しっかり働いてお金を残して、退職した後に時間がたくさんあるから、その時期に旅行に行ったり、遊んだりすることを想定されていたと思います。人生100年時代は、年齢に関係なく、常によく学び、よく遊び、よく働くことがよい、といわれています。定年年齢も延びてきており、可能な限り働きたいという人も増えてきています。定年の概念がなくなるかもしれませんし、定年年齢が70歳や80歳に延びるかもしれないことを考えると、年齢にとらわれることなく、常に自分が学んだり、遊んだり、働いたりということを意識しながら生活していく必要があります。また、現在は物があふれていますが、その物に囲まれた生活ではなく、見えない経験や体験にお金をかけて、心の豊かさを得たいと思う人たちも増えてきました。
更に、子どもたちには、小さい頃から色々な経験をさせるとよいといろいろなところで言われていますが、五感で味わった経験が、血や肉と同じように自分を形づくる、つまり自己の成長や向上に繋がっていきます。お金をかけなくてもできる体験、例えば自宅近くの川に行ったり、自然と触れ合ったり、そういった経験や体験もたくさんできますので、このことを大人も理解し体験を重視すれば、自分を向上させたり、成長させたりできます。今後は子どもも大人も「知識」を増やすことだけではなくて、この様な「コト消費」も重要になってくると思います。
これらの経験への投資によって、自分がアップデートされればされるほど、収入や環境、人間関係が変わってくると言われていますが、皆さんも新しい趣味を見つけ、そこで色々な人と出会うことによって、自分の世界が広がり、交流関係も広がっていき、豊かな繋がりができるといった経験をされていると思います。つまり、年齢に関係なく常に自己を成長させることを意識しながら生活していくことが大事であり、それを中高校生に伝えていくためには、先生方ご自身がそういう姿勢を子どもたちに見せていくことが肝要だと感じています。
一方で、生命保険文化センターと消費者教育支援センターが共同で行った2021年度の高校生への調査で、衝撃的な結果が出ていました。今からどのぐらい先の生活まで思い描けるかという質問に対して、「20歳まで」「高校卒業まで」と回答した生徒が約5割と半数いる実態になっています。
こうした中で、子どもたちに生涯の見通しを立てさせて、目標を設定させるのが年々難しくなってきていると思います。ですので、何を教えるかというより、大前提として、どのようにして人生100年時代の生涯の見通しを持たせるかがとても大事になってきています。
現在はVUCA(※)の時代と言われています。5年先、10年先が見通せないこの時代に、生活を設計する、あるいは人生を設計する大切さをどのように教え、その学習を通してどんな力を身に付けさせるのかを考えなければなりません。
これは私が提案している「家庭科で特に重視して育成したい『変革を起こすコンピテンシー』の図です。こちらは、OECDのラーニングコンパスで、これから必要だと言われている3つの力が、新たな価値を創造する力、責任ある行動をとる力、対立やジレンマに対処する力です。
家庭科に落とし込むと、例えば互いの良さを引き出し、より豊かな生活を求める力として、具体的には大切な価値が何かをしっかりと見極められるとか、新たな価値に気付き、共に創造できる力になります。あるいは、さまざまな考えを統合し、よりよく課題を解決する力として、多様な価値をもつ人と共に生活や社会を創れる力とか、感情をコントロールし、響感と価値理解でつながりが大事にできる力になります。また、自分の考えをしっかりと持つことが大事ですので、自分の良さを認め、自らの見方・考え方を持つ力については強調したいと思います。加えて、自分の生活のみを考えるのではなく、社会との関わりを考えたときに、社会にとってよりよい貢献ができる力も必要ではないかということで、この6つの力を提案いたしました。
(※)VUCA:Volatility(可動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)、それぞれの頭文字をとって造られた造語。
