「成年になるということ」をテ-マとした消費生活に関する授業実践
授業概要
学校名:京都市立西賀茂中学校 家庭科 吉川貴子 先生
実施日時:2025年1月31日(金)9:50~10:40
対象:3年2組(24名)
授業のねらい
- 成年になることにより、自分ひとりで契約が可能となる等、責任が伴うことを理解する。
- 実際に起きている契約に関するトラブル事例について学び、契約を取り消すことができることを理解する。
- 身の周りでリスクが発生した際にお金の面で困らないよう、リスクに備えることも大事だということを理解する。
授業写真
参考資料
- 50分授業セット「成年になるということ」
- 50分授業セット「成年になるということ」生徒用ワークシート
- 教科書 東京書籍 新しい技術家庭 家庭分野 自立と共生を目指して
授業の流れ
では、今日は、生命保険文化センターの資料を使って、学習したいと思います。 今日のテーマは「成年になるということ」。では、みなさんに聞きます。「成年」とは何歳からでしょうか。 (生徒)20歳。 はい。他は? (生徒)18歳。 ではみなさんに聞きます。成年は18歳からだと思う人? (6名程度挙手) 20歳からだと思う人? (6名程度挙手。18歳とほぼ同数) 分かれましたね。正解は18歳です。みなさんもあと3年で成年になります。先ほど20歳と言ってくれた人もいますが、少し前までは20歳でした。「成年になる」というのはどういうことか、周りの人と相談してみてください。18歳になったらできること、逆に20歳にならないとできないこと、 それぞれあると思います。 では1分間、話し合ってみてください。 (生徒話し合い) それでは、話し合いで出た意見を聞いていきたいと思います。18歳からできることはなんでしょうか? (生徒)クレジットカードを作れる。 そうです。クレジットカードを作ることができます。クレジットカードについては後で詳しく見ていきます。他にはありますか? (生徒)賭け事。 賭け事は18歳と20歳のどちらでしょう?賭け事とは競馬とか競輪とかで、これは20歳からです。他には何があるでしょうか。 (生徒)選挙権。 選挙権については社会科で習いましたよね。あと3年したらみなさんにも投票権があります。 その他は何があるでしょうか? (生徒)車の免許。 自動車の免許も18歳から取得できます。ちなみに自動車の免許取りたいと思っている人はいますか? (10名程度挙手) たくさんいますね。18歳になったら取れます。成年になるとできることまだあります。他には何があるでしょうか? (生徒)結婚。 結婚は男女共に18歳からできます。少し前までは女性が16歳で男性は18歳でしたが、今は男女共に18歳になりました。他には何があるでしょうか? (生徒)たばこ。 喫煙は18歳ではなく20歳です。 ということで、18歳からと20歳から、それぞれできるようになることを考えてもらいましたが、スライドを見てください。 (スライド3) 成年になると何が変わる? 成年年齢は最近18歳に変わりました。 成年になると自分の意思で様々な契約ができたり、住む場所や進路等を自分の意思で決められたりするようになります。 先ほどみなさんに出してもらった意見をまとめるとこうなります。 (スライド4) 保護者の同意がなくても、様々な契約ができます。例えば、携帯電話や家の契約、進路を自分で決定することができます。このほか、様々な資格が取得できるようになります。10年有効のパスポートが取得できるようになるのも18歳からです。それと、先ほど意見に出たクレジットカードや自動車の免許も18歳から取得できます。 ただ、20歳にならないとできないこともあります。お酒、喫煙、競馬等の合法的な公営ギャンブル等は20歳にならないとできません。 ではここでクイズです。 (スライド5_1) 先ほど車の免許を取りたいか尋ねた時に手を挙げた人がたくさんいましたが、自分でローンを組んで購入することはできる、〇か×かどちらでしょうか。 答えをプリントに書いてください。 では聞いていきましょう。〇という人はどれぐらいいますか。 (10名程度挙手) では×と思う人? (5名程度挙手) 分かれましたね。正解は〇です。 (スライド5_2)
