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リスクに備えるための生活設計
介護

介護離職者はどれくらい? 介護離職をしないための支援制度は?

1年間に約7.3万人が介護等を理由に離職

厚生労働省の雇用動向調査によると、2023年に離職した人は約798.1万人、そのうち個人的理由で離職した人は約591.6万人でした。
そして、個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約7.3万人で、2000(平成12)年と比べて約2倍の人数となっています。
女性が約77%を占めており、年代別にみると50歳代が最も多くなっています。

個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人数(性別・年代別)

   (千人)
年代男女計男性女性
全体 73.1 17.0 56.0
19歳以下 0.2 0.1 0.1
20歳~24歳 2.3  0.7  1.7
25歳~29歳 3.7  0.8  3.0
30歳~34歳 2.2  1.3 0.9
35歳~39歳 4.7  0.9  3.8
40歳~44歳 3.3  1.0  2.3
45歳~49歳 5.5  0.6 5.0
50歳~54歳 20.8  3.0  17.8
55歳~59歳 13.5  4.1  9.4
60歳~64歳 10.1  2.6  7.5
65歳以上 6.9  2.2  4.7

<厚生労働省「雇用動向調査」/2023年>

個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人数と割合の推移

介護・看護を理由とする離職者数と割合の推移

<厚生労働省「雇用動向調査」/2023年>

介護離職をしないために「家族介護者のための支援制度」

介護休暇・介護休業

原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき、「介護休暇」や「介護休業」を取得することができます。
「介護休暇」は通院の付添いや書類手続きなどで短時間の休みが必要なときなどに、「介護休業」は介護をするためだけではなく仕事と介護の両立ができる体制を整えるためなどにも活用できます。

介護休暇・介護休業概要

  •  1 「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態。
    「常時介護を必要とする状態」について、判断基準(意思伝達の可否などの複数の項目に対し、どの程度該当するか)が示されているが、この判断基準にとらわれず個々の事情に合わせて介護と仕事の両立ができるよう柔軟な対応が望まれている。
  • 2 労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のこと。
介護休業給付金

介護休業を取得した雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、65歳以上の高年齢被保険者)は原則、「介護休業給付金」を受給できます。
給付額は原則として、休業開始前の給与水準の67%です。
ただし、休業中に給与(介護休業の期間を対象とする分)が支払われた場合、給付金は減額・または不支給となる場合もあります。

休業中に支払われた給与介護休業給付金
13%以下 休業開始前の給与水準の67%相当額を支給
13%超80%未満 休業開始前の給与水準の80%相当額までの差額を支給
80%以上 支給されません
  • 介護休業給付金には、上限額および下限額が決められています。
  • 同一の対象家族について受給できる日数は通算93日までです。
  • 同一の対象家族について、介護休業給付金を受けたことがある場合でも、異なる要介護状態で再び介護休業を取得したときには介護給付金を受給できます。

その他の制度

勤務時間の短縮等の措置 事業主は、介護休業とは別に、要介護状態にある対象家族1人につき、利用開始から3年間で2回以上の利用が可能な措置(次の①~④のうち、いずれか1つ以上の措置)を講じなければなりません。
①短時間勤務制度、②フレックスタイム制度、③時差出勤制度、④介護サービスの費用の助成
所定外労働の制限 労働者が申し出た場合は、事業主は所定外労働(法定時間内の残業)を免除しなければなりません。
時間外労働の制限 労働者が申し出た場合は、事業主は1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働(法定労働時間を超える労働)をさせてはいけません。
深夜業の制限 労働者が申し出た場合には、事業主は深夜(午後10時~午前5時)に労働させてはいけません。

厚生労働省の資料では、「介護に直面しても仕事を続ける」意識が重要としています。
誰にも相談せずに介護離職してしまい、経済的、精神的、肉体的により追い込まれてしまうこともあります。
介護休業は通算で93日ですが、「自分が介護を行う期間」というよりは、「今後、仕事と介護を両立するために体制を整えるための期間」です。

地域包括支援センター(高齢者の生活を支えるための総合機関として各市町村が設置)や、ケアマネジャー(介護支援専門員)などと相談し、上記の制度や介護保険のサービスを上手に利用しましょう。