これらの力以外にも色々と書いていますが、高校生に身につけてほしい力を並べてみました。特に太字が重要だと思っています。人生100年時代、人とは違う生き方、自分らしい生き方、自分の強みを生かした生き方など様々ありますが、自分は何を大事にして生きていきたいのかという考えが自分の中にあることが大事だと思いますので、大切な価値を見極める力、自分の良さを認め、自らの見方・考えを持つ力、意思決定・臨機応変に対応する力を太字にしています。また、一度立てた計画をその通りに進めるのではなくて、常に修正しつつ見直しながら、臨機応変に変えていける力も必要です。この3つの力について、少し意識をしながら授業をつくっていただくとよいかなと思います。
Ⅱ 家庭科や公共でそれらをどう育む?(学習指導要領の整理・紹介)
これまでお話しした内容の授業を行うにあたり、それらが現行の学習指導要領で、どのように触れられているのかを第2部で整理します。高校家庭科は、科目の導入・まとめとして生活設計を扱うよう、学習指導要領に書かれていますので、高校家庭科の柱がこの生活設計となっており、生活デザインを扱うドンピシャな教科であるということが分かります。公共では、社会を担う主体をどう育成するかが主軸になっています。つまり、よりよい社会の形成に参画できる若者の育成、公正で持続可能な消費者市民社会の形成者を育成する教科ということになります。個人の生活をより豊かにするだけではなくて、社会とのつながりを考えることが求められていることから、公正で持続可能な消費者市民を育成する教育は、「社会を担う主体」を育む公共で担っているということになります。
高校家庭科は小学校、中学校のまとめの位置付けになります。小学校、中学校と同じようにA、B、Cの学習内容、領域で統一されました。先ほどお話したとおり、科目の導入として高校家庭科には、生活設計が入っており、赤字のところに当たります。
高校生が「自分自身の現在の生活をみつめ、未来の生活を見通して目標を立てて、その目標を達成するために何が必要かを考える」家庭科の授業をするためには、生活経営管理、つまりマネジメントがとても大事で、そのことを高校生自身に伝える授業開きが必要だと思います。家庭科は物を作る教科だと思っている子どもたちが結構います。4月の最初の授業で、家庭科を学ぶ意義をしっかり伝えることが肝要です。
これまでお話した生活デザイン、生活設計に関連する内容が、家庭科の今後の授業とどのように繋がっているかが理解されないと、授業で何のために食生活や住生活の学習をしているのかという本質的な理解が深まりません。より健康で、快適な、自分の価値に照らした生活をするためには、これらの知識やスキルが必要で、だからこそ学ぶという、家庭科の授業の意義をしっかりと最初に伝えていただき、自分の命や健康を守るために家庭科を学ぶという認識を、生徒が持てるとよいのかなと思っています。
公共においては、教科目標の実現を見通した教育の観点から、特別活動などと連携し、自立した主体として社会に参画する力を育む中核的な機能を担うことが求められると学習指導要領に書かれています。B 自立した主体として、よりよい社会の形成に参画する私たち、の内容はもちろん、科目の導入として行う、A 公共の扉は、自らを成長させる人間としての在り方、生き方について理解するとか、キャリア形成と共によりよい社会の形成に結び付くことを理解するとか、よりよく生きる行為者として活動するために必要な情報を収集し、読み取る技能を身に付けるといった内容となっています。
Cについても、地域の創造、よりよい国家・社会の構築および平和で安定した国際社会の形成へ主体的に参画し、共に生きる社会を築くという観点から課題を見出し、その課題の解決に向けて考察したり、構想したりすることを学習すると書かれていますので、これらはまさに生活設計、生活デザインと重なる内容だと思います。
中学校も見てみると、公民の学習指導要領の、D 私たちと国際社会の諸課題(2)「よりよい社会を目指して」というところで、持続可能な社会を形成することに向けて、社会的な見方・考え方を働かせて課題を探究し、自分の考えを説明、論述できるようにし、これからのよりよい社会の形成に主体的に参画する態度を養うといった内容が書かれていますので、このことを踏まえて授業をつくっていただくと、中高の公民で、これからのよりよい社会の形成に主体的に参画する資質能力の育成が可能であることが確認できました。
Ⅲ 学習事例の紹介