成年になると保護者の同意がなくてもお金を借りることができます。ただし、誰でもローンを組めるわけではありません。当たり前ですが、働いていない人が、何百万円もする車をローンで買おうとしても、お金を返せる保証がなければ、ローンを組むことはできません。しっかり働いていて、この人には定期的な収入があるかなという審査があり、それに通ったらローンを組むことができます。 続いて第2問です。 (スライド6_1) 先ほど意見が出た、後払いで欲しいものを買ったり、お金を借りられたりするクレジットカードを作ることができるか、〇か×かどちらでしょうか。 プリントに答えを書いてください。では聞いていきます。〇という人はどれぐらいいますか。 (15名程度挙手) では×と思う人? (挙手なし) 正解は〇です。 (スライド6_2) みなさんは、クレジットカードをお家の人が使っているのを見たことあるでしょうか。お店で会計のときにカードを機械にピッとかざしたり、カードを機械に差し込んだりしてましたよね。また、CMで見たりすることもあるかと思いますが、18歳になるとこのクレジットカードをみなさんも作ることができます。 ただし、ローンの時にも説明しましたが、支払い能力などにより作れない場合もあるので注意が必要です。 クレジットカードの仕組みとローンについて説明します。 (スライド7_1) クレジットカードがどんな仕組みになっているか、スライドで見ていきましょう。 例えば洋服を買いに行ったとします。5,000円の洋服を買いました。その時クレジットカードで支払い、商品を受け取って帰ります。 しかし、これは誰がお金を払ってくれているんだろうと不思議になりませんか?お家の人がクレジットカードを出してお会計をして、お金は払っていないのに商品は手元に来るという仕組みをこの図で説明します。 (スライド7_2)
みなさんやお家の人は「C:カードの利用者」です。「B:販売店」で洋服を買って、「A:カード会社」が5,000円を代わりに支払ってくれるので、みなさんは商品を先に手に入れることができます。ただし、後日「C:カードの利用者」は、買った分のお金5,000円は必ず「A:カード会社」に払うことになります。このようにお金を立て替えてくれるのが、クレジットカードの仕組みです。 次はローンについてです。例えば、車が欲しいと言っていた人がいると思いますが、車は大体いくらすると思いますか? (生徒)1,000万円。 1,000万円くらいの車が欲しいという人もいるかもしれませんが、ただ、1万円ぐらいで買えますかって言ったら、買えない物ですよね。いくらくらいで買えると思いますか? (生徒)50万円。 中古車だったら買えるかもしれませんね。 (生徒)100万円。 そうですね。100万円を超えてくると思います。新車で買うとなると何百万円のお金が掛かります。それを一括で買える人もいるかもしれませんが、月々少しずつ払う人の方が多いと思います。 では、人生最大の買い物と言えばなんでしょうか?そう家ですね。家は何千万円としますが、その何千万を一括で払えることは少なく、ローンで30年とか35年とか、長い間払い続けて買うことになります。では、家を買うのに3,000万円借りて、3,000万円を返せばいいと思いますか? スライドに「利息」と書いてありますね。3,000万円借りたら、それに上乗せして多く返すことになります。そして立て替えてもらったお金は必ず返す責任と義務があります。 続いてキャッシュレス決済について見ていきましょう。 (スライド8) これはみなさんにとっても身近ではないでしょうか。 みなさんはコンビニなどに行ってどんな支払い方法をしていますか? (生徒)現金かPayPay。 みなさん、スマホのオンライン決済サービスの一つ、PayPayって知っていますか? それを使っている人、どのくらいいますか? (10名程度挙手) かなりいますね。スマートフォンにお小遣いを入れてもらっている人もいると聞いたことがありますが、これにも様々な支払い方法があります。 スライドを見てください。プリペイドカード、電子マネー、デビットカード、クレジットカード。それぞれ支払い方法に違いがあるので説明していきます。 先ほど出たPayPayの場合、みなさんどのようにしてお金を入れていますか?お家の方がお金を先に入れてくれている場合もあると思いますが、これを前払いと言います。 プリペイドカードも様々な種類がありますが、(カードのイメージを見せる)コンビニに販売されているこのカード。これは先にお金を払います。そのあと二次元コードを読み取ることで、ゲームの中のアイテムやキャラクターを増やしたりできるようになります。 これが前払いのしくみです。 プリペイドカードは他にどんな種類があるでしょうか。(カードのイメージを見せながら)クオカード、Amazonカード、みなさんよく知っていますね。あと、マックカードはマクドナルドでしか使えませんが、カードに500円と書いてあるので、あらかじめ500円分お金が入っているカードです。 あとは図書カードもあらかじめお金が入っているカードです。これらがプリペイドカードになります。 電子マネーは先ほども出たPayPayの他に、ICOCAも電車やバスに乗るときや、コンビニや自販機でも使えます。 電子マネーに関しては前払いと書いてありますが、先にチャージするパターンや後で払うパターンも出てきているので、前払い以外もあることを覚えておいてください。 デビットカードはあまり聞いたことないと思いますが、これは即時払いになります。現金で買い物をするとき現金で払いますが、あれが即時払いです。現金払いと違うのはカードで払うところです。銀行のキャッシュカードを使って、例えば電気屋さんで1万円の扇風機を買う時に銀行のキャッシュカードをレジの人に渡すと、1万円がその場で自分の銀行口座から引き落とされます。これがデビットカードの仕組みです。現金払いと一緒で、即時払いになります。 クレジットカードは後払いです。例えば今月1月にお家の人が食料品やみんなの洋服を買ったとします。合計5万円をクレジットカードで払ったとしたら、2月の決められた日にその5万円を引き落としますという払い方が後払いです。 先に払うのか、その場で払うのか、後で払うのかという違いになります。 (スライド9) グラフを見ても分かりますが、今確認しただけでもキャッシュレスには様々な種類があって、これだけたくさん使われています。2022年度にはキャッシュレス決済の比率は36%にまで増えてきています。 続いて第3問。化粧品の定期購入の契約をしました。この契約は取り消せるでしょうか。 (スライド10_1) 定期購入は分かりますか?例えば化粧品などを毎月決まって購入することです。〇か×どちらでしょうか。 これは難しいかもしれません。契約した後に取り消せるかどうかです。 〇だと思う人? (7~8名程度挙手) ×だと思う人?×の人はいませんね。みなさん取り消せるという意見ですね。 正解は×です。 (スライド10_2) 一度自分の意思でした契約は、一方的に取り消すことはできません。ということで×です。 契約とは、自分と相手が「これ買いたいです」、「どうぞ」というやり取りで成立します。ですから、自分側だけで一方的に契約を取り消すことはできません。 (スライド11) ただ、今のみなさんは未成年と言われる年齢です。成年と比べると社会経験がまだ少ないということで、未成年者が親など保護者の同意を得ずに契約した場合、つまりお家の人に黙って何かを契約してしまった場合は取り消すことができます。 ただし、成年になるとこれは適用されなくなります。成年になると契約に責任が生じてくることになります。 (スライド12) まとめです。 ワークシートの空欄部分に記入してください。 みなさんも成年になったら親など保護者の同意がなくても自分ひとりで様々な契約をすることができます。これは成年になって大きく変わることです。 それから、未成年者取り消しができなくなりますので、責任を持って契約をしましょうということがここまででみなさんに考えて欲しいところです。 (スライド13) 成年になると様々な責任が伴いますが、みなさんはどんな点に注意する必要があると思いますか。ワークシートの【考えてみよう】のところに考えて書いてみてください。 今のところまでで、みなさんが成年になったら様々な責任が出てくることが分かりました。では、どのようなことを考えていかないといけないのか、どのような行動をしていくのか、2分くらいで考えてワークシートに書いてみてください。