それでは第3部に入りたいと思います。昨年8月に出版された『16歳からのライフ・シフト』をご存じでしょうか。2016年に出版された『ライフ・シフト』を要約・編集し、高校生向きに分かりやすく書き換えられたものになっています。カバーには「人生100年時代、生き方・学び方が根本的に変わる。何度でも何にでも変身できる。」と書かれており、これを副読本として高校生に読ませながらグループ学習していくと楽しいのではないかと考え、ご紹介したいと思います。
この本には、マイホームや現金などの見える有形資産に加えて、友情などのお金では買えない無形資産もバランスよく形成しましょうということが書かれています。無形資産には3つの種類があり、それぞれ生産性資産と活力資産と変身資産に分けられています。
生産性資産は、人が仕事で生産性を高め、所得を増やすために役立つ要素、つまり知識やスキルを指します。活力資産は、肉体的・精神的な健康と幸福ということで、パートナーやその他の家族との良好な関係、冒頭でお話した人間関係を指します。3つ目が変身資産で、自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークを持っていること、新しい経験に対して開かれた心や姿勢を持っていること、こういったマインドを指しています。変身資産はこれからの時代に特に大切であると強調されていて、人生の途中で新しいステージへの移行をうまく成功させるための意思と能力というような説明もされています。この3つの無形資産と有形資産をバランスよく育成していくことを推進するのがこの本の趣旨です。
本書では、家庭科の先生が授業計画やワークシートなどを提案されており、誰でもダウンロードが可能です。全6時間の学習内容で、私たちの生活を支える労働と生活時間、これからの働き方・生き方を考える、未来の人間関係を考えよう、未来に向かってGOGO!といったような各章を教材にしながら、このようなかたちで6時間授業が組めますと提案されています。
次に、ゼミ生が過去の卒業研究で高校や中学校の年間カリキュラムを作成しましたので、ここでその一部が紹介したいと思います。
最初に高校の年間カリキュラムについてですが、徳島出身の学生さんが、地元の地域課題を意識して作成した「徳島バージョン」になっています。まず4月に自分の未来予想図を作ろうということで、生活設計からスタートし、色々なチャートを使ってアクティブラーニングを行い、家庭科の4つの見方・考え方や、アントレプレナーシップで重要とされている社会人基礎力を身につけることができる指導計画になっています。簡単に整理すると、1学期に導入として生活設計を行い、2学期の前半に食生活と衣生活を行い、後半は未来予想図を自分で作ります。未来予想図を作る際にゲストスピーカーを呼んだり体験学習やシミュレーション学習などを盛り込んだりしながら進めます。3学期は地域課題を解決するというテーマで、住生活分野と絡めて、空き家や劇的ビフォー・アフタープロジェクトとして、プロジェクト型学習を行うといった年間カリキュラムです。社会人基礎力の育成も意識しながら、アントレプレナーシップ教育を家庭科の授業を通して実践することを提案しています。
次に、中学校の年間カリキュラムです。中学校の家庭科3年間分について、生活設計を柱にして、今から6年前に作成されたものですが、中学生の職業、生活キャリアを育む授業計画ということで、1年生の最初には、これまでの自分史を作ったり、私たちに残された時間について考えさせたりします。2年生で人生のプランニングをするために必要なことはどういうことなのかを考えさせ、3年生でこれからの生活をデザインします。そしてまとめとして、自分の未来図をつくるという内容になっています。中学校家庭科の学習指導要領に生活設計の項目はありませんが、人生100年時代を生きる中学生が、これからの家庭科の授業を通じて、自身の職業・生活キャリアを考えることは必要不可欠なことではないでしょうか。
最後に、自己実現のピラミッドについて説明させていただきます。中高校生がなかなか生涯の見通しを持てない中で、人生をどのように見える化できるかを考えたときに、自己実現のピラミッドチャートがいいのではないかと考え、現在色々なところで提案しているものです。ピラミッドチャートは、上から下に考える考え方と、下から上に考える考え方の2種類あります。
将来の夢がある生徒に対しては、例えば海外で和食の店が持ちたいとか、海外で活躍できる建築家になりたいといった夢の場合、その夢を実現するために、具体的に今どんなことができるか、生活の目標が書けると思います。次に、その目標のもう1段下で、日々どんなことに力を入れるかについては、例えば英語の力を身に付けるといったことが書けます。そして、大切にしたい価値、なりたい自分などについてどのように実現していくか書くといったように、ピラミッドの形で考えてもらうというチャートになります。