では、聞いていきましょう。 (生徒)怪しい事には関わらない。 (生徒)怪しいサイトは見ない。 いま「怪しいサイト」という意見がでました。実はみなさんの身近にもあるのかもしれません。次にみなさんに考えて欲しいことになります。 (スライド14) 消費者トラブルについてです。身近で聞いたことがあるとか、テレビでもよく聞くのではないでしょうか。最近どんな事件やトラブルがあったか、思い出してみてください。 例えばスマートフォンを通したトラブルや家に急に誰かが来たとか、WEBサイトで買ったものが違ったものだったとか聞いたことがあるでしょうか。 (スライド15) このグラフを見てください。 これは消費生活相談で多かった内容になります。15歳~19歳では、どのような相談が多いかというと、男性の1位はインターネットゲームです。ゲームでたくさん課金してしまったとか、怪しいサイトにアクセスをしてしまったという相談です。あとは脱毛剤や出会い系サイトアプリ、健康食品などが多いです。 女性では脱毛エステ、健康食品、脱毛剤が多いです。 (スライド16) インターネットゲームはみなさんもしている人がいると思いますが、中にはこんな相談もありました。 ・ 中学生の息子が、親のクレジットカードを使ってオンラインゲームに100万円近く使っていた。 ・ 小学生の息子が親のスマホの認証設定を勝手に変えて、高額なゲーム課金をしていた。 など、ゲーム関係が非常に多いです。ゲームをしているうちにどんどん追加してしまったと考えられます。課金のし過ぎという相談が多く寄せられています。 (スライド17) あとは男女共に多かったのが脱毛エステです。 例えば、この前のニュースでは、脱毛エステに何十万円も払って契約をしたのにその会社が倒産したとか、安いから行ったらやけどのような跡が残ったなどのトラブルが起きているようです。 (スライド18) SNSでのトラブルも増えています。SNSに表示された広告で危険なサイトにアクセスしてしまう、勧誘が闇バイトだったなどがあります。高額収入や今すぐ稼げるなどとても巧妙な手口で勧誘しています。「絶対闇バイトじゃない」のような文言に騙されて、実は犯罪だったというのがあの闇バイトです。 あとは個人間取引のケースで、同じ推し同士のファンで一緒にコンサートに行く約束をしたけれど、同い年の女の子だと思ってやり取りしていたが本当はどんな人か分からない。スマートフォンは人の中身まで見えませんので、SNSをきっかけにこのようなトラブルに巻き込まれることは非常に怖いです。 (スライド19) では困ったらどうするか。なにか困った、怪しいサイトにアクセスしてしまったという時に、親には言いたくないなと思うこともあるかもしれません。誰にも相談できずにひとりで悩んでいる人も結構いるようです。そこで、消費者トラブルについて相談できる電話番号188を覚えておいてください。「いやや」と覚えてください。トラブルに巻き込まれて商品を買ってしまった、契約してしまった、でも家の人には言えない、先生に言っても怒られるかなとひとりで悩むようなことがあれば、188に電話をして相談してください。もちろん無料です。 土日祝日も繋がります。 どうしたらいいか教えてくれるので、ひとりで悩まずに相談して欲しいと思います。 (スライド20) 契約したあとに、契約しなければよかったと思った時に助けてくれる制度があります。みなさん、クーリングオフ制度って聞いたことがある人はいますか。 社会科でも習ったと思いますが 、クーリングオフ制度は覚えておいて欲しいです。教科書にも載っています。「クーリングオフ制度」に線を引いてください。 買ってしまった、契約してしまった後に、一定期間であれば契約を解除できる制度になります。ただし、どのような契約でも契約解除できるわけではありません。これは覚えおいてください。 まず3,000円未満のものはできません。 それから、例えばサプリメントを買って、半分ぐらい食べてから解除しますと言ってもできません。消耗品を使用した時も同様です。 また、インターネットや通信販売で買った物はできません。通信販売の場合は、前に学習した「JADMAマーク」があるものを選ぶようにしよう、という話をしたと思います。 あと、買い物をしてからずっと悩んでいて1ヶ月も経ってから解約しようと思ってもできません。クーリングオフは基本的に商品を購入した日から8日間までとなっています。マルチ商法など20日間となっているものもありますが、基本的には8日間と覚えておいてください。 ただし、クーリングオフ制度を利用するときに電話で「これ解約したいです」と言ってもできません。書面などできちんと残して手続きをする必要があります。 一生涯使わないのが一番ですが、長い人生の中で失敗することもあると思います。そういう時に「ああいう制度があったな」と思い出してもらったらいいかなと思います。 (スライド21) まとめです。 消費者トラブルは未然に防ぐことが大切です。先ほども意見がでていましたが、怪しいサイトは自分から見ないこと、未然に防ぐことが大事です。もし巻き込まれてしまったら188に電話をかけることも大切です。また、申し込んでしまったけれど、一定期間内であればクーリングオフ制度が適用できる場合があることを覚えておいてください。 契約は慎重に、よく考えてから行うようにしましょうということですね。 (スライド22) ここまで消費者トラブルを見てきましたが、次は「リスク」についてです。 リスクとは何でしょうか。例えば、今みなさんの家庭で出ていくお金にはどのような費用があるか考えてみてください。何にお金を使っているか、思い出せますか? (光熱費、食費、携帯電話代など生徒から意見が出る) (スライド23) いろいろありますね。お家が賃貸だったら、住む費用もかかるわけですよね。 この表は独身の人の支出ですけれど、食料が多いですね。あとは、みなさんも参考書が欲しいと言ったら買ってくれるお家もあると思いますが、そうなると本代もかかります。急激に成長したら、洋服も買い換えないといけないですね。このあたりでお金がかかってくるわけです。 (スライド24) リスクとは、起きてほしくないことで、起きるとお金がかかることを指します。例えば食料品や洋服代はなんとなくかかることが予想できるお金ですよね。ただ、人生の中で突然、急遽お金がいる時はどんな時でしょうか。 (病気、事故、手術など生徒から意見がでる) 怖いですが、そのようなことが起こりえます。「交通事故」「病気で入院」「スマホが落ちて割れた」「財布をなくした」など、様々なリスクがあります。 (スライド25) リスクに直面した高校生の事例を見てみましょう。 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突した結果、男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残ったという事例です。この場合、男子高校生が悪いということになります。中学生や小学生が自転車で高齢者を轢いてしまった、小さな子どもを轢いてしまったなどニュースで聞いたことがあるかと思います。みなさんも自転車の運転は気をつけてくださいね。 では相手方にケガをさせてしまうと、いくらくらい相手にお金を払う必要があるでしょうか。少し考えてみてください。24歳の人は言語機能まで喪失しています。いくらぐらい払わないといけないでしょうか。 (生徒)5000万円。 (生徒)2000万円。 (生徒)払えない。 この事故では賠償額が9,266万円です。 このお金はお家の人が払うことになるのが多いと思いますが、いきなり9,000万円も払わないといけなくなったらお家の人もどうしようと困ってしまいますよね。 (スライド26) こういう時に、身を守るための保障があります。まず、最初に知っておいて欲しいのが公的な保障です。国などから保障されている社会保障制度、社会保険と言われるものです。医療保険や公的年金保険などがあります。これらは国が保障しているものです。 それから私的な保障です。各人の判断で入る民間の保険です。みなさん、民間の保険について何か聞いたことはありますか。CMなどで自動車保険やがん保険など聞いたことがあるのではないかと思います。みなさんのお家でも、何かの保険に入っているかもしれません。 (スライド27) 先ほどの事例のように、誰かにケガをさせてしまうとか、自分自身が病気で手術をしないといけない時などに対応するための保険にはいくつか種類があります。 