将来の夢がない生徒に対しては、まず真ん中の「生活の目的」を考えてもらいます。つまり、今どんな生活をしたいかを考えさせます。例えば健康に、より快適に生活がしたいのであれば、そのために毎日の生活に運動を取り入れたり、食生活を工夫したりするといったことが書けます。具体的な行動としては、寝る前にストレッチをするとか、栄養に関する知識を増やすとか、そういったことが書けると思います。真ん中から考えてもらうことで、そのような日々の積み重ねでチャートの上、つまり、なりたい自分につながっていることに気付かせるといった指導もできます。
実際に中高校生に授業をするときは、もう少し条件を付けて本ピラミッドチャートを活用するといいのかなと思っています。
本日ご紹介した2つのカリキュラムの中では、「未来予想図」や「未来図」といった人生・生活設計を中高校生に馴染みがあるような別の言葉に置き換えて表現しています。ライフプランは自分の進む方向を示す人生の羅針盤みたいなものだということを、絵で示すなど、概念的なものを中高校生と共有することも必要です。加えて、自分の生活の中で大切にしたい価値や夢、目標などを考えることは結構楽しい作業になります。プライバシーに配慮しながら、互いに夢や目標を知り合うことを授業の中に組み込むと、面白い授業ができるのではないかなと思っています。
次期学習指導要領では、「豊かな人生と持続可能な社会のつくり手」というキーワードが重視されていくのではないかと言われています。ウェルビーイングや持続可能な社会がコンセプトとして出されていますので、生徒が自らの生活をデザインして、自分にとってよりよい人生を歩んでいくための学習が、社会科、家庭科と限定せずに、全ての教科で展開できたらいいなと思っていますが、学習指導要領に関連のある教科としては今のところ、家庭科、社会科になります。家庭科、社会科においては、本日お話ししたような内容に触れる授業を子どもたちに提供できますので、ぜひ先生方にはそういう授業をつくっていただきたい、そして期待したいと思います。
何度も繰り返しになりますが、個人の生き方を考える際には、社会のウェルビーイングも意識することが大切です。家庭科の生活の営みに関わる見方・考え方の中に、よりよい生活を営むために工夫すると書かれており、社会科では、よりよい社会の構築が目指されていることが確認できます。両教科の見方・考え方の中に、豊かな人生と持続可能な社会のつくり手につながるキーワードが含まれています。
それではまとめに入りたいと思います。自己の成長や生活デザイン、生活設計の授業をどのようにつくっていくかということについて、これまでの授業で行ってきた、何を学ばせるかに加えて、何ができるようになるのか、先生方が目指す学習者像がどういうものなのかを明確にした授業をつくっていただくことが大切です。併せて、学び方がアクティブラーニングになっているかどうかも重要です。「見えない能力」の育成については、数値化できず、評価が難しいとおっしゃる先生もこれまでたくさんおられましたが、どのような社会情動的スキルを育む授業なのかを意識しながら授業をデザインしていただけるとありがたいなと強く願いながら、本日はお話をさせていただきました。
今ドジャースで大活躍の大谷翔平さんは、彼は人生が夢を作るのではなくて、夢が人生を作ると言って、夢を叶えています。高校1年生のときに彼が書いた目標設定シート、マンダラチャートを見てみますと、8球団から1位指名されるためには何が必要かを8つ書いて、その8項目を達成するための課題をそれぞれ8つしっかり目標設定しています。一方で、何歳で何をするかという人生設計シートを70歳以降まで書いています。それによると、41歳で日本に帰ってきて、57歳でプロ野球界から引退して、58歳で地元の岩手に帰って、リトルリーグの監督をすることになっているようです。
正解の人生というものなどはありません。将来こうなりたいという明確な目標を持って周りの人に共有することの重要性や、途中で何度書き換えてもいいといった柔軟性が大事だと、有名な大谷ノートなども紹介しながら、授業の中で伝えていっていただければと思っています。
ご清聴ありがとうございました。