生命保険は、人を対象とした、例えば病気やケガ、介護のための保険です。損害保険は、物を対象とした交通事故、地震や災害のための保険です。これからみなさんは成年になって、このような保険とも関わりが出てきます。これからの人生で、例えば先ほどの事例のような不慮の事故があることもありますので、そういう時の安心のためにも、保険があるわけです。 機会があれば、お家でどんな保険に入っているかなど、お家の人と話をしてもらっても良いと思います。では、まとめをしていきます。 (スライド29) みなさんはあと3年後には成年になります。ひとりで契約できる代わりに、未成年を理由に契約の取り消しはできません。 トラブルにあった時はひとりで悩まず、周りの人や専門家などに相談しましょう。 また、民間保険など様々な契約を利用することでリスクに備えることができます。今から少しでも知っておいて、これからお家の人に聞いたり自分で調べたりして、知識を増やしていってもらえればいいなと思います。あとは、契約を含めて様々なことにお金がかかることが多いため、収入と支出のバランスを考えることが大切です。 それでは最後に、今日全体を通して学んだこと、気づいたこと、聞いてみたいことでもいいですので、振り返りをワークシートに書いてください。
ではどんなことを書いてくれたか、聞いて終わりましょう。 (生徒)あと3年で自立してなんでも自分でやらないといけないのは不安ですが、しっかり考えて契約したり、分からないことがあれば相談したりしながら少しずつ自立できるようになればいいなと思いました。 ありがとうございました。 みなさんいろいろ書いてくれてよかったです。あとでゆっくり読ませてもらいますね。 ではこれで授業を終わります。
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生徒の感想
- 自分の行動に責任をもって行動したいです。18歳になり自分でできることが増えるけれど、自分のする一つひとつの行動が周りの人にも関わってくると感じました。
- 今日、成年になったらできることできないことを学んで、契約するときやクレジットカードを使うときには先のことまで考えて行動したいと思いました。また、もしトラブルにあってもひとりで悩むのではなく、188に相談したりしようと思いました。
- 事故や病気など想定していない大きな支出があるかもしれないと知ったので、民間保険などに入ることが大切だと気づきました。あとのことを考えずに契約をしてしまったら取り消せない場合もあるので、責任を持ってしっかり考えて行動したいです。
- 今日は18歳になったらできることをたくさん学びました。あと3年もしたらクレジットカードや契約などを自分自身で自由にできて便利なことが増える一方で、それに伴う危険性も潜んでいるため、物事をより客観的に捉え、今日学んだことを生かして事故や危険に巻き込まれないようにしたいです。
- 18歳になるとできることが増えるけれど、自分が思っている以上に責任とトラブルやリスクなどが関わってくると感じた。物事を大きく動かすときにはきちんと周りを見て、自分自身で安全な道へ進めるようにしていきたいと思う。リスクやトラブルの責任は自分で取るものだから、考えることを第一に、楽しく安全な成年ライフを送っていきたいです。
- 18歳になると、自分で契約できるが未成年を理由に取り消しができないと知ったので、契約するときにはゆっくり、慎重に考えて契約していこうと思いました。保険に入っておくと、どのようなリスクに備えることができるか知れたのでよかったです。お金を使うときは、収入と支出のバランスを考えることが大切と分かったので、考えて暮らしていこうと思いました。
教員の感想
- パワーポイントは、幅広い消費生活の内容がまとまっていたので使いやすかった。
- パワーポイントとワークシートがセットで授業出来ることは、教師の負担が少なく扱いやすかった。
- 盛りだくさんの内容を1時間でこなすことがもったいないので、できるのであれば3時間ほどに分け、生徒のグループ活動も入れて、消費生活の分野がこの教材で完結できれば、他の教員も嬉しいと